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シャドウ 〜影と共に〜  作者: 赤茶猿マン
影と傀儡師一族
3/20

『黒い何か再来。』

こんな可愛らしい妹がいたら!と思う今日この頃。こんにちは猿です!(多分リアル妹にこの後怒られます。)


不思議で信じられない体験をした主人公。アニメや映画の世界ならまだしも、ここは現実世界なのだから、にわかに信じ難い事でもあった。そんな中、妹の甲斐甲斐しい看病が裏目に出て、風邪を引き自宅療養する事にした主人公なのだが…



 公園の一件から一夜が明けた。夜中に凄い熱を出してしまい、今日は学校を休む事にした。夜勤の途中で帰ってきた母には、知恵熱だと言われ相手にしてもらえなかったが、別にそれは悲しくも寂しくも感じていない。


そんな事よりも、昨日介抱してくれていた妹の事が心配だった。学校に行く前に悲しそうな顔をボクに向けていたからだ。これにはちゃんと訳がある。


 頑張って部屋に運んでくれた妹が、痛いところが無いか尋ねてきたので、ボクは正直に、大切な所を階段で打ち付けて痛かったので、そこが痛いと伝えたところ、下半身が隠れてしまう程の、大量の氷を入れた袋を腰に巻きつけてくれた。


しかし、身体が冷え過ぎてしまい、体力が低下したのだろうか?ボクは風邪を引いてしまったみたいで、それを自分のせいだと妹が気にして、落ち込んでしまっていたのだ。


まぁ、それが原因だとは思うが、元々身体が弱いボクは、風邪を引きやすくもあったので、気にする事は無いと言ったのだが、妹には声が届いていない様子で、落ち込んだ顔をしたまま登校してしまった。


 誰もいない家。なんと素晴らしい空間、時間なのだろうと、熱も忘れる程にテンションが上がってしまう。ボクを害するモノがいないのだから。


体調不良ではあるが、ひと時の安らかなボクの一日の始まりだった、はずなのだが、学校をサボったと見られる妹が目の前に立っている。水分補給をと思い、グラスに注いだスポーツドリンクを床にブチまけてしまった。


「な、何してるの!?み、みぃちゃん学校は?」


妹の名前は『平塚美優(みゆ)』。小学四年生だ。『みゆちゃん』と言いづらいのが原因で、周りからは『みぃちゃん』と呼ばれていたので、ボクもそう呼んでいる。


「だって、お兄ちゃんの熱は、私のせいで出たんだもん…。私が看病しないといけないの!文句ある?」


《な、何故ボクは怒られてる?お、落ち着け…、妹よ…。》


 そして、凄く今更感があるんだが、お兄ちゃんと呼ばれるこのボクは『平塚英之(ひでゆき)』だ。小学六年生だ。


 怒っている訳では無いと分かっている。妹は恥ずかしい時や、照れたりすると、何故か強い口調で押し切る様な言い方をする。今はボクがドリンクをブチまけて汚した床を、手際よく掃除してくれている。


「お兄ちゃん!これ終わったら部屋に新しく飲み物持っていってあげるから、おとなしく寝てなさい!」


これじゃどっちが年上なんだか分からない。そう思いながらも、その言葉に従い部屋へとおとなしく戻るボク。妹が怖いとかそんなんじゃない。度々助けてもらっているから、頭が上がらないだけだ。それに、この家で唯一の味方なのだから。


 部屋に戻ったボクは、また怒られる前に、素直にベッドに横になると、妹が持って来てくれるはずのドリンクをおとなしく待った。


五分もしないうちに妹が、ドリンクとリンゴを持って来てくれた。リンゴは、わざわざ皮を剥いてカットしてくれている。妹のこういう優しいところが、ボクの痛んだ心のよりどころでもあるのだ。


 これも今更なのだが、実はボク達は血が繋がっていない。実の兄妹では無いという事だ。それはお互いに知っている事でもあった。


 妹がこの家に来たのは小学校に上がって間も無くの頃だった。彼女の両親は海外での仕事をしていて、不運な事に両親共に事故にあい、そのまま還らぬ人となってしまったのだ。


そこで、大学時代の親友だったボクの父が、残された娘、『美優』を引き取った。不甲斐なく出来損ないなボクの代わりになればという事で、養子にしたと聞いている。冗談にしても酷い話しだ。


 その妹なのだが、来て間もなくの頃に話してくれたのが、両親とは一緒に暮らした記憶が薄い事もあってか、悲しくは無かった、むしろ今まで面倒を見てくれたお婆ちゃんが気になると言っていた。この子の優しさは、そのお婆ちゃん譲りなのだとボクは思っている。


「お兄ちゃん、具合が悪くても、窓開けて空気入れ替えくらいしないと、モヤシみたいになっちゃうよ?」


 そう言ってカーテンと窓を開けてくれる妹だが、それはビタミン豊富なモヤシに失礼だ。シャキッとしたあの食感を例えにボクとくらべるならば、ヘタレていない分だけモヤシの方が優れていると言えるだろう。


そんなアホな事を考えていた時、妹の背後に見知ったモノが現れ、ボクは驚きのあまり声も出せずにいた。またしても目の前に現れたのは、昨夜と同じあの黒い何かだった。


 窓を開け切った妹がこちらを振り返るが、ソレに全く気付いていない様子だ。見えていない?と声に出して尋ねそうになったが、今はそれどころではない。


その黒い何かは、昨夜と同じ様に一部を細くして、妹にそれを近付けていたのだ。情けない事に、ボクは妹に、その危機を知らせる事も出来ずにいた。


そして、とうとうそれが妹の頭に!


