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ハーフエルフの父~エルフの里国編~  作者: タマツ 左衛門之介久


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さくらのチョコレート工房

 今日は活動的な靴を引き取りに、エルフの王宮から南へと続くエルフ達の工房が立ち並ぶ『物創り横丁』(勝手に命名)へと向います。

 この横丁の一番南外れには、ロビックスコーラ、、、『革細工者』であるシーズリの工房がある。


 ロビックスコーラは革職人を表す。各種の動物の皮を鞣し、トラーバ(鞄)やバアティ(靴)、服も作くれる。サッカー用にボールとスパイクを作ってもらってからは、すっかり顔馴染みだ。(のハズ。)


 私の靴の発注に先立って、リーザとさくらは狩猟時に着用すると言う革製のベストを作って貰った。(主に外傷から身を守る為の物。さくらは狩りには出てないのに。)

 リーザのベストは背中から回した皮製のロープで体を締め上げ密着し、肩や腰から吊るした狩猟道具が動きに対して干渉しない仕様。

 その姿は、凄くカッコいい!

 ベストを身に着けた立ち姿は凛々しく気品が漂う。


 それに対してさくらは、どちらかと言えば少しユルユル。

 それは普通のチョキだとかベスト。日常着にもしたいからと。

 そして革色の指定に対して、何故だかバラバラの色合いを指定した。


 リーザとさくらに作られたベストは、大きく分けると前後左右で大まかに4枚の鞣し革が使われる。

 リーザのベストは赤味が強い革色で、立体的な裁断と縫い上げでリーザのボディに合わせた姿を形作る。

 ウエスト部分なんて、キュッと締まっている。

 一方さくらは、4枚の革色がバラバラである。


 ベストの材料となるのは、主にロビックスコーラのシーズリの工房の在庫品が使われる。

 使われる革製品の材料は、獣の類いが本来持っていた物であるから、個体差が有り、別の物が混ざれば色合わせは難しいと。

 シーズリは色味の統一感にこだわりたかったそうだけど、さくらとしては、変に手間を掛けさせたくなかった。


 出来上がったさくらのベストは、見る側からしたら、継ぎ接ぎみたいだった。

 だけど余裕ユルユルのシルエットと色の組み合わせの妙がフェアルン(女エルフ)達に大いに受け、シーズリの工房は注文が殺到してしまった。


 突如として起こった『さくらシルエット』と呼ばれる革ベストの流行。

 私の持つ感覚として、誰かの影響を受け難いと思われるエルフ達にとって、流行だなんて、エルフの里国では初めての事なんじゃないのぉ〜?

 さくらはココ、エルフの里国でのファッションリーダーにでもなってしまった様だ。

 

 ただそのせいで、私のお願いした『活動的な靴』の製作は遅れた。大いに遅れた。

 そもそも相手に対して期限(納期)を切らないので、後回しにされてしまったのかも。まあ、いいけど。


 『活動的な靴』それは強くて軽くて動き易く丈夫な革製靴(欲張り過ぎかも)を注文した。

 どんな物が出来たのだろう?

 それを貰いに行く。ちょっと気が馳せる、楽しみ〜!



 先ずはリーザと揃ってリーザの住居前へと到着。

 ん?なんだかコレってチョコレート?

「リーザ、何だかチョコの匂いが」

 この家からチョコレートの匂いが漂っているんだが?


『コンコン』

 ノックと共にドアを開ければ

「うぷっ」何だぁ、このチョコレート臭!


 そして、見た事の無い風童達がこんなにも!

 クーリャ以外の風童(風の民)をあの場所(嵐の国:トファノキブーミ)の外で見るのは初めてかも。


「あっ、お父さん」

「さくら、コレって」何でチョコレート?そんで風童達?

「お父さん、何だかチョコレート屋さんになっちゃったみたいなの。」

「みたいなのって、」理由があるでしょうに。

 あっ、1個頂きっ!パクっとな。


「あ〜、摘み食いだなんて、風童達もしないのにー!」

 えぇ~ウッソ!あいつらこそ摘み食い放題じゃないのぉ?

