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『女性の美しい髪をコーディネート! ホット・コールド各種パーマ自由自在! ビューティー美容室』

正直、怪人”犬王モノー”には悪いことをしたと思っている。

 今回は『ビューティー美容室』より支援していただいた生首(8つ)である!


 驚くことなかれ。

 川を挟んであっちとこっち、2つに分かれた商店街には、なんと合計3つもの散髪屋・理髪店・美容院が存在するのだ!


 先日、『涼風理容店』に先制を許してしまった『ビューティー美容室』であったが、すぐさま体制を整え反撃の狼煙を上げようとした……のだが、「流石にワンツーパンチで床屋さんをご紹介するのはどうだろうか…」という大人の事情から今回の支援と相成った。


 生首である。

 人体の首から上の部分だけが切り離された状態を生首というのだが、これには美容院にとって有用なものが多く含まれ重宝されている。

 とはいえ必要なのは頭髪だけである。


 美容院や理髪店などではカットやスタイリングの練習用に、日々多くの生首ロングヘアーが使用され、毛先を揃える練習からシャギーの入れ具合の練習、次は短くなって生首ミドルヘアーとなれば、ムースやフォームでセットしたり、自由なカッティングを試しがてらスネ夫ヘアーやモヒカンまでキメてしまったりするのだ。


 では、残った生首はどうなるのか?


 日々の練習により消費される生首。

 髪は消費され尽くしハゲ山の黒光りとなって店の裏にうず高く積み上げられる生首。

 恨めしそうにこちらを見つめ、夜な夜な泣き声が聞こえたり、12時になると一斉に目が光るとの噂も聞かれる……。


 などということは一切なく、実際はただ粗大ゴミの日にまとめて出されるだけであるが、そのうち比較的状態の良いものを8つ、明日が粗大ゴミの日なこともあってご当地ヒーロー”ハチカヅキン”へ「物珍しかろう」という理由だけで譲渡されることになったのだ!!


 ヒーロー”ハチカヅキン”だって正直怖いぞ!!


 一番かわいいショートボブの「メアリー」、何故か1人だけ黒人でトラ刈りの「ジョージ」、薄すぎる角刈りが男らしい「サブ」など、多種多様なイカしたメンバーを引き連れ、『女性の美しい髪をコーディネート! ホット・コールド各種パーマ自由自在! ビューティー美容室』の縦長ステッカーを彼らの額にお札のように貼り付けると、ヒーロー”ハチカヅキン”は、ステージ上のコタツで人質の花男くん(フレンチブルドッグ 8才 ♂)と温もる怪人”犬王モノー”の背後から近づくと、そっとコタツのスソから生首を次々と投入する!


ヒートリフータリサンニンノナマクビィ!


 マザー・グースの「10人のインディアン」が酷いことになったものが転がって、コタツに入り込んでいくような音が不気味に轟いた。


「おや? 何かコタツの中が急に狭くなった気がするが……ギャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!! あわわわ…。うわっ! っな、なんだ”ハチカヅキン”か! 丁度いい、救急車を、きゅうきゅうきゅうしゃを読んでくれ。今コタツの中にトラ刈りの黒人や、角刈りが薄すぎる青年の首が入っていたのだ!! え? そんなはずはないだとっ!? いや見ろ……ウワアアアアア! ちょっと可愛いショートボブの白人の生首も増えているぅうう! も、もも、最早猶予はないぞ”ハチカヅキン”!!! はやく、はやくれいきゅうしゃれいきゅうしゃを…………っ っっ っっっ!?     っ」


 振り返った怪人”犬王モノー”が見たものは、2つの見知らぬ生首と、その横に並んだ見知った「ヒーロー”ハチカヅキン”ヘルメットを被った生首」の姿であったという……。


 怪人”犬王モノー”の意識はここで途絶えている。


 目を覚ました花男くん---花男はジョージがお気に入りだ---はスタッフが責任を持って抱きかかえ、お家まで送って差し上げた。

戦いは終わったのだ


「女性の美しい髪をコーディネート! ホット・コールド各種パーマ自由自在! ビューティー美容室では、親切な美容師さんたちが、日夜熱心にカットやヘアメイクの勉強をしているぞ!! ヒーロー”ハチカヅキン”に詳しいことは分からないけれど、きっと凄い腕だと確信できるぞ! ご当地ヒーロー”ハチカヅキン”は明日の粗大ゴミの日に向けてちょっと気が重いからもう帰っちゃうんだ。冬は日が落ちるのがとても早いから、よい子の皆も早く帰るといいぞ!!」

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