トキヒコ観察記 オロゥワクザミー 鉛筆作り
グルビイ・レドセン・オロウェク(太い芯の鉛筆)では無く、私の知る、今まで使って来た様な鉛筆を作ります。
先ずは手に入れた『オロゥワクザミー』から鉛筆の芯を作りましょう。
家の外に誂えた作業台の前に立つ。
これは、ズレヅノォグロマジチキシェ(建具や家具を作ってくれる木工職人)のストラーカに私の希望で作ってもらった物。たからオーダーメイド品と言っても良かろう。
「さてでは、このオロゥワクザミーから芯を作るんだけど」
カミエニオラム・コパルニィアから持ち帰った、鉛筆の芯の原料となるオロォワクザミーを作業台の上に置く。
あー手も台にも黒いのが移った。
「オロゥワクザミーが柔らかく感じても、石だか岩には変わりが無いなあ。それを粉状にするなんて、」どーやるの?
オロゥワクザミーを小さく砕いて、掘削機や撹拌機にでも掛ければいいのかも知れないけど、もちろん、そんな機械はココには有りません。
「トキヒコさん、順を追い、行いましょう。」
先ずはリーザが取り出した麻製みたいな袋にオロゥワクザミーを突っ込む。
そして地面に屈み込み、平らな大きな石の上にその袋を置いて、簡易的に作られた岩製のハンマーで殴る!
「おっ」
感触有り、オロゥワクザミーは割れたようだ。
でも原始的で乱暴だなぁ。
『ガツン、ガツンッ』と、
麻袋が破れない様に、丁寧に、だけど乱暴に岩頭のハンマーを繰り返し打ち下ろせば、オロゥワクザミーは砕けて、石が入っていた膨らみはデコボコした平らになった。
「まあ、何とか岩から小石か砂利ぐらいにはなったかも知れないけど」粉にするにはまだまだ先が思いやられる。
「それに、これ以上細かくすれば、袋の隙間からオロゥワクザミーの粉が出て来そう」
叩けば『バフッ』と黒い粉が舞うのはちょっとヤダなぁ。
「トキヒコさんの仰る通り。ですのでこの後はロウにて続けましょう。」
おっ、ロウの出番か。ロウはアスリート顔負けのガッチリした身体付きだし、オロゥワクザミーを砂利から粉へと力技を見せてくれるのか?
「いえトキヒコさん、ロウの『術』にて先へと進みましょう。」
あ〜、ここからはロウの持つ“魔力”を使うのか。
でもそれって、少し反則じゃない?
いや、エルフ達は日常生活において、魔力を行使している。
“魔力”に対して、凄く特別な行為だと思っていたけど(一般的なイチ人間の私からすれば、特殊で特別、超特別な事には変わりないのだけど、“魔力”と思うと直にマンガやゲーム、映画を見て育って来たから、、、空を飛んだり、火を吹いたり、熱球を投げつけたり、冷凍ビームとか、空想である魔法の力を想像しちゃうから。)、私が気付かないだけで“魔力”は行使されている。
極自然に、極当たり前に。
それはエルフ達が“魔力”を行使する事は、彼らの願望でも有ると。
もう少し速く動きたい、もう少しで手が届く、これを持つには力が足りない、、、彼らの日常生活の中で生まれる願望。
野望でも無ければ、大きな利益を求めるでも無く、私から見れば極補助的なモノ。
だけどエルフ達は欲求なんかは表さない、要望すら訴えない、そもそも持たないのだと、そんな認識を持っていたから、エルフ達がそんな側面を持っているのだと聞かされた時は、、、知らなかった、そう思い込んでいただけに、この事実を知った時には大層驚いた。それこそ驚きで尻もちでも着いてしまうぐらいに。
でも、ココ(エルフの里国)で過ごさなくては、暮らさなかったら見えない事だったのであろう。
だから驚き以上に、何か嬉しかった。
「ではロウ、バトンタッチ。引き続きヨロシク!」
さてさて、ロウはオロゥワクザミーを砕き進むのに、どんな魔力を使うんだ。
ロウは作業台の前に立ち、目の前には私に砕かれたオロゥワクザミーが入った麻袋が置かれている。
何か空気感が変わった!気がする。
魔力は見えない。だけど何か感じる!気がする。
ロウの周囲に何やら枝とか木の根、木の皮が集まれば、、、大きな一升枡の様な箱が出来ちゃった!
