学者先生
翌週、王都から遺跡学者の先生方が訓練校を訪ねてきました。私は奥様から門のカギを預かり、調査の様子を見守ります。
「初めまして、私は遺跡を専門に調べておるノベルトンと言います。こちら助手のフロリア」
「初めまして、当校の副主宰を務めているラシルと申します」
「ほう、ラシルとは珍しい名じゃ。お生まれはどちらかな?」
学者先生、助手の女性に肘の辺りを、ぐいっと引っ張られます。
「ああ、これは失礼した! 気になると話が脱線しても尋ねずにはおれんのだよ・・・」
カラカラと笑う学者先生。
「では、早速始めてもよいかな」
「はい、その前に一つだけ。幾何学模様になっている庭には手を触れないようお願いします」
学者先生、了解した、といい皆に作業を始めさせます。
・・・・・・・・・
作業は午後も続き、庭の大きさを測ったり、幾何学模様を写し取ったりと、皆忙しく働いています。私は、ポツンと日陰に座って作業眺めます。すると、学者先生が、おもむろに近づいてきます。
「ラシルさんと言ったかね、少しよろしいかな?」
と言いながら、私の横で説明を始めます。というよりむしろご自分で話ながら、頭の中を整理しているようです。離れた場所で助手のフロリアさんが、すみませんと、両手を合わせています。
「・・・この文様は、何かの呪を表しており、似たような形は大昔の碑にもある。確か、東西の国境付近にその碑があるのだ」
(そういえば、アルマー村の長老さんがそんなことおっしゃっていたかしら)
「それは、神々の離宮について書かれた碑ですか?」
思わず学者先生に聞いてみると、
「そう神々の離宮・・・ん?」
「ええ、西の大国との戦を引き分けて戻った時、温泉地の近くに作られという・・・」
学者先生、その言葉を聞くと何やら険しい顔でこちらを見ます、とその時、
「先生! こちらに来てください!」
助手の方が、大声で叫んでいます。
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「ちょっとおかしなものが出てきました!」
私も一緒に覗くと、幾何学模様の庭から少し離れた所、大きな石が埋まっています。
「では、これを掘ってみるか?」
学者先生がこともなげに言うので、庭を掘り返す許可が必要だ、ということを説明します。そして、今日の所はこのままにするようお願いしました・・・。
次回、遺跡、です。




