『紳士の社交場! 香る男のダンディズム! 紳士服のイケダ』
コートのポケットに穴が空いてて、脱がずに中のズボンとかのポケットを探れるのは天才の発想だと思います
なんと『紳士服のイケダ』から、トレンチコート(5年前の型落ち)を提供していただいた。
長年倉庫の奥で眠っていたせいで若干ホコリ臭いが、トレンチコートの醸し出すイカス男のシルエットは何ものにも代えがたい。
マジックテープ止めのアーマーを外し、ヒーロースーツの上から羽織ってみれば、多少モコモコするものの、トレンチコートはその全身をパーフェクトに包み込む!
トレンチコートは冬で中に沢山着込むのを前提にして大振りに作られるているので、ヒーロースーツの多少のデコボコでさえ優しく受け止めてくれるのである。
昨今流行りのデザインだけのお安いピッチリコートでは、着込んだ分だけ着膨れしたり、そもそも入らなかったりするので注意が必要だ!
更に冬用コートとあって、ヒーロー”ハチカヅキン”のグローブのままでも自在に出し入れできる大きなポケット、そこには「手袋を付けたまま物を取り出せるように」との、心憎い気づかいが見て取れる。
まさに、トレンチコートこそ究極の防寒具だと言えるだろう!
そんな思いを胸に秘めたご当地ヒーロー”ハチカヅキン”は、ハチカヅキンヘルメットの下にトレンチコートを羽織り、余ったアーマーパーツを左右のポケットと中のポケットにみっしり詰め込むと、流石にボタンが弾けそうなので合わせ部分を手で抑え、振動を与えないよう小刻みにちょこちょこと歩を進める。
そんな一切スキのない動きで商店街を徘徊し、怪人”犬王モノー”(イヌオウモノー)の元へ急ぐのだ!
ピンポンパンポ~ン♪
商店街にお知らせがある時鳴り響くチャイムのような音がスピーカーから放たれる。
「えー商店街の皆様。ただいま、
『トレンチコートを着て、中に不審な何かをパンパンに詰め込み、今にも前を開かんと両手をスタンバイして、妙に小刻みな動きで疾走する怪しげな人物がいる』
との通報が寄せられています。もし、そのような人物を見かけても騒いだりせず、お近くのヒーロー”ハチカヅキン”か怪人”犬王モノー”または警察までご一報ください。繰り返します……」
放送を背後に聞きながら「そんな不審者みたかなあ?」と思うヒーロー”ハチカヅキン”は、ステージ上でゴン太くん(柴犬 5才 ♂)のお尻をなで続ける怪人”犬公方ツナー”のすぐ背後に迫り、トレンチコートのポケットにギッシリ詰まった外したアーマーをなんとか取り出して、容赦ない一撃をその後頭部に加えんとする!
シムラーウシロウシローー!
不審なトレンチコートの男が背後に立って謎の凶器を振り下ろす時に聞こえる観客の悲鳴のようなものがスピーカーから流れ落ちる。
「ウワァアアアアアアアッ!! ア? 不審者!? 不審者ナンデ!?!? む? これは、よく見たら不審なヒーロー”ハチカヅキン”!! ええい、紳士の社交場、香る男のダンディズム、『紳士服のイケダ』のイカしたトレンチコート(5年前の型落ち)を、なんでそんな大変な着こなしをしたんだ! ヒーロー”ハチカヅキン”!? 違う、そんな不思議そうな顔でこちらを見ても不審さに変わりないのだ! まずポケットから…なんだ、その、パーツを全部出すのだ!! 後、その姿ならせめてコートは寒くてもあけよ! ヘルメットがデカくて前を閉めているとシイタケのようで、奇妙さが半端ないではないか! そう、そうだ。トレンチコートはこのシルエットが命なのだ! ハァハァハァ…。いや。もうダメだ。こんな残念なヒーロー”ハチカヅキン”とは、ちょっと戦う気にはなれん。はぁ。 撤収! 撤収ー!」
言い終えるやいなや、気力を使い果たした怪人”犬王モノー”は肩を落として立ち上がると、最後にヒーロー”ハチカヅキン”のコートの襟を正してやると、悄然とした面持ちでトボトボと家路についた。
戦いは終わったのだ。
「もも、申し訳ない! ひ、ヒーロー”ハチカヅキン”は、トレンチコートを全く着こなせていないようだぞ!! 紳士の社交場 香る男のダンディズム 紳士服のイケダで着こなしを伝授してもらって、一つ上の男になるよう特訓してくるけれど、不審者通報だけは勘弁して欲しいぞ!! よい子の皆は暖かく見守ってくれると嬉しい!! ヒーロー”ハチカヅキン”の心からのお願いだ!」