コレって、極補助的でも無ければ、極当たり前の魔力行使なんかじゃ無い!
空想の魔法のまんまじゃんか!
反則技だー!
「ロウ、凄いけど、反則だ〜」
ロウの魔力、、、やっば凄い。
これだけ凄い魔力を発揮出来るんだから、オレが麻袋をハンマーで砕いた工程も端折れるんじゃないの?
「トキヒコ殿、私が行うのはトキヒコ殿の手助け程度としか成りません。」
いや、オレの手助けだなんて畏れ多い!一から十まで、全部やってもらった方がいいのかも。
ロウはさっきの袋を手に取ると、麻袋の中で私に砕かれたオロゥワクザミーを木箱に移す。ザザーッと。
でもそこは手作業なんだ。
ロウは、砕けたオロゥワクザミーの入った箱を前に、今度は口も開かず見つめている。
「ロウ、今は何の時間?」
「はい、この後の行使に依り起こります事象、及び其の結果の確認と成りましょう。」
あ〜、『術』を行使する前の集中していたタイミングだったのね、ゴメン。
『コツコツコツ、、、』
ロウの前で誕生した木箱から音が聞こえ出した。
これは箱の中の砕けたオロゥワクザミーが動き出し、箱の内側に当たっているんだ。
物が勝手に動き出した!って、ロウの“魔力”ね。
箱の中のオロゥワクザミーは、その音の大きさを増す。
だが、ロウの目の前に置かれた木箱は微塵にも動かず。振動すらしていない様である。
ちょっと上から箱の中覗けば、
「うわぁ~」中身が回転してる!黒いツブツブが渦巻みたいに動いてる!
あっ、さっきみたいな音が聞こえなくなったのは、オロゥワクザミーが小さく砕かれて、粉になりつつあるからなんだ。
「でも」
中身がこんなに激しく回っているのに、箱から何も飛び出して来たりしてないし、粉が煙の様に立ち昇っても無い!
オロゥワクザミーは真っ黒だから、それを粉状にしたら、、、少しの風で黒い粉が広がれば大変な事になると思ったけど、
ほぇ~ロウ、スゲーなぁ!
でも、リーザだって“ハイ・エルフ”だ。
「コレってリーザでもやれちゃう?」
「いえトキヒコさん、近き事は適いましょう。ですが此の状態成れの粉末、其の粒の大きさも等しく、」
どうやら、ロウがオロォワクザミーを粉にしているその粒の大きさも揃ってるみたいだって、どんだけの制御と調整が利くんだ?
そこはエルフ王家の血が持つ力かぁ。
以前ロウは自分の持つ“魔力”(力?量?)を女王ユーカナーサリーと等しく近い力を持つと言っていたからなぁ。
でも、エルフの里国の王、女王ユーカナーサリーは成長と言うか、大きな変化に見舞われた。
それに伴って、何か“魔力”の力なのか、その勢いも変わった様に感じたけど、どうなんだろう。
改めて木箱の中を覗けば、見事なオロゥワクザミーの真っ黒な粉末が出来上がっている。
「何でこんなになっちゃうのかなぁ。機械も手すら使ってないのに」魔力、分かりません。
「トキヒコ殿、どうされました?」
「う〜ん、何かが足りない。いや、ロウの力を侮どっているとか、この粉の状態が不十分とかでは無くて」
とにかく、ロウの持つ凄い力を見せられた、、、まぁ、何時もの事なんだけどね。
ただ、この凄い技に名前が無い!
