4 祝福
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「見て見てテオ、似合う?」
世は春爛漫。花の香りのする風が、マヤの黒髪をさらさらと揺らす。
マヤは花冠を頭に乗せ、いつもより長いスカートを膨らませて、くるりとその場で一回転した。
「ああ似合うよ。だから躓いて怪我するなよ」
「しないよ。というか、そんなに急いで、次は誰のところへ行くの」
「新しい星詠みのところだ。ババアはもう体力が保たないかもしれないから、後継のやつの家を訪ねてくる」
言いながら、テオは走り出す。マヤはその腕を掴んで止めた。
「嫌だ。祭司を頼むならおばあがいい。だって、結婚式だよ? わたしは大好きなおばあがいいよ」
テオはしばらくマヤの瞳を見つめていたが、やがてため息をついた。
「じゃあ、まずはババアに尋ねてみるけど、あんまり期待はするなよ? この一年間、毎月の祭祀をやるのがやっとの体調らしいからな」
「うん。ありがと、テオ。ご飯作って待ってるね」
「悪いな、いつもおまえの家で食わせてもらって」
「ううん。うちが過ごしやすいのなら嬉しいよ」
結局、マヤとテオの結婚式の祭司はおばあが務めることになった。
おばあ自身が、やりたいと強く希望したのだ。
式が終わると、着飾った服も髪もそのままで、マヤは最初におばあの元へ走った。
「おばあ、引き受けてくれてありがとう」
「これこれ、可愛い花嫁が走るんじゃないよ。転んだらどうするんだい」
「そうだぞ、マヤ。俺は心配しないからな」
二人から叱られ、マヤは「はぁい」と小さくなる。
おばあはふぉっふぉっと笑い、「お前たちの結婚式はわしが務めると昔から決めていたんじゃよ」と呟いて、テオの両手を力強く握った。
「わしがこんなこと言うのもだが。……テオ。もしもお前の言うとおり、たとえ神々の祝福がなかったとしても、わしが祝福してやる。だから、……マヤを泣かせるようなことだけはするな。こんなに良い嫁の手を、決して離すんじゃないぞ」
やけに真剣な瞳だった。
テオは静かに頷いた。