 だけど確かに、多くの風童達が集まっているけど、チョコレートで酔っ払ったり、寝ている者なんてのも居ない。



「トファノキブーミの皆さんにチョコレート作りを教えるつもりが、どうやらチョコレート工場になっちゃったみたいなの。」

 さくらは、マウマウキュウイでグタダさん(風大人童:クシャカラナ・バクチャ・ブフォミ・マウキュイクダヴァ)にチョコレートの製造工程を教えた。

 チョコレートの材料となるカカオの代替品となる“シゼコラダ”は溢れる程、トファノキブーミに生息している。

 先日、チョコレートを再現する為に混ぜ合わした“カカラダの実”は、リーザがエルフの里国で調達した物。

 乳成分でまろやかさ、黒砂糖で甘みを加え完成となったが。


 さくらが作ったチョコレート、それはトファノキブーミでも作るのは可能な事は確認出来た。

 この時に試作として出来上がったチョコレート、同行していた風童は大層喜び、チョコレートに飛び付いた!

 しかし、風大人童クシャカラナ・バクチャ・ブフォミ・マウキュイクダヴァは、そんな風童を戒め、留めさせた。


 チョコレート、それは自身も含め、トファノキブーミの民達が“喜び”を得る事に改めて気付いた。

 チョコレートより得られる喜び。それは食べず共に発生していた。

 風大人童クシャカラナ・バクチャ・ブフォミ・マウキュイクダヴァは権能を働かせ、今得た喜びを広げる事とした。

 

「だけど、マウマウキュウイでグダダさんの権能だか戒めって、本人もチョコレートを食べたら天井まで飛び上がっていたのに」


 クシャカラナ・バクチャ・ブフォミ・マウキュイクダヴァが風童達に指示を出したのは、皆に喜びを広げる事、それはチョコレートを配る事。

 皆にチョコレートを届ける事は喜びを届ける事になる、とか。

 

 そして、この一連の出来事が、この場所、今はさくらが主に暮らす、リーザの住居を中心部として続いている、と。

 いや、自分達の里(嵐の国:トファノキブーミ)に持ち帰ってやればいいのに。


 その届ける先は広がりつつある。

「ココ(エルフの里国)の全てに廻るまで、終わりそうには無い見たい。」

 風童達が、変にヤル気を出している。

 だけど配達の途中で、皆んな食べちゃったりしてないのぉ〜?


 風童達がチョコレートを目の前にして“お預け”状態だなんて、信じられない、なんか不思議〜、



「さくら、アレだ。憶えているかなぁ『ホーリョンのお菓子屋さん』、それの『エルフの王宮横店』だな」

 『ホーリョンのお菓子屋さん』以前マルシェにパンとお菓子で参加した時、さくらが付けた屋号だ。

「憶えてるわよ。今はチョコレートに特化しちゃってるけどね。」

 さくらも案外その気じゃんか。



「ありゃっ、クーリャ!」やっぱり居たか。

 物影から現れる様に、風の民(風童)クーリャ・ククール・スッテンドッテン、、、何だったっけ?

「ドギビゴ〜、あたいは配達員の長なのさ。エヘン。」

「なんだよ配達員って、そんで長だなんて」

 クーリャはさくらに居候中。(さくらに押し付けておいた。)


 ココ、リーザの住居で作られたチョコレートは、エルフの里国の民達に風童達が届ける。


「どうせ途中で摘み食いとかして、そんで酔っ払って配達もそこそこに何処かで眠ちゃってんだろ」

 チョコレートで酔う風童。


「ドギビゴー!あたいはサボってなんてない!あたいは長なのさ〜、長たる責務を果たすのさー。」

「何だよ、配達員の長の責務って?」


「お父さん、クーリャは良くやってくれてるの。」

 はぁ?

「何処にどれだけの物を配るべきなのかを判断して選別し、指示を出す。それは配達員となる他の風童の為の立派な班長としての役割をこなしているの。」

 クーリャがまとも?それで褒められてる!


「どうだドギビゴ〜!」

「その内すぐに、化けの皮が剥がれるんじゃないの?」

「化けの皮が、、、良く知らない事を言うなー!だけどあたいを下げ荒んでいるのは分かるぞー!」

 あ〜はいはい、声がデカいよ、相変わらずうるさいなぁ。


 ん?いつもなら、背中の光る羽根を広げて飛び掛って来るだろうに、、、。

「そう言えばクーリャ、何で胸に布なんて巻いてるの?もしかして、チョコレート配りの班長の印?」

 クーリャの胸の位置には、背中からタオルを回して前で結んでいるような、布?

「お父さん、実は、」


 チョコレートの試作を行った時、クシャカラナ・バクチャ・ブフォミ・マウキュイクダヴァに同行していたのはクーリャであった。

 さくらの手解きで試作となったチョコレートは程なく出来上がった。

 だが、クーリャは出来上がったチョコレートにすぐさま飛び付いた!