うーん、どうだろう
『グルグル黒粉粉砕!』
「トキヒコ殿、其は?」
ロウ、その不安そうな顔は、どうした?
「この技の名前だよ」
「な、名と成りまするか。では、そうしまする。」
うんうん、我ながら何かのネーミングに関しては、いつも冴えてる!
何処かの広告代理店とか、新商品のネーミングの際は、オレに依頼して来てもいいぞ。
「よし、決まり!」
私は勢いで木箱の乗る作業台を手でバァーンと叩いた。
「うわっぷ!」
木箱の中で粉となったオロゥワクザミーは舞い上がり、黒い煙が立ち昇る!
「うげ〜、少し吸っちゃたよ、ゴホッ、ゴボボ、ゴホッ」
鼻の穴も喉も黒くなっちゃったかも?
トキヒコが名を表せたロウの魔力に依る『術』である『グルグル黒粉粉砕』。
リーザは“黒粉”と“粉砕”では『粉』が被っている事については触れなかった。
さあさあ、オロゥワクザミーを粉状にする事は出来た!
それを今度は、ロウが持って来てくれた粘土と混ぜて、
「リーザ、オロゥワクザミーの黒粉とこの粘土はどれぐらいで混ぜればいいんだろう?」
どれ位の割合?
「そうですね、他の者が使いしグルビイ・レドセン・オロウェクに近き状態であれば混ぜます比率は低くく、粘度としての柔らかさを感じましょう。高き硬度を持つならば、比率高きにて行いましょう。」
そう、今まで借りた物は、確かに紙だか皮に書く時に、粘り付くイメージはあった。それは、鉛筆の芯とは“別の何か”を感じさせる物。
今作りたいのは、私が今まで使って来た鉛筆と変わらない物。
だから粉となったオロォワクザミーに混ぜる粘土質の材料は、その混合比率は低めで、、、いや、低めってどれぐらいなんだ?
「トキヒコさん、芯は如何程に?」
「そうだなぁ〜」美術の時間に使っていた鉛筆の芯でいったらBとか2Bだったかなぁ。
「特別絵心がある分けではないけど、少し濃くて柔らか目に感じる、2Bぐらいかなぁ」
余り力を入れず共、優しくそっと描けるやつ。
「でも薄くて硬いのも、有ってもいいかも」
何かのデッサンなんかだったら、硬くて薄いHに幾つか数字が乗ったやつを組み合わせたりして使うとも聞いた事がある。
「では、先ずは柔らか目、2B相当を目指しましょう。」
リーザは私の世界の鉛筆を理解しているから、イメージもバッチリだろう。
「それでは、混ぜます粘土は少な目にて。」
リーザの言う配合比率が見当も着かないので、お任せします。
次に取り出されたのは、陶器製のすり鉢。少し大きく感じるけど、厚みが有って、内側に擦り潰すデコボコの溝が付いた、そのまんますり鉢。
「こちらに、」
リーザは黒粉となったオロォワクザミーを入れると、ロウの持って来てくれた粘土をほんの少しだけ取り分けた。
いや、リーザいつの間に準備してた?
「ではトキヒコさん、混ぜましょう。」
「粉にしたオロォワクザミーとこの粘土を混ぜて行くんだけど、粘土、こんなに少しでいいの?」
リーザは頷いて答えてくれるけど。
粉のオロォワクザミーは、握り拳ぐらい入ってる。そこに割り箸一本分ぐらいの粘土、少なくない?
「まあ、いいでしょう。混ぜます!」
すり鉢に擦り棒を突っ込んで、粉が舞い上がらない様に粘土質を押し潰しながらソロソロとグリグリと、、、混ざりません。
「コレはちょっと、いや、大分難しい」日が暮れそうだ。
開始早々に音を上げそう、、、あー、リーザとロウにジッと見られてる、、、もう少し頑張ります。ソロソロ、グリグリと。
でも、やっぱダメ。
「ロウ、バトンタッチ」
ロウに擦り棒を渡した。
ロウ、今度はどんな『術』?
