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嫌われてたはずなのに、騎士団のみんなが離してくれない  作者: ぷく


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聖女ミサキの宣告

王都の中央広場。


昼だというのに、人々はすでに集められていた。


ざわめき。

不安。

そして、どこか期待するような空気。


「……なんだろうな、これ」


ノアが小さく呟く。


騎士団は警備として周囲に配置されていた。

その中心に、アオイもいる。


「嫌な感じがする」


レオンが低く言う。


そのとき――


鐘が鳴った。


広場の正面、白い階段の上に

一人の少女が姿を現す。


ミサキだった。


白い衣。

整った微笑み。

完璧な“聖女”。


「皆さん」


やわらかい声が、広場に響く。


「本日は、大切なお話があります」


人々が静まり返る。


アオイの胸が、どくん、と鳴った。


(……来る……)


ミサキは、ゆっくりと手を広げる。


「王都に――危険な魔法が入り込んでいます」


ざわ、と空気が揺れる。


「それは、人の感情を操り、魔力を歪める力」


「制御不能で、極めて危険なものです」


ノアが小さく舌打ちする。


「……完全にアオイのことだな」


レオンの手が剣にかかる。


「まだ動くな」


カイルが制する。


ミサキは、ゆっくりと視線を落とした。


その先――


アオイを、まっすぐ見た。


「……その力を持つ者は」


「ここにいます」


ざわめきが、一気に大きくなる。


「……え?」


「誰……?」


「まさか……」


ミサキは、はっきりと指を向けた。


「アオイ」


広場の視線が、すべて集まる。


心臓が、止まりそうになる。


「……ぼく……」


足が、震える。


逃げたい。

でも――


(……逃げないって……言った)


ぎゅっと拳を握る。


ミサキは、悲しげな顔を作る。


「本当は、こんなこと言いたくなかった」


「でも……王都の人々を守るためです」


(……嘘……)


「その子の魔法は、すでに暴走しています」


「騎士団の中でも被害が出ています」


ざわめきが、不安に変わる。


「……危ないんじゃ……」


「聖女様が言うなら……」


アオイの視界が揺れる。


(……ちがう……)


(……ぼくは……)


声が出ない。


そのとき。


「――黙れ」


低く、鋭い声。


空気が、一瞬で凍った。


前に出たのは、カイルだった。


「……団長……」


ノアが息をのむ。


カイルは、ミサキを真っ直ぐに睨む。


「虚偽の報告だな」


「……あら」


ミサキは、わずかに眉を上げる。


「証拠は?」


「ある」


カイルの声は揺れない。


「昨日の魔力干渉。

あれは外部からの操作だ」


「つまり――」


一歩、踏み出す。


「お前が仕掛けた」


広場がざわめく。


「……そんな……」


「聖女様が……?」


ミサキの目が、ほんの一瞬だけ細くなる。


だがすぐに、笑みを浮かべた。


「証明できますか?」


「……」


「できないでしょう?」


その言葉に、空気が傾く。


(……まずい……)


アオイの胸が締めつけられる。


そのとき――


「証明なら、可能です」


静かな声が響いた。


人々の間から、一人の騎士が歩み出る。


「……ユリウス……」


レオンが呟く。


ユリウスは、淡々と前に出た。


「魔力波形は記録済みです」


「聖女ミサキの魔法と、完全に一致しています」


「なっ……」


周囲がどよめく。


ミサキの笑みが、わずかに歪む。


「……そんなもの、偽造できるわ」


「不可能です」


ユリウスは即答した。


「王城認可の監査術式ですので」


静かな、だが確実な圧。


広場の空気が、変わる。


「……じゃあ……」


「聖女様が……?」


アオイは、息をのんだ。


(……ユリウスさん……)


助けてくれている。


でも――


ミサキは、まだ笑っていた。


「……そう」


「なら、こうしましょう」


その声が、少し低くなる。


「その子の魔法――」


「ここで、もう一度見せてもらいましょうか」


空気が凍る。


「……なに……?」


ノアが呟く。


ミサキの手が、ゆっくりと光り始める。


「本当に“安全”なのか」


「皆さんの前で、証明してあげる」


アオイの体が、震える。


(……また……)


(……来る……)


カイルが前に出る。


「やめろ」


「拒否します」


ユリウスも一歩出る。


「これは公開処刑に等しい」


だが、ミサキは止まらない。


「さあ、アオイ」


微笑む。


「壊れてみせて?」


その瞬間――


魔力が、爆ぜた。

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