 その時、クシャカラナ・バクチャ・ブフォミ・マウキュイクダヴァの戒めにより、クーリャの背中の輝く羽根は、焼き切られてしまった。


 風童は不死に近い再生能力を持つ。

 背中のヤケドと切られた羽根は時間が過ぎればキレイに治る、との事。

「なんだよ、戒められたのってクーリャかよ(やっぱり)。だけど戒めで背中を焼き切るだなんて、マウマウキュウイでグタダさんって恐ろしい『技』を持ってるんだなぁ」

 おっとりとしてぽやぁ~んとしてるかと思ったけど、なんか凄い“力”を持っていたんだ。

 そこはババァンズロースのシミから渡った権能かな?


「だけどクーリャ、災難だったなぁ」

 チョコに飛び付いて、背中を焼き切られるなんて、その場面を想像したら同情しちゃうよ。

「そうか、チョコを運ぶのに翔んで行けなくて役不足だから班長か。まぁ、クーリャが配達役だったら、自分で食べちゃってどっかで寝てるだろうけどな」


「ドギビゴー!あたいは真面目なのさー!ちゃんとチヨコレイトを食す刻をわきまえているぞー!あやまれー!」

 あーうるさいうるさい、同情したのが損した気分、

「はいはい、ゴメン、ゴメン」


「お父さん、風童達は役割を与える事によって、それに邁進する。実は凄く真面目なの。」


「役割なら以前から持ってたじゃん。人だろうが物だろうが、喜びを与えるって」イタズラでな。

 そう言いながら、変な解釈でイタズラする事が主だったみたいだけど。


「そこは、彼らの管理者が替わったからなのよ。確かにチョコレートを摘み食いする事に少しの監視は必要かも知れないけれど、お父さんが思う程ではないのよ。」

 風童、不真面目で能天気な姿しか思い浮かばない。

 オレのイメージの見本がクーリャだからかも。

 真面目な風童、、、それが『少し』であっても理解出来ない。


「スルガトキヒコ」

 あぁ、奥の部屋からマウマウキュウイでグダダさんか現れた。

「スルガトキヒコは我らを救います。此度は新たで改な喜びを与えられしに等しき。」

「いや、オレ何もやってませんよ」

 救うだなんて、トファノキブーミの者も大袈裟か。

「チョコレート好きはトファノキブーミの皆さんの嗜好でしょうし(オレも好き)、実際にやっているのはさくらですし」


「スルガさくらには、多くの感謝を掲揚します。」

「どお、お父さん。エヘン。」

 クーリャかよ。



「シゼコラダが足りなければ、今はココでも調達出来るから。」

「さくら、それってもしかして、シゼコラダ(こちらの世界でチョコレートとの原料となるカカオの代替品)の調達にトゥクルトッドドゥーの寝床だかの森の奥に行ったって事?」

 オレはまだ、行ってないのだが。

 でも、あいつらの寝床になんて行ったら、タダでは済まなさそう。スッゲー突かれそう!


「まあ、チョコレートをこの里国で広げる事は、一応女王様の了解は貰っていた様なモノだけど」トファノキブーミはエルフの里国の外なんだけど、いいのかなぁ?

 人間社会の食文化だぜ。

「チョコレート戦争が起こったりしてね。」

 それだともっとダメじゃんか。



 リーザはさくらに誘われ、チョコレートの新味研究の手伝いを少しするとの事。

「トキヒコさん、宜しいでしょうか?」

「うん、特に何か急ぐ事は無いしなぁ」

 でも、さくらが研究するチョコの新味ってどんなモノなのだろう?ちょっと気になるけど。



「まあ、ココまで来たのだから顔出しておくか」

 私はエルフの王宮へと向かう事にした。

 ココのチョコレートの匂い、エルフの王宮まで届いているだろうし、変な影響とか、変に迷惑を王宮に掛けていない事を祈ろう。

 リーザの住居はエルフの王宮の敷地内、王宮まで徒歩3分程。


 エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーのおあす『花の間』の扉前に立つ。

 高い天井近くまで届く、長く大きなこの扉は、私では開けれません。“魔力”を行使しないと無理です。

「あ〜女王様、スルガ」

「スルガトキヒコ!」

 私の声掛けの途中で、花の間の扉が勢い良く開いた!

 そして私の名を呼び、飛び出し現れたのは?


「んー、あれ?もしかして、イインジュさん?」

 魔術者の国、ヘイイアンデユンズィギュオ国。

 その国にて一番“力”を持ち、一番高い山で暮らす王、イインジュ・ブュヤ・ギュオワン。

 いきなり飛び付かれそうになり身構えたけど、私には届かず手足をバタバタと。空中で止まってる?!