ロウは擦り棒を手にしたまま、私と同じ様にすり鉢に擦り棒を回し出した。
「あれ、ロウ『グリグリすり鉢混ぜ混ぜ』は?」
トキヒコが咄嗟に無理矢理付けた名。
「ええトキヒコ殿、魔力は行使しておりまする。」
「えっ、そうなの?」
確かにすり鉢を覗けば、ただ擦り棒を回しているのとは違う様な、、、。
ロウが回す擦り棒の先では、粘土が広がりそこに黒粉となったオロォワクザミーがまるで絡み付くかの様に、擦り込まれて行くかの様に。
真っ黒であった粉が固まり、何かの固体を感じさせる形状を持ち出す。それは真っ黒な泥団子。
「ふえぇ〜、あんなに有った黒い粉が、あんなに少ない粘土とまとまって、真っ黒な粘土になっちゃったよ!」ロウ、すげぇなぁ!
「ロウ、凄いな!だけどリーザ、この状態を私の人力で出来たのかは怪しいなぁ」
そう簡単に黒い粉と粘土が混ざる感覚は無かった。それを均一に混ぜてひとつの黒い粘土にするだなんて、出来上がりの想像すら着いてなかった。
「そうですねトキヒコさん、永き刻を用いれば可能としたでしょう。」リーザがイタズラっぽく微笑む。
あー、だよなー。
オレ(人間)の力では、無理だったのかも。
出来上がったオロォワクザミーの黒い泥団子。
「さてリーザ、次は?」
リーザが次に取り出したのは、まな板?と麺棒?と取手の付いた木の板。まるで麺作りの道具みたい。
「次にトキヒコさん、出来ましたオロォワクザミーの黒き粘土状成る物を伸ばし、任意の太さにて切り出し、芯と成ります丸く整えましょう」
成る程、それならここに揃った道具の合点が行く。
でもリーザ、いつの間にこんなにも揃えたの?
先ずは黒い泥団子を小分けにして、ひとつを丸棒で伸ばします。ピザの生地とかギョーザの皮の様に。
手も台も丸棒も、真っ黒になるけど今は気にせず。
薄く広がれば細く切るけど、切った一本は鉛筆の芯の太さになる事を意識して。シャーペンの芯を作る分けではないから、そこまで細くなくでもいいだろう。
「おお、黒い麺みたい」
だいたい、そうめんからパスタ位の太さ。ながさも太さもバラバラですけど、だいたい揃ってるので良し!
コイツを次は木の板の下に置いてコロコロと。
「おおっ!リーザ、ロウ、鉛筆の芯が出来たよ!」
見た目鉛筆の芯に変わらない、ちょっと感動!
さっそく出来上がった一本を摘み上げる!
「ありゃ、」ちょっとグニャーんと。
「トキヒコさん、しばらく間を置きませれば、粘土質が含みました水分が飛びましょう。さすれば硬度を得ましょう事。」
そうか、ではではしばらく放置しましょう。
でも、やったー!鉛筆出来ちゃった!
「いえトキヒコさん、今は芯成れ。鉛筆と申しますからには、この先にも。」
「いやリーザ、ここまで色々やって、」ちょっと休憩。
だけど、面倒で難しい事はロウがやってくれたから、疲れてはないよなぁ。
なんか鉛筆の“芯”が出来た達成感に満たされている。
だけどそうそう、『鉛筆』として、一本は今日完成まで行きたい。気を取り直して。
「リーザ、次をお願いします」
「はい。」
さあ、次はどんな工程だ。
「では、次に参ります。次に持ち手、本体部分と成りましょうか。」
そうだよ、芯が出来たならば、次は鉛筆本体にいかなくっちゃね。
鉛筆を構成するパーツは本体と芯との2パーツだよな。
リーザは角材に近い木を幾つか取り出した。コレ、またいつの間に?
