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Reincarnation Memories  作者: 斗真


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2/6

ユナ

半分ずつの甘さ

その日は、朝からユナの姿が見えなかった。


訓練場にもいない。


食堂にもいない。


ミアに聞いてみると、パンを頬張りながら首を傾げた。


「ユナなら、朝早くに出かけたぞ!」


「どこへ?」


「知らない!」


「聞かなかったのか?」


「聞いたけど、『買い物』って言ってた!」


「何を買うかは?」


「聞いたけど、『糸』って言ってた!」


トーマは少し黙った。


必要な情報は揃っているようで、ほとんど何も分からない。


「一人で行ったのか?」


「たぶん!」


ミアは元気よく答える。


その横でノアが小さく言った。


「ユナ、いつも一人で買い物に行くよ」


「そうなのか」


「うん。自分で見たいものがあるからって」


ミアがパンを飲み込み、大きく頷いた。


「ユナは買い物が長いぞ!」


「糸を選ぶのに時間がかかるのか?」


「糸だけじゃない!」


「ほかに何を?」


ミアは自信満々に口を開いた。


そして、止まった。


「……知らない!」


トーマはため息をついた。


その様子を見て、ノアが小さく笑った。


「気になるなら、探しに行ったら?」


「別に心配しているわけじゃない」


「そう?」


ノアはトーマを見上げる。


「ずっと入口を見てる」


トーマは言葉に詰まった。


確かに先ほどから、誰かが帰ってくるたびに無意識に顔を上げていた。


ユナはしっかりしている。


一人で街へ出ても、迷うような性格ではない。


危険があれば糸で対処できる。


それでも、少し気になった。


「買い物なら、俺も用がある」


トーマは立ち上がった。


ミアが目を輝かせる。


「何を買うんだ?」


トーマは少し考えた。


「……記録帳に使うインク」


「昨日いっぱいあったぞ?」


「予備だ」


「怪しい!」


ミアが指を差す。


ノアは小さく手を振った。


「いってらっしゃい」


「行ってくる」


トーマは二人に見送られ、シェイン王国の城下町へ向かった。


──


城下町は、昼前の賑わいに満ちていた。


露店から焼きたてのパンの匂いが流れ、通りでは商人たちが声を張り上げている。


武器屋。

薬屋。

装飾品店。

布地を扱う店。


ユナが行きそうなのは、糸や裁縫道具を扱う店だろう。


トーマは市場を歩きながら、それらしい看板を探した。


数軒目の店で、見覚えのある灰色の髪を見つけた。


ユナは店先に並べられた糸束を、じっと見比べていた。


白。

黒。

青。

赤。


太さも、光沢も、魔力の通りやすさも違うらしい。


店主が何か説明している。


ユナは短く質問し、糸を指先で引っ張り、光へ透かしていた。


訓練中と変わらない真剣な目。


トーマは声をかける。


「ユナ」


ユナが振り向いた。


驚いた表情は、ほとんど見えなかった。


ただ、瞬きが一度だけ少し速かった。


「トーマ」


「買い物か?」


「見れば分かる」


「そうだな」


ユナは手元の糸へ視線を戻す。


「どうしてここに?」


「インクを買いに来た」


「インク屋は反対方向」


トーマは黙った。


ユナは彼の顔を見る。


「嘘?」


「予備のインクを」


「昨日、ロイドさんから二本もらってた」


「……よく覚えてるな」


「見てたから」


ユナは少しだけ首を傾げた。


「私を探しに来た?」


トーマはすぐには答えなかった。


否定する理由も思いつかなかった。


「少し気になった」


ユナの表情は変わらない。


けれど、糸を握っていた指が少し緩んだ。


「私は一人でも平気」


「分かってる」


「迷わない」


「それも分かってる」


「危ないこともしない」


「たぶん」


「たぶん?」


ユナの眉がほんの少しだけ寄った。


トーマは笑う。


「でも、ちゃんと見つかってよかった」


ユナはしばらく何も言わなかった。


そして、小さく呟いた。


「そう」


それだけだった。


だが、少しだけ声が柔らかかった。


──


ユナは三種類の糸を購入した。


一つは拘束用。


一つは魔力伝達用。


もう一つは細く、淡い青色をした糸だった。


トーマはその糸を見る。


「それは?」


ユナは一瞬だけ答えるのを迷った。


「記録用」


「名前を刻む糸か?」


「うん」


地下闘技場の後、ユナは自分の魔力糸に名前を刻む訓練を始めていた。


糸に記憶を持たせる。


誰へ伸ばした糸なのか。


誰を守るための糸なのか。


記録喰いに奪われても、痕跡を残せるように。


「青を選んだんだな」


「ノアに似合うから」


「ノア用?」