 あー、女王ユーカナーサリーの“魔力”か。便利!


「お久し振りです」

 だけど見た目がちょっと変わってる様な、それで何年振り?

「スルガトキヒコの数えで20の年近くを経ちますか?」

 約17、18年前ぐらい、

「そんなに経ちましたか」

 半強制的に連れられた日から、そんなに経つのかぁ。


「私は見ての通り、ただのオッサンになりました」

 誰かの見た目が変わらないと思う世界で、イインジュさんはうら若き美少女から立派な大人というか、立派でステキな女性になられた感じ。あ痛っ!ユーカナーサリーだ。

 ユーカナーサリーは変化を直接見せて下さりました。


 以前(約20年前)は、少女の面影を残したままのイメージだったけど(実際の年齢は知りません)、あの国で一番の魔術力を持つから、王様だった。


 イインジュさんはエルフでは無い。エルフに比べれば年月の経過で身体の成長に依る変化が人間に近く有るのか。

 そう近く。有るんだけど、比べるのが憚れる程、見た目が若過ぎじゃな〜い?まだまだ少女でも全然通じちゃう!オレみたいな年齢の経過による加齢感が薄い、、、いや、無い!

 同じ年を重ねて来た筈なのに、若い!なんかズルい!


 確かあの国で、大きな魔術力を得る為には、200年だかの修行を積む時間が必要だとかエルフの里国の王、女性ユーカナーサリーは仰られていた記憶が。

 だからと言って、年月の経過がおかしく無いか?

 皆は若いままで、私だけ加齢時間が早送りされているのか?

 この世界の時間軸なのか、この世界に住む者達の特徴とか性質なのかなぁ。



「しかし、どうされたのですか?」

 女王ユーカナーサリーの元には、外からの来客者が時々あるとは聞いていたけど、イインジュさんが来られた事は今まで聞いた事が無かった。


「スルガトキヒコと私の関係性を以ってして水臭い。私の国へと参れば、お前に与えている権能が使えるのに、ちっとも来ぬ。」

 そうだった、確かヘイイアンデユンズィギュオ国内限定で、魔術を使う為の魔力量をこの身から出せるって言われていた。


 高い山々が連なるヘイイアンデユンズィギュオ国で、一番高い山にて暮らすイインジュ・ブュヤ・ギュオワンの元へと伺うには、シャンシャン何とかヒダーリウォッシュだとかを行う為の毛布がシュー(魔術力)が必要だとか。

 それをお与え頂いたとか。

「尚もこちら世界に住みながら、挨拶にすら参らぬ!」


「あー、スミマセン。でも、多分自力で入れませんし行けませんよ」ヘイイアンデユンズィギュオ国は、外世界を拒絶するかの様に、雷を発生させる黒く分厚い雲に囲まれた先に在る。

 それに具体的な場所も方向も知りませんし。

「だから私を呼びなさい。」

 エルフの里国は、女王ユーカナーサリーの結界に囲まれている為、イインジュ・ブュヤ・ギュオワンと言えど“魔術”に依る何かしらを届ける事は出来ない。


「本日はな、チョコレートの礼へと参った。私達はエルフと違い、礼節をわきまえる。礼を尽くし、上の者に従う節を持つ。」

 エルフの里国の者達は、改まって表す礼節を持たない。

 だってそれが必要無いぐらいに、常に普通に意識として持っているから。


 へぇ~でも、チョコレートをお食べになられたんだ。

 でも、誰がイインジュさんの所へ持って行ったんだ?

「チョコレート、どうでした?」

 あ〜風童の誰かが、イインジュさんに届けたのか。

 ん、風童はあの分厚い雲を通り抜けれるのぉ〜?!

 『風の流れ』を使って、行けちゃうって事〜?!


「チョカラトとは似ているがたがう物。すっかり虜となってしまったわ。」

 あっ、今“チョカラト”って言った!

 て事は、マウマウキュウイでグダダさんがチョカラトを食べたのは、ヘイイアンデユンズィギュオ国だったんだ!

