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第三十九話/生徒会長選挙④

 幼馴染の彼女と同じ大学への進学が決まり、国宝級イケメン高校生、爽哉の人生は順風満帆だった。卒業式を迎えたその日、第二ボタンはおろか、袖のボタンからネクタイに至るまで、全て取られるモテ男ぶりを如何なく発揮する。自らが築き上げた学園ハーレムの総括とでも言わんばかりに、爽哉の周辺は華やかさに満ちていた。

 しかし、そんな彼を神は祝福しなかった……


 彼女のストーカーに襲撃され命を落とした爽哉は、稀代のブサメンとして高校生活をやり直す現実を強いられる。学園の抱える問題、断ち切れない因縁、消化不良な想い……。ブサメンの自らと向き合う覚悟を決めた爽哉は、果たして絆を取り戻すことができるのか――

 今、試練の扉が開かれる。


【登場人物】

中間爽哉なかまそうや  イケメン高校生→ブサメン高校生

藤川千絵ふじかわちえ  爽哉の幼馴染

木崎優子きざきゆうこ  第三十六代生徒会長。図書委員

小澤詩織おざわしおり  攻守両立のコミュニケーションお化け

本八幡香奈もとやわたかな 大手健康器具メーカーの社長令嬢

宮永遥みやながはるか   陸上部。インターハイ優勝候補

皆川結衣みながわゆい  第三十七代生徒会長

本条鈴音ほんじょうすずね  第三十五代生徒会長。爽哉の姉的存在

中間涼香なかまりょうか  爽哉の妹

内藤亮介ないとうりょうすけ  爽哉の親友

大里拓馬おおさとたくま  ブサメン高校生→イケメン高校生


 鳴りやまない拍手の中で、優子は立ち上がって、深々と頭を下げた。


 勝った……。圧勝だ!


 身体中の力が抜け背もたれに身を任せた俺は、結果の重さに気づいてすぐに姿勢を正した。ここからが正念場だ。俺は自らの顔を張って、気合いを入れなおす。


 生徒会長は、生徒会役員を任命できる。副会長、会計、書記だ。副会長職のみは必ず設置せねばならないが、それ以外は生徒会長の自由にしてよかった。つまり、二人以上いれば生徒会は成立するという事である。過去には会長が書記を、副会長が会計を兼任し、二人で生徒会業務を成し遂げた猛者がいると、鈴音から聞いたことがある。


 我が校では、落選した生徒会長候補へ入会を打診するのが伝統となっている。優子はまず、次点の浜中伸志へ声を掛けた。しかし、浜中は方針の違いを理由に固辞した。次に声を掛けた森崎かなみは、快く受け入れた。加えて、街頭演説中に声を掛けてきた高木明夫たかぎあきおという男子が生徒会への入会を求めていた。高木は眼鏡を掛けたいかにもガリ勉風の生徒で、以前の記憶を辿っても黙々と会計業務をこなしていた記憶しかない。あまり接点を持つことも無かった。


 優子は森崎を副会長へ、高木を会計へ、そして俺を書記へ、それぞれ任命する手はずを整えた。優子は詩織と香奈にも入会を勧奨したというが、柄じゃないという理由でけんもほろろに断られたという。正式な任命は三学期の終業式の後であった。


 終業式までは現生徒会メンバーから引き継ぎを受けるとともに、卒業式と入学式の準備を共同で行う。優子は鈴音を尊敬していたし、鈴音は優子を後継者と認めていたため、齟齬そごが生まれる隙も無く、滞りなく引き継ぎは進められた。


 後から聞いた話だが、三年生の票を鈴音が秘密裏に取りまとめてくれていたそうだ。三年生は卒業を控えている。校則が緩和しようが、全く関係ない。むしろ、後輩の風紀が乱れれば自分たちがあおりを食う可能性もある。この生徒会選挙のシステムも、校則緩和が進まない一因だった。しかし、鈴音は生徒会業務の合間を縫っては三年生の説得に奔走したという。それを現生徒会の副会長からこっそりと聞いた俺と優子が、決意を新たにしたことは言うに及ぶまい。


 俺は繰り返される卒業式を奇妙な感覚で迎えた。卒業式を無事に催し終えて二週間後、終業式がやってきた。校長の長い説法の後、現生徒会の退任式と、新生徒会の任命式が行われた。鈴音が全校生徒へお礼を述べ退任し、優子が決意を述べて任命された。


 それは激動の一年間の始まりだった。


お読みいただき、ありがとうございます。

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