第2部 間奏曲 第5.5項
STAR DROPを代表するバンドたちのライブに立ち会った観客の拍手と歓声は、ただの反応ではなく、音楽そのものへの祝福だった。
そして、結果としてデルタのただ一度きりのライブとなったこの夜は、奇跡の夜として伝説になっていく――
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拓海は笑みを浮かべながら、語り始めた。 が、肝心の自分の話になると、うまくすり替える。
「俺が小学校に上がるときさ、誕生日が2か月違いで学年が違うことに気が付いたモモがギャン泣きしてさ」
「なっ!」
「やっと一緒に通えると思ったら、道路一本で学区が違ってて・・・あの時の顔・・・」
モモは顔を真っ赤にして声をあげる。
「ちょっと!」
「吹奏楽クラブで同じパートになれなくて、絶望して・・・」
拓海はにやりと笑いながら続ける。
モモは手で顔を覆い、怒り混じりに声を震わせた。
「どうしてそんなことまで覚えてるのよ!」
拓海は肩をすくめ、いたずらっぽく笑った。
「だって、全部おもしろかったからな」
ルナは二人のやり取りを微笑ましそうに眺める。
拓海の語る昔話は、モモをからかいながらも、優しさが滲んでいた。
その笑い声が、さっきまでの爆音の余韻を、少しずつ人肌の温度に戻していった。




