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第2部 第13項
それから...... ルナは拓海の隣に立てなくなってしまう。
自分の願望が、いかに小さかったか思い知った。
「デルタ、少し休んでいいですか?」
「デルタに決まりごとは無いよ。集まったらやる。そうでないならやらない。それだけ」
一見冷たくも聞こえるが、
「でも、この3人じゃなきゃ、やらない」
ルナは、デルタ以外の場所で、自分が立つための試行錯誤をする。
拓海の隣に立つために、足りないものを必死で探す。
自分の何がダメになったのか。
拓海に音を、純粋でまっすぐな音を届けたかった。届けてきた。
そこに、拓海の、感情が混ざってしまった。 最も、深淵の。
混ざり気のない、純粋な音は、奪われてしまった。
ある日、STAR DROPでのフリーセッションで、拓海の音に自分の音を届けようとして、 でも、届かなかった。
今、自分はここにいる人間じゃない。
フェードアウト。
インシュロックとプラチナムーンの前座として、対外的にはたった一度きりのライブ。
それは、主役を食うほどの熱狂を見せ伝説となったが、
......デルタは人前から消えた。