「細木を割ります。」
リーザはいとも容易く、作業台に置いた角材に上から刃物を押し当て、細木を縦に真っ二つに割り出した。
そこから更に小分けにでもする様に、数本の角棒を切り出した。
やるぅ〜すげー!でも、ノコギリとかは?
「トキヒコさん、木目です。この細木の持つ木目に沿い割りし事。故に切り出す際にも、木の持つ方向を意識します事。先の工程にも続きます事。」
木目に沿って刃物を押し当てても、こうはならない。
はぁ~流石。次の手順に繋がる事を考えて。オレならただ単に細木を切り出すだけだったよ。
先の工程って、やっぱアレか。この角棒を真っ二つにして、間に芯を挟むんだな。
あっという間に細木が何本か出来てる。出番が無かった。
リーザからその内の一本を渡された。
鉛筆とするには少し太いし、そもそも角材の状態。
まあ、四角い面の鉛筆も有るだろうけど。
「ではトキヒコさん、整えましょう。」
そうね、このままだと鉛筆にはちょっとなー、と思ってた。
「トキヒコさんが想います“鉛筆”へと整えましょう。」
よし、リーザを真似て何かの骨から創ったナイフを手に取る。
カッターナイフの扱いなら、オレでもプラモデル作りで養った『技』が活かせるから、活躍する場面が巡って来た!
もう少し細身にしたいから周囲を削り整えて。
次に削った面を整える為に、細木に刃を立てて丸くなるようにカンナ掛け。
三人揃ってシュッシュッ、シコシコと。
「おお〜」
ちょっと、端から端までの太さが違う所は有るけど、もう見た目鉛筆じゃん!
同じく作業をしていた2エルフの手元を見れば、真円に近い断面を持った細木が並んでいる。
自分の物を見直せば、、、断面はガタガタの楕円だし、表面も波打つデコボコ、、、オレの得意としていた刃物の扱いが、、、ちょっとショック。
それを一本、なんとか作り出す間にこのエルフ達は?!
「トキヒコさん、仕上がりました様ですね。」
「う、うん」あー、お二人に比べ引け目を感じる。
もしかして、二人共鉛筆作りの経験があって、その道のプロだったりして?
エルフはオレよりも長い時間を過ごして来ただろうから、有り得る!
「トキヒコさん、鉛筆作りは私であれロウであれ経験無き事。尚も我らの里国で扱いし物とも様相が異なります。」
鉛筆はエルフの里国には無い物。だから作ってるんだった。
ただ、リーザもロウも私の居た世界で暮らした時間を持つ。
鉛筆は知っていたから、今回特に何かの説明をせずとも、すんなりと作業が進んでいるのかなぁ。
まあいいか。
「リーザ、次はコレを縦に割る?」
「はいトキヒコさん。先程の木目ですね。縦方向であれば、」
リーザは鉛筆の形まで行った細木を立てると、小刀の刃を当て、薪割りの様にスパッと縦に真っ二つにしてしまった。
「ほぉ~お見事!」
「トキヒコさん、木目に沿いますれば宜しいかと。」
リーザを真似は出来ません。だけどオレ流で、立てた細木に刃を当てて、上から手で抑えながら体重を掛けて、木目ね、木目。
「はっ!」
「ええー?!」
見た目真っ二つになった、いや、途中から斜めに割れちゃったよ!
ふたつに別れたオレの細木はリーザの様に左右揃った物にはならなかった、、、あー残念、ちぇっ〜。
「トキヒコさん、ご心配無く。一本の長さが少し短く成りましょう。芯を設けます溝成れは確保出来ましょう事。」
そう、細木を左右に割ったのは、細木に芯を挟む為。だから短くても、、、あースタートから短い鉛筆かぁ。
鉛筆をバラした事はあるんだよなぁ~芯の窪みがある半円の木の棒が左右から芯を挟む様に貼り付けてあって。
そのイメージのまま、細木を2枚開きにしたんだけどなぁ。
「更に、割り揃えましたモノに対し芯を挟むべき溝を作りましょう。」
うん、コレは予想通り。
「溝の大小にて、挟みます芯の太さを決めれましょう。」
そうそう、さっき作った芯を挟んで収まる様に溝を作ろう。
先ずは真っ直ぐにナイフでケガクように真ん中に縦一本の線を入れて、ロウが作った丸棒を定規代わりに一本スゥーと。
その線に対して左右から斜めに切り込む様に三角の溝が出来れば、今度は刃を立てて半円になるように削って行く!
