夏季休暇
「お疲れ!」
今日は、訓練校の学期終了日。女性数人で街の飲み屋に出かけます。
ぐびぐびと勢いよく発泡酒を飲み干し、ダン!と杯を豪快に置くアムル先生、一方、アイラさんは濃い発泡酒を、私は、薄い発泡酒を味わっています。今日は、珍しく暑い日だったので、冷えたお酒がおいしく感じます。
「アムル先生、お休みをどう過ごすのですか?」
「そうだな、繭はあらかた収穫したから、糸撚りは他に任せて、これから薬師の仕事だな」
今は、夏用の薬でなく、秋冬に多く使う薬の仕込み時とか、アムル先生も結構忙しそうです。
「なあ、ラシルさん、この前みたいに働かなくても勝手に仕事が出来る便利な魔法はないか?」
「え? 何ですか? それ、私もお願いします!」
アイラさんは、アムル先生の言葉を真に受けてしまいました。
「う~ん、今はないけど、当訓練校の生徒が、いつかそんな発明をする事を期待しましょう!」
何だ、ないのか、と本気でがっかりする二人・・・。いや、そんなにがっかりされても・・・。
「おお、発明と言えばあれだな!」
突然アムル先生が指したのは、ガラガラと音を立てながら回転する丸い木の上に、沢山の荷物が乗った台を驢馬が引いている姿。何でも、アルシュの訓練校卒業生が考えたものらしいです。
「荷車とか言っていたか? リムの野郎が、将来ユミルとアルシュの間を3日もかからずに荷物を運べる、なんてうそぶいてやがった・・・」
アムル先生、かなりお酒が回っています・・・。
でも、今は壊れたり、荷駄が動かなかったりするので、あまり使われていないそうです。
「アムル先生は、リム副主宰をあまり良く思ってないのですか?」
アイラさんが尋ねます。
「いけ好かない感じだな。貴族に仕えるとああなるのかね? あ、すまん・・・。あんたも貴族に仕えていた口だったか?」
アイラさんは、苦笑いしながら、いいですよ、と答える。
「神殿もそうですけど独特の世界ですよ。周りから切り離されると何が普通かわからなくなります」
そういいながら、アイラさんはお酒をあおります。アイラさんは、水鏡念話という通信手段の腕を買われ、神殿でその技を広めていたとか。昔は、ガウリアさんの術師系のお弟子さんだったそうです・・・。
その後は、四方山話に花が咲きます。酔いにつれ、周囲の喧騒より大きな笑い声が広がっていきました。皆さんは、この夏しっかりお休みを取るそうです。
次回、学者先生、です。