「半分」


「もう半分は?」


ユナは答えなかった。


糸束を袋へ入れ、店を出る。


トーマも後を追った。


「もう半分は誰のだ?」


「秘密」


「ユナが秘密って言うの、珍しいな」


「言わないだけで、秘密はある」


「そうなのか」


「ある」


ユナは前を歩く。


その耳が、わずかに赤くなっているように見えた。


トーマは追及しなかった。


ユナは言わないと決めたことを、無理に聞いても答えない。


ただ、その青い糸が少し気になった。


──


買い物を終えた後も、ユナは城へ戻ろうとしなかった。


市場の奥へ向かって歩いていく。


「ほかにも買うものがあるのか?」


「ある」


「何を?」


「ついてくれば分かる」


トーマはそのまま隣を歩いた。


しばらくすると、人通りの多い広場へ出た。


中央には噴水があり、その周囲には食べ物の屋台が並んでいる。


ユナは迷わず、その中の一軒へ向かった。


店先には色とりどりの冷菓が並んでいた。


氷菓子。


果物や乳を混ぜ、魔法で冷たく固めた甘味。


トーマは店を見上げる。


「アイスか」


ユナは頷いた。


「ここのが一番おいしい」


「よく来るのか?」


「たまに」


「ミアと?」


「一人」


「一人で?」


ユナがトーマを見る。


「一人でアイスを食べるのは変?」


「変じゃない」


「ならいい」


ユナは店主へ声をかける。


「いつもの」


店主は慣れた様子で笑った。


「はいよ。ミルクと木苺の二段だね」


トーマは少し驚いた。


「いつものがあるんだな」


「たまに来るから」


「たまにという回数じゃない気がする...」


ユナは聞こえないふりをした。


店主が二段重ねのアイスを渡す。


白いミルク味の上に、薄い赤色の木苺味。


ユナは代金を払い、受け取った。


そして、そのまま歩き出そうとする。


「俺のは?」


ユナが止まる。


「トーマも食べるの?」


「ここまで来たら食べてみたい」


「自分で買えばいい」


「おすすめは?」


「今買ったの」


「じゃあ、同じものを」


トーマが店主へ注文しようとした時、ユナが言った。


「待って」


「どうした?」


ユナは自分のアイスを見る。


それから、トーマを見る。


「一つでいい」


「でも、二人だぞ」


「大きいから」


「半分ずつ?」


「うん」


トーマは少しだけ目を丸くした。


ユナはいつも、自分の物と他人の物をきっちり分ける。


食事も、道具も、訓練の役割も。


曖昧にするのを好まない。


そんなユナが、自分から半分にしようと言った。


「嫌なら別にいい」


ユナが少し目を逸らす。


「嫌じゃない」


トーマが答えると、ユナは店主から小さな木の匙をもう一本受け取った。


二人は噴水の縁へ座る。


アイスは陽光に照らされ、少しずつ柔らかくなり始めている。


ユナが木苺味を一口食べた。


表情は変わらない。


だが、目がほんの少しだけ細くなる。


「おいしい?」


「うん」


トーマも木の匙を差し入れた。


冷たい。


甘さの中に、少し酸味がある。


「本当だ。おいしい」


「だから来る」


「ミアやノアには教えないのか?」


ユナは少し考える。


「ミアに教えると、毎日来る」


「ありそうだな」


「ノアは連れてきたい」


「まだ来たことないのか?」


「うん。人が多いから、疲れるかもしれない」


ユナは周囲を見る。


広場は賑やかだった。


笑い声。

商人の声。

走り回る子どもたち。


ノアには少し刺激が強いかもしれない。


「でも、皆で来てもいいんじゃないか?」


「それだと静かに食べられない」


「ミアがいるから?」


「主にミア」


二人は少し笑った。


トーマはもう一口食べる。


今度はミルク味。


木苺より甘く、柔らかい味だった。


「ユナは甘いものが好きなんだな」


「普通」


「いつもあまり食べてないように見える」


「ミアに取られるから」


「取られるのか?」


「一口と言って、三口食べる」


「それは多いな」


「だから、一人で来る」


トーマは納得した。


ユナが一人で買い物をする理由の一部が、思っていたより年相応で少し可笑しかった。


「笑った?」


ユナが問う。


「少し」


「どうして?」


「ユナにも、隠れてアイスを食べたい時があるんだなと思って」


「隠れてない」


「ミアには秘密なんだろ?」


「言う必要がないだけ」


「それを秘密と言うんじゃないか?」


ユナは黙ってアイスを食べた。


耳がまた少し赤い。


トーマはそれ以上言わなかった。


──


二人で食べていると、木苺味が先になくなった。


ミルク味だけが残る。


トーマが言う。


「ユナ、木苺の方が好きだろ」


「どうして?」


「そっちばかり食べてた」


「トーマも食べてた」


「俺はユナが食べた後のところを食べてた」