 確かにヘイイアンデユンズィギュオ国は、エルフの里国よりも文化面は向こう(人間社会)に近いかも知れない。

 本棚も有ったし(本、広げられませんでした)、学習机なんかも並んでいたし(魔術が掛けられていたのか、無限に連なる勉強コーナーみたいだったけど)、下の界隈(降りてないけど)は、多くの魔術の鍛錬と修練を行う者達が暮らす町であるとも聞かされたし。


「スルガトキヒコ、いずれとした?」

「いえ、ある(大人)風童がチョコレートを食べた時にチョカラトとは違うと、でも、ちょっと事情があって、何処で食べたのかが思い出せなかったんですよ」


「それがヘイイアンデユンズィギュオ国だったなんて、何かの縁を感じちゃいますね」

「そうよ縁!私とスルガトキヒコは、運命に等しき縁を持ちましょう。さあこのまま私の国へと参ります。」

 あー、こんなオッサンでも相手にして下さるなんて、流石王様、心が広い。


「成らぬな。淫靡なイインジュ・ブュヤ・ギュオワンにトキヒコを渡すなど、甚だ聞けぬ。」

 女王ユーカナーサリーが“ズイ”と玉座より立ち上がった。

 私とイインジュさんの再開の場面にやっと(?)割り込んで来た感じ。

 でも『淫靡いんび』だなんて。

 確かにエルフの里国の者達に比べれば、性的な興味を持たれていたイインジュさんはそうかも知れませんけど。

 以前イインジュさんを『サキュバス』と仰られていましたが、(私の持つイメージですけど)人間の方が余っ程『淫猥』で『淫乱』な性質を持ってます。

 


「してイインジュよ、合わせ引くが良い。」

「?」

「トキヒコに向いしポクーサ(誘惑)成れ、オクパシジャー(占有)、コントロイア(支配)も届かぬであろう。尚もトキヒコに内成る魔力が届かぬ事も実証済みであろうに。」

 トキヒコにはザーララ、ユーカナーサリー、そしてリーザによる『守護の結界』に包まれている。

 尚もトキヒコには何故だか内成る魔力が通じ難い。


「エルフ王とて、何やらスルガトキヒコに向け様に。」

 もしかして、今イインジュさんから何かされてた?


「女王様、それってもしかして、魔力対決?」

 魔力同士の何やらが、ぶつかるシーンなんて見た事が無い!

 いえ魔力、見えません。


「ヘイイアンデユンズィギュオのシェンティヒダリィアンウォーシュ(魔術)であらば、我は父王より習うモノは有る。有るが業とし倆(技量的な能力やテクニック、種類)とする成らば、イインジュが先か。」


「確かに倆(技術)には長けましょう。ですがエルフ王の持つ域(魔力の達する境界)に加えモォファシュ(魔術力)為るには届かざる。」


「って事は『技』対『力』!」

 うわぁ~見てみたい!


「試すか?」

「エルフ王の申し入れと成れば断れず。」


「あっ、いや、ダメですよ!」


「何、トキヒコが期待しておる。怖いモノ見たさに等しきか。」

「あー、かも知れませんけど、何かダメです。競う事と違った争いになってしまうとしか思えませんし」何か嫌な予感。


「競うであれば宜しくてよ。ただ、その競いをエルフ王が如何に解釈と成るのかは、甚だ怪しかろうけど。」

 イインジュさん、ユーカナーサリーを挑発しちゃってる。

「解釈成るか、トキヒコ、其は我也で良かろうか?」

 うわぁ~、それって普通や当たり前には、個人差があったり、個人の判断する範囲には違いがあるって事(私の言い訳のひとつ)を逆手に取ってる〜


 でもでも『“魔力”対“魔術”』!

 実際に、リーザであれユーカナーサリー、ザーララさんが“魔力”を行使した時にその何だかの流れとか、それこそ対象物にぶつかったりしてどうこうなった、なんて見た事無い。

 あー、ザーララさんは青い稲妻を自分の周囲に発生させたり、ユーカナーサリーであったら炎を頭上で回したりしてた。

 って、事は?!


 先手はユーカナーサリーの渦巻く炎の攻撃!ゴゥ〜ゴゴゴゴゴ、ドーン!

 受けるイインジュ・ブュヤ・ギュオワンは、、、何だろう?

 そうだ、氷の防壁!ピキーン!バシシィ!ズズズズズ、、、。

 瞬きをする間も無く2手目、3手目!

 無数の攻防!

 ズバァーン!バシッ!ズガーン!ゴゴゴゴゴ、、、おお!


 激しくぶつかり合う“力”と“力”!

 どちら共引く気は更々無い!

 王と王、女と女の存在を賭けた戦い、それは激しさを増す!

 いや、ダメだろう!

 

「トキヒコの期待、見せ様ぞ。」

「いやいやいや女王様!ちょっと勝手に想像しただけですから!」マンガの世界を!



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