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嫌われてたはずなのに、騎士団のみんなが離してくれない  作者: ぷく


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崩壊と選択

広場に、重い沈黙が落ちた。


次の瞬間――


ミサキの魔力が、一気に膨れ上がる。


白い光。

だがその内側には、鋭い“圧”が混ざっていた。


「……っ」


アオイの体が、びくりと震える。


(……来る……)


心臓が早くなる。

呼吸が浅くなる。


「アオイ!」


ノアの声が響く。


「下がれ!」


レオンも叫ぶ。


だが――


「動くな」


ミサキの一言で、空気が凍る。


見えない圧力が、場を押さえつけた。


「これは“試験”よ?」


「逃げるなんて、許されないわ」


冷たい笑み。


カイルが前に出ようとする。


だが、ユリウスが低く言った。


「……団長、待ってください」


「強引に割れば、民衆を巻き込む」


「……」


カイルの拳が、強く握られる。


「……アオイ……」


アオイの視界が、揺れる。


(……こわい……)


(……でも……)


広場にいる人たちの顔が、見えた。


不安。恐怖。疑い。


(……このままじゃ……)


(……みんな……)


ぎゅっと、胸を押さえる。


そこにあるのは――


恐怖だけじゃない。


(……守りたい……)


その瞬間。


アオイの足元に、淡い光が広がる。


「……やっぱり」


ミサキが、嬉しそうに笑う。


「出るのね、その力」


魔力がぶつかる。


ミサキの光が、鋭く降り注ぐ。


「壊れなさい」


その一言。


アオイの中で、何かが弾けた。


「……やだ……」


顔を上げる。


震えていた目が、少しだけ強くなる。


「……壊れない……」


「……ぼくは……」


「守るって……決めたから」


その瞬間――


感情が、広がる。


アオイの魔力が、波のように広場へ広がった。


それは攻撃ではない。


柔らかい、でも確かな力。


触れた人々の表情が、変わる。


「……え……?」


「なんだ……これ……」


不安が、少しずつほどけていく。


恐怖が、和らいでいく。


ミサキの魔力が、弾かれる。


「……なに……これ……!」


初めて、焦りの声。


「私の魔法が……効かない……!?」


アオイは、立っていた。


震えながらも、まっすぐに。


「……ぼくの魔法は……」


「……傷つけるためじゃない」


光が、さらに広がる。


ミサキの結界が、ひび割れる。


パキン、と音が響く。


「やめなさい!」


ミサキが叫ぶ。


だが、止まらない。


「……みんな……」


アオイの声が、震えながらも響く。


「……怖くていい……」


「でも……」


「……一人じゃない……」


その言葉に――


広場の空気が、変わる。


ノアが、小さく笑った。


「……やるじゃん」


レオンも頷く。


「ちゃんと、立ってる」


カイルは、静かに言った。


「……あれが、お前の力だ」


ユリウスは目を細める。


「……やはり……」


「“共鳴”ではなく、“拡張”だな」


ミサキの魔法が、完全に砕けた。


光が消える。


静寂。


そして――


人々の視線が、ミサキから外れる。


「……聖女様……?」


「なんで……攻撃……?」


「今の……守ってたよな……?」


疑念が、広がる。


ミサキの顔から、余裕が消えた。


「……っ……」


一歩、後ずさる。


その様子を見て――


アオイは、小さく息を吐いた。


(……できた……)


だが、その瞬間。


体の力が抜ける。


「……あ……」


倒れかけた体を、カイルが受け止める。


「アオイ!」


「……団長……」


「……だいじょうぶ……です……」


かすかに笑う。


「……守れました……?」


カイルは、強く抱き寄せた。


「……ああ」


「守った」


その言葉を聞いて――


アオイの意識が、静かに落ちた。



広場には、ざわめきが残る。


ミサキは、唇をかみしめた。


(……ありえない……)


(……なんで……あんな力が……)


そのとき、ユリウスが前に出る。


「聖女ミサキ」


冷たい声。


「説明していただきましょうか」


ミサキは、ゆっくり顔を上げた。


その目は――


完全に、敵のものだった。

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