ユナの手が止まる。


「……見てた?」


「同じものを食べてるんだから、分かる」


「そう」


ユナは少しだけ視線を下げる。


アイスの表面には、二人の匙で削った跡が残っていた。


一つのものを、半分ずつ。


正確には、完全な半分ではない。


ユナの好きな木苺味を、トーマが少し多く残していた。


「どうして残したの?」


「好きそうだったから」


「トーマは?」


「俺はどちらも好きだ」


「ずるい答え」


「そうか?」


「そう」


ユナは最後に残った木苺味の一部を掬う。


そのまま食べようとして、少し止まった。


「トーマ」


「何だ?」


「口、開けて」


「どうして?」


「いいから」


トーマは言われた通り口を開ける。


ユナは匙を差し出した。


木苺味。


トーマが食べる。


「最後の好きなところじゃなかったのか?」


「半分ずつだから」


「もう半分以上食べただろ」


「これは別」


「何が別なんだ?」


ユナは答えない。


自分の匙をアイスへ戻す。


けれど、もう木苺味は残っていない。


少しだけ残念そうにも見えた。


トーマは自分の匙でミルク味を多めに掬う。


「ユナ」


「何?」


「口、開けて」


ユナが固まった。


先ほど自分がしたことを、そのまま返された。


「どうして?」


「半分ずつなんだろ」


「私はいい」


「木苺味をくれたから」


「ミルクはまだある」


「溶ける」


ユナはアイスを見る。


確かに、縁が少し溶け始めている。


理屈としては正しい。


ユナは周囲を確認した。


誰もこちらを見ていない。


少なくとも、知っている顔はいない。


「……少しだけ」


ユナは小さく口を開けた。


トーマが匙を差し出す。


ユナはミルク味を食べる。


冷たさと甘さが口の中に広がる。


それ以上に、顔が熱かった。


「おいしい?」


トーマが聞く。


「普通」


「さっきはおいしいって言ってた」


「今は普通」


「味は同じだろ」


「違う」


「何が?」


「知らない」


ユナは少し早い動きで残りのアイスを食べ始めた。


トーマは首を傾げながら、それに合わせた。


──


アイスを食べ終える頃には、昼の鐘が鳴っていた。


広場の人通りも増えている。


ユナは空になった器を捨て、購入した糸の袋を持ち直した。


「帰る」


「ああ」


二人は城へ向かって歩き始める。


人混みの中で、ユナの歩幅は小さい。


それでも迷いなく進んでいく。


トーマは隣を歩いていたが、何度か人に遮られそうになった。


そのたびに、ユナは少し速度を落とす。


トーマが追いつくまで待つ。


「先に行っていいぞ」


「一緒に来たから、一緒に帰る」


「俺が勝手についてきただけだ」


「それでも一緒に来た」


ユナは前を向いたまま言う。


「置いていかない」


その言葉に、トーマは少し驚いた。


ユナは仲間を支える。


糸で繋ぐ。


暴走しそうなミアを止め、ノアが不安な時には近くにいる。


彼女はいつも、誰かが離れすぎないように見ている。


けれど、自分が置いていかれることを怖がっているようには見えなかった。


「ユナは、置いていかれるのが嫌なのか?」


ユナの歩みが少し遅くなる。


「嫌」


「そうなのか」


「でも、言わない」


「どうして?」


「言う前に、糸で繋ぐから」


ユナは指先を動かす。


袋の中から、淡い青色の糸が一本だけ伸びた。


細い糸はトーマの手首へ軽く巻きつく。


拘束するほど強くない。


引けばすぐに解けそうな、弱い結び目。


「これなら、離れない」


トーマは青い糸を見る。


「さっきの記録用の糸か?」


「うん」


「ノア用の半分と、もう半分は」


ユナは前を向いたまま答える。


「トーマ用」


ようやく答えが返ってきた。


トーマは自分の手首に巻かれた糸を見つめる。


「どうして俺に?」


「忘れないように」


「俺がユナを?」


「それも」


「それも?」


ユナは少しだけ糸を引いた。


トーマの手が前へ動く。


「私が、トーマを見失わないように」


ユナの声は小さかった。


街の喧騒に紛れそうなほど。


けれど、トーマにははっきり聞こえた。


「俺は急に消えたりしない」


「分からない」


ユナは言う。


「トーマは時々、遠くを見る」


「遠く?」


「夢のことを考えてる時。剣のことを考えてる時。昔のことを思い出そうとしてる時」


ユナはトーマを見ない。


「近くにいるのに、いないみたいになる」


トーマは何も言えなかった。


自分では気づいていなかった。


記憶の断片。


白い少女。


黒い羽根。


ゼロという名前。


それらに心を引かれる時、今いる場所から少し離れてしまう。


ユナはそれを見ていた。


静かに。


ずっと。


「だから糸を繋ぐのか?」


「うん」


