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俺を殺したクラスメイトが魔王だったので喜んで討伐させてもらいます。  作者: 蒼龍
第3章 勇者イオリ、光の王を従えたい。
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本当の目的


 こうなったら俺もハルかルシファーさんを召喚して応戦した方が……いや、いざとなったらゼルさんやリリアンもいる、今は魔力を温存するべきか? くそっ、俺は一体どうすれば……!


「こうなったら俺が! 燃えろ! 豪乱焔陣!!」

 我慢の限界に達したのか、ゼルさんは素早く二本の件を取り出し、その剣は即座に炎を纏い……

 

 炎……


「馬鹿者! 消せ! 消すのじゃ!!」

 白露さんが声を荒げ、素早くゼルさんに駆け寄るも、時既に遅し。辺りに充満するガスの臭い。ここに到着した時よりは濃度が下がっているように感じるが、爆発する事に変わりはない、ああ、ほらゼルさんの炎が……


 耳を裂かれる程の爆発音、俺は死を覚悟した。いや、俺はいいんだ……どうせまた転生できる。皆が無事ならいいんだ。でもこれほどの爆発、絶望的だろう。


「爆発……したのか……?」

 ゼルさんの素っ頓狂な声、無事なのか? 一瞬だけ肌が燃えるように熱かったからきっと爆発はした。それなのに、まるで何事もなかったかのようなゼルさんの声……

 俺は反射的に強く閉じていた瞳をゆっくりと開いた。


「これは……」

 俺達の周りだけ。文字通りそれだけが宙に浮いていた。俺達のいる階だけ、それ以外は瓦礫と化している。まるで何かバリアでも貼っているかのようにピンポイントだ。


「この馬鹿者! あれほど魔法を使うなと釘を刺したではないか! 危うく死んでいたのじゃぞ!」

 白露さんがゼルさんを叱り飛ばしている間、俺は辺りを見回した。いない、あの怪盗がどこにもいない。それに、空間にポッカリと空いたようなあの穴……。きっと怪盗はあそこから脱出したんだろう。このまま逃がしていいのか? いや、なんだか嫌な予感がする。

 よくよく考えてみたらそうだ。全てあの怪盗のシナリオ通りに事が進んでいる気がする。俺らを操っていたのはメガネっ子じゃない、あの怪盗だ。俺らが怪盗に仕立て上げられたのも、俺がピンチの時に救ってくれたのも、ガスの臭いだけを充満させていたのも……

 この大爆発で逃げ出し、目標の物を盗むため……


「ちょっと俺、行ってきます!」

「あっ、イオリ! 何処に行くでござるか?!」

 俺を引き留めようと手を伸ばしたフルルに「ごめん」と残し、俺はぽかりとあいた穴を潜った。

 ここであの怪盗を逃がしてはいけない、そんな気がするんだ。大体アイツが狙ってる宝が五大精霊の一人だったらどうする? ここで二人手に入るかもしれないのに……


 最初に目についたのは、今までとは違う豪華な装飾が施された扉。そこは怪しく開いていた。怪盗はここにいる、俺は扉の中をそっと覗いた。

 ……誰かと会話しているのか? 声が聞こえる……


「お宝は貰ったからー、コイツどうしますか?」

「殺しちゃってもいいんじゃない? 後は任せるわ。好きにしていいわよ」

「じゃあ殺そうかな。……どかん☆」

 ここからはロープで縛られた女性とあの怪盗の姿だけが確認できる。そして悪戯をする子供のような無邪気な声と共に鈍い音が聞こえた。扉の中からは肉の焦げるような嫌な臭いが鼻を突いた。

 なっ……嘘だ、コイツ……爆弾を咥えさせてそのまま爆発させるなんて……こんな惨い事、なんで……。宝が目的なんだろ? なら、殺す事ないじゃないか。あの時助けてくれて、本当に感謝していたのに……!


 目の前で焦げた肉塊になった女性の為にもこの怪盗を討つ。そう決心し、俺は扉に手を添え大きく息を吸う。止めなきゃ、これ以上怪盗の好きにはさせない。一人でここに来た以上俺がどうにかしなければ。

「お前ら……――……っ?!」

 “――何やってんだ” その言葉は喉奥で固まった。怪盗の後ろからチラリと覗く桃色の髪の毛。まさか……。いや、そんなはずはない、どうしてこんな所に?! この怪盗はお前の差し金だったのか、矢神……!


「姫様、ネズミが迷い込んでるみたい。どうしますか?」

 怪盗は俺の存在に気付いたのかこちらに向かって歩み寄って来る。ここで逃げてもコイツ相手に恥をかくだけ。だったら自分からドアを開けて……!


「あら、久しぶり。わたしの事を殺しに来たの?」

「戯言はよせ、お前と話しに来たわけじゃない。目的は何なんだ? どうして罪のない人を殺すんだ!」

「……何故これに罪がないと言えるの? 貴方は何も知らないだけ」

 憎たらしく微笑む矢神に悪寒がした。だが矢神の一言に返す言葉が見つからない。確かに矢神の言うとおり、この人に罪がないとは言い切れない。だが何も殺す事はないだろ? 俺が間違ってるのか?


 にしてもこの怪盗が矢神の手下だったとは、思いもしなかったな。助けてくれた瞬間から油断していた、もっと警戒しておくべきだったんだ……そしたらもっと早くにコイツらの目的に気付けていたかもしれないのに。


「お前らの目的は精霊か?」

「何言ってるの? 姫様はその気になればどんな精霊とも契約できるのよ? わざわざこんな辺境の地に出向いたりしないよ」

「だったら何でこんなとこに!」

だったら何が目的でこんな事を。この城に隠された宝って一体何なんだ? 想像もつかない。

 だが怪盗は俺の質問を待ってましたとばかりにニヤリと嘲笑うように口角を上げた。


「グリモワールだよ。その一ページをコイツは持ってたの。あ、コイツね、今はこんな焦げ肉だけどさっきまでは一応ここの女王だったんだよ?」

 コイツ……何でそんな残酷な事を恍惚とした顔で言えるんだ。やっぱりコイツら人間じゃない、ただの残虐非道な悪魔だ。それに……グリモワールって何だ? ゲームでよく出てくる魔術書がそんな名前だった気が……


「グリモワールは凄いんだよ、十ページ全部集めると願いが一つ叶う魔術書なの。そしてね……」

「ルル、喋りすぎよ」

 ペラペラと情報を喋ってくれていた怪盗をピシャリと止める矢神。くそ、このまま情報を集めたいところだったが……

 まあ、大まかな情報は入手できた。十枚グリモワールのページを集めれば何でも願いをかなえてくれるんだろ? 問題なのはコイツらが何枚かページを持っている可能性がある事。少なくとも一枚は確実だ。今から集め始めて間に合うのか? だが俺は五大精霊も集めなきゃいけない。大体願いを何でもって嘘くさい。不死身にしてくれと頼んだら叶えてくれるのか?


 あ……そうだ。これを集めたら元の時代に戻れるんじゃないか? もしこの情報が本当だったら、俺は元の時代に……


 アンジュに帰ったら先生に聞いてみよう、きっとこういうオカルト的な話は知ってるはずだから。


「じゃあ、ここはもう用無しだから失礼するわ。また会いましょ……その時はわたしを殺して頂戴ね」

 ニコリと笑って手を振る矢神。言われなくてもいつかお前を殺す。だが今はまだその時じゃない。俺の最大の力で、全力で復讐する……


ページが多すぎて読みづらいとの指摘がありましたので一ページが長くなりますが編集しました!


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