《え?…、なんだ?危害を加えて…、いない?いったい…》


 それは異様な光景だった。黒い何かは、細くしたその一部を、妹の頭目掛けて伸ばしたのだが、叩いたり、突き刺したりするのでは無く、ボクがたまに妹にする様に、ナデナデといった感じで頭を撫でていたのだ。


その光景に唖然としていたボクは、手にしていたリンゴを、ついその手から取りこぼしてしまった。すると次の瞬間、黒い何かの細くなった別の一本が、そのリンゴが床に落ちる前にキャッチしていた。


それを見た妹が、不思議そうにはしていたが、「お兄ちゃん凄い!」といってはしゃいでいた。リンゴが浮いた様に見えたはずなので、超能力か何かかと思われたのかもしれない。


が、そんな事よりも、これで分かった事がある。とは言っても憶測の域だが、この黒い何かは、ボクの感情、あるは意思を読み取り、それを行動に移していると推測出来る。


その事を確かめるには、実際にやってみる事が一番の方法だ。リンゴの他に、何か手頃なモノが無いか部屋の中を見回す。そして、さっき妹が開けたカーテンが目についた。


《カーテンを閉めろ。》


心の中でそう呟いたが、黒い何かはピクリとも反応しない。いや、動いてはいる。相変わらず妹の頭を撫でているだけだが。今のは何かが違ったのだろうと判断し、次は自分がやるつもりでそれを想像してみた。


立ち上がりカーテンを閉める様子を思い描く。すると、シャァァァァ!と音を立ててカーテンが閉まった。妹もそれに驚いた様子で振り返り、首を傾げていた。なんで?と聞こえてきそうな仕草だ。


やはり妹には見えないのかな?と思っていたが、今度はボクにも見えなくなった。どこかに消えてしまったようだ。何故ここに現れたのか?何故突然消えたのか?昨夜に引き続きそれは分からないままだ。


しかし、あの黒い何かは、ボクがやろうと思った事、もしくは感情を、即座に読み取り実行してくれる。それは理解出来た。


 昨夜のあの公園での出来事。あの時ボクは、服を剥ぎ取られそうになって、嫌だと思うのと同時に、ヤツらをぶっ飛ばしてやりたいと強く思った。そして想像した。あの後、腰が抜けた時もそうだ、家に帰りたいと強く願った。そして今のリンゴもそうだ。落ちる瞬間に、キャッチしないと!と強く思った。


まだハッキリそうだと確信は持てないが、少なくとも、ボクに危害を加えるモノでは無いと分かる。更には、唯一の味方である妹にもそうだと言えるだろう。頭を撫でていたのがその証拠だ。


《後は…、どうやって出現させるか?だけど、あ、強く念じるとか…かな?》


 あの公園の時も強く瞼を閉じて、心の中で強く願った。あの時の事を思い出しながら試みる。しかし、現れる気配は一向に無い。それどころか、目を閉じて唸りだしたものだから、妹に心配されてしまった。


「もう、お兄ちゃんたら…、私をからかって面白いの?もぅ、おとなしく寝てなさいよ。」


呆れた様に言う妹は、ベッドに横になりなさいとボクに促し、上から毛布を掛けてくれる。その時、妹の顔が目の前まで迫り、ボクはドキッとしてしまう。心なしか、妹の顔が赤い気がした。


《な、どうしたんだみぃちゃん!まさか…ボクの事…。いやいやいや、ボクは何て事を…、最低だ…。》


そんな自己嫌悪に陥っている時、ボクを見つめたまま固まっている妹の後ろの方で、風に煽られたカーテンが、フワリと部屋を泳ぐ様に舞い上がるのが見えた。そのせいで、朝日がちょうど真横から部屋に差し込んで、目の前が眩しくなり、一瞬視界を奪われる。


そして、妹の顔が急にボクに迫って来たと思ったら、『チュッ』と音はしないが、妹の唇と、ボクの唇が重なってしまう。


《だーーー!!!これは不可抗力だーー!!》


そう思ったのだが、即座にそうでは無い事にボクは気付いてしまった。あの黒い何かが、妹の背中を押している様子が視界に入った。黒いコイツは、ボクの妹への気持ちを読み取り、こんな事をしたのだろう。この瞬間、黒いコイツが、妹に対するボクの気持ちを知る唯一の存在となった。


そして、コイツの出現条件は、光だ。


突然起きた不可抗力に、慌てつつも幸せを噛みしめる主人公。そして、付け加えて冷静な判断さえやってのけてくれた!黒い何かの出現条件発見!!


次回は…、どうしようかな?

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