彫刻刀が有ったら良かったのに。
それを左右共に作れば。
「リーザ先生、溝が彫れました!」
「トキヒコさん、良いですね。」
褒められた。
「では、先程の芯を当ててみましょう。」
そうそう、さっき出来た芯。セットすれば、
「おお〜ピッタリだ!オレもなかなかやるなぁ」
溝に芯を揃えて、左右を戻す形で挟んで、接着の糊まで!
リーザ本当にいつの間にか準備万端で。
オレの未来を見通してた?
ギューと芯を左右から細木で挟めば、少し柔らかく感じていた芯が溝に馴染んで行くみたいだ。
「この糸で固めておきましょう。」
私が摘んで押さえている鉛筆にリーザが糸を巻き、接着糊が乾くまで固定だ。
鉛筆作りのゴールが見えた。
「でも、どうしてココ(エルフの里国)で使われてる鉛筆(相当)は、あんなにも太いの?」
太書きのマジックペンぐらいの鉛筆の芯。
「我らはズボラ、、、と申しますより、使う者次第でしょう。」
ストラーカは細かな線を引いたり、木細工をするから、凄く細い鉛筆も作れちゃうだろうに。
ロダッツだって、舟用に切り出す木材に下書きするかも知れないし。
「太き鉛筆であれど、先を細く削りませれば良き事。大は小を兼ねますと申しますか、」
「まぁ、そうだね」
まあ、今度本人に聞いてみよう。
接着剤が乾きつつあるので、さっきのグルグルと巻いた糸を解いく。
再びナイフを手にして、先を斜めに、トンガリに削って行けば、
「出来た!」
鉛筆が出来た!出来ちゃったよ!
改めて見てみたら、見た目はボコボコで格好悪いけど、『トキヒコエンピツ』第1号だ!感動ー!やったー!
「リーザ、ロウ、ありがとう。『トキヒコエンピツ』完成です!」見た目は悪いけど。
でも実際に手に取ると、このデコボコにグリップ感が有る。結果オーライだな。
「それとリーザ、ロウ、事前に準備してくれていたんだね。合わせてありがとう」
次から次へと、色々な道具が出て来たのは、リーザか準備していたから。
鉛筆作りを見越して、、、いや、オレの重い腰、ヤル気不十分なグダグダ感がエルフ達にはダダ漏れだったんだな。
でも、“魔力”を行使して『術』を色々とやれば、もっと簡単に、もっとキレイに出来たんじゃないのかなぁ。
私の手作業のパートを端折れるし。
「トキヒコさん、此度の目的はトキヒコさんがご自身で鉛筆を作ります事。」
そうだった。『何かが欲しいのであれば、誰かに頼まなくてはならない』をなんとか自分でしたかったんだ。
だけど結局の所、リーザとロウが居なくては出来なかった。
私が知らない所で、準備もしてくれていたし。
あ〜二人の持つ“魔力”で作っちゃえばなんて、直に楽な方向を選ぼうとしちゃうのは、人間の、いやいや、オレの性だなぁ、、、反省。
確かに鉛筆作り、初めてだったけど二人に協力頂いたから何とか出来た。
やっぱ物を作るのって楽しいし、それに達成感も得られたし。
でも、この工程を繰返さないと鉛筆は増やせません。
一本だけじゃなぁ。
「トキヒコ殿、」
差し出されたロウの大きな手には、今作り上げた鉛筆と変わらず物が10本程は握られている。
ほらぁ魔力!