「戻すために?」


「うん」


ユナは少し間を置く。


「でも、強く引っ張らない」


「どうして?」


「トーマが自分で戻ってきた方がいいから」


トーマは青い糸を指で触れる。


柔らかい。


束縛ではない。


道標。


帰り道を示すための糸。


「ユナらしいな」


「そう?」


「ああ。止めるけど、無理には動かさない」


ユナは少しだけ考える。


「ミアには強く引く」


「ミアは走るからな」


「全力で」


二人は笑った。


青い糸は二人の手首の間で揺れていた。


周囲の人には、ただの細い糸にしか見えないだろう。


けれど、トーマにはそれが不思議と温かく感じられた。


「ユナ」


「何?」


「今日はありがとう」


「何が?」


「探しに来たつもりだったけど、俺の方が見つけてもらった気がする」


ユナの足が止まる。


少し遅れて、トーマも止まる。


「変なこと言う」


「そうか?」


「そう」


ユナは顔を逸らす。


でも、糸は外さない。


「今日のこと、記録帳に書く?」


「書く」


「アイスのことも?」


「書く」


「半分ずつ食べたことも?」


「書く」


「口を開けたことは?」


「書く」


ユナの顔が赤くなる。


「それは書かなくていい」


「大事な記録じゃないのか?」


「大事だけど、書かなくていい」


「ミアの時は背負ったことを書けと言われた」


「ミアと私は違う」


「じゃあ、どう書けばいい?」


ユナはしばらく考えた。


「ユナと出かけた」


「それだけ?」


「アイスを食べた」


「半分ずつ?」


「……半分ずつ」


トーマは頷く。


「分かった」


ユナは小さく息を吐いた。


「あと」


「まだあるのか?」


「楽しかったって書いて」


トーマはユナを見る。


彼女は前を向いている。


表情はいつもとほとんど変わらない。


けれど、青い糸を持つ指が少しだけ緊張していた。


「ユナも楽しかったのか?」


「うん」


「俺も楽しかった」


ユナの口元が、ほんの少しだけ上がった。


見逃しそうなほど小さな笑み。


それでもトーマは見た。


「今、笑ったな」


「笑ってない」


「笑った」


「笑ってない」


「記録帳に」


「書かなくていい」


「大事な記録だ」


「それは秘密」


ユナは少しだけ歩く速度を上げた。


青い糸が軽く引かれ、トーマもその後を歩く。


置いていかないと言った本人が、少しだけ先を行く。


けれど、糸は繋がっていた。


──


城へ戻ると、入口でミアとノアが待っていた。


ミアは二人を見るなり、大声を上げる。


「ユナ! どこ行ってたんだ!」


「買い物」


「何を買った?」


「糸」


「それだけか?」


ユナは答えない。


ミアが鼻を動かす。


「甘い匂いがする!」


ユナの肩が少し揺れた。


「アイス食べたのか!?」


「食べてない」


「嘘だ! トーマの口にも甘い匂いがする!」


トーマが言う。


「食べた」


ユナがトーマを見る。


「トーマ」


「嘘はよくない」


「裏切り」


ミアは衝撃を受けたように両手を広げた。


「二人だけでアイス食べたのか!」


ノアも少しだけ驚いたように目を丸くする。


「いいな」


ユナは一瞬、困った顔をした。


それから静かに言う。


「今度は皆で行く」


ミアの顔が明るくなる。


「本当か!」


「でも一口だけ」


「三口!」


「一口」


「二口!」


「一口」


「むむ……」


ノアが小さく笑う。


「私は一口でいいよ」


「ノアは好きなだけ」


ミアが叫ぶ。


「そんな!」


ユナは知らないふりをして歩き出した。


トーマの手首には、まだ青い糸が巻かれている。


ノアがそれに気づいた。


「その糸、綺麗」


ユナは糸を見る。


「記録用」


「トーマと繋がってるね」


「今だけ」


ユナはそう言った。


けれど、城の中へ入っても、しばらく糸を解かなかった。

トーマの記録帳


ユナ。

静かで、よく見ている。

誰かが離れそうになると、糸で戻してくれる。

今日は一緒に街へ行き、アイスを半分ずつ食べた。

ユナは木苺味が好き。

一緒に帰った。

楽しかった。


その下には、細く整った字で追記されていた。


トーマはミルク味を多く食べた。

木苺味も少しあげた。

口を開けたことは記録しなくていい。


しかし、その文章の横には、トーマの字で小さく書かれていた。


大事な記録なので消さない。


さらにその下に、ユナの字で一言だけ増えていた。


仕方ない。


そのページには、淡い青色の糸が栞のように結ばれていた。


忘れないために。


見失わないために。


そして、いつか遠くへ行きそうなトーマが、自分の足で戻ってこられるように。

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