大岩
「深さ2歩分は掘る許可を得ておる。何故、今になって掘るなと言うのだ?」
学者先生、お年に似合わず大声を張り上げます。
「辺りに影響が出ないことが条件です。この大岩を掘り下げ、そうならないと言い切れますか?」
「何を小癪な、影響がでないよう少しずつ掘ればいいではないか!」
困ったものです。奥様は暫く遠出のため不在中で、後は私に判断が任されます・・・。
「先生は、この庭の文様が何かの呪を表している、とおっしゃいましたよね?」
「ああ、そう言ったか・・・? だが、それがどうした?」
私は、アルマー村の街道で封印の大岩を動かした為、死人がでる一歩手前だった話をします。
「この大岩が、何かを封印している可能性もあります。そもそも、今回は測量などの調査ですよね? 発掘の許可は出ているのですか?」
お役所に確認してみましょうか? と仄めかすと、思わず、うっ、と詰まる学者先生・・・。
「ともかく、これ以上掘る許可は出せません。この大岩を掘り崩しても、周りに悪影響が出ない、とはっきりしない限りダメです!」
ふん! と鼻息を荒くして腕組をします。
むむむ、とたじろぎつつも後には引けない学者先生・・・。
そこへ、助手のフロリアさんが何やら学者先生に耳打ちします。
「よし、今日の所は引き下がるが、待っていろ。必ず許可を得てやる!」
と捨て台詞を残し、屋敷を後にします。
はぁ~、疲れます・・・。
ところが、何日待っても学者先生、戻ってきません。待ちくたびれたある日、ようやく現れたのは助手のフロリアさんのみ。何でも、かなり上まで掛け合ったが、発掘許可が下りなかったとの事。加えて勝手に発掘したことで、御咎めがあったらしいです。
結局、現状が記録され、その後、無事庭は埋め戻されます。遺跡調査の皆は、フロリアさんに率いられ屋敷を去っていきました。
やれやれ、と思ったのも束の間の事です。しっかり休みを取った先生方が戻り、新学期に向け指導方法の検討や、編入生の受け入れ態勢の確認が始まります。
「おや、お久しぶりですラシル副主宰。遺跡調査の立ち合いご苦労様でした・・・」
日焼けして笑顔のリムさん、そう労われても何故か素直に受け取れません・・・。
このもやもや感を、どうやって解消すればいいのよ~!
次回、水晶玉、です。




