因縁の種族。二
猿です!何とか短く端的にと思ったのですが、性格なのでしょうか、クドクドとなってしまって…ごめんなさい。
さぁ、前回に続き、主人公の頭が限界の域を超える内容が まだまだ出てきそうだ!
シャドウが話してくれるその内容には、正直なところ頭がついていけていない。が、シャドウがこの地球で生まれた種では無い事は理解出来る。こんな非現実的な存在は、アニメやマンガ、神話の中にしか存在しないと思う。
「で、シャドウはどうしてこの星…地球に来たの?」
「…それは…オイラも分からないんです。気が付いたらこの星に来ていて。知らない場所にいる事は分かったのですが、違う星に来ていたという事は、しばらく気付きませんでした。ある日おぼろげに見えた記憶の中に、生まれ故郷の景色を見ました。その景色の中の空は、この星のモノとは全く違うモノでした。」
ボクの質問に答えてくれたシャドウの言葉が、かなり重たく感じた。故郷に帰りたいのか、自分の種族に会いたいのか、シャドウの考える事までは察する事は出来ないが、どこか寂しそうな、そんな空気を纏った重たさを感じた。
「それは、もしかしたら、シャドウが生まれた場所じゃなくて、行った事がある場所なのかもしれないよ?本当はこの地球で生まれたとか?かもしれないよ。」
「では…なぜオイラと同類が他にいないのですか…。奴らを見た時、もしかしたら仲間かもしれないと…、そう思っていたのに。奴らはオイラを滅ぼそうと全力で攻撃してきたのです。この星を丸焼きにしてまでも。…、この星では、その時の事を、隕石の衝突だと捉えているようですが…、間違いでは無いのですが、あの隕石は奴らが引き寄せたモノです。オイラを滅ぼす為に…。」
「ちょっと待ってよシャドウ、いくら何でもキミ一人を滅ぼそうとする為に、そこまでする必要がある?というか、なぜそうまでして滅ぼそうとしてるの?」
「それが分かればオイラも苦労しません。オイラには全く理由が分からないのです。これまで永きに渡り戦ってきましたが、それを知る事は未だ…。」
「それはお前の種族が我々の故郷を滅ぼしたからだ!」
突然部屋の入り口ドアの方から聞こえた声に驚き、そちらを見ると、ドアに寄りかかって肩で息をしている美影先生の姿があった。
「せ、先生!寝ていないとダメじゃないですか!どうしてこんな…。というか先生?聞いてたんですか?」
「あぁ、途中からだがな。やはり、シャドウは意思を持っていたのだな。うっ…!英之、ちょっとそこのベッドまで運んでくれ。まだ思うように身体が動かせないのだ。」
そう言って崩れそうになる先生に、すかさずボクは肩を貸す。
「ご主人様!そいつから離れて下さい!そいつはまたご主人様を騙しているに違いありません!」
「シャドウ!ちょっと待ってくれよ。ボクはお前の話し、信じてるよ。だけどね、先生の話しも聞いてみたいんだ。どちらの話しも聞いた上で、どうするかはボクが決めたい。だからシャドウ、今は我慢して待ってくれないか?」
ボクの言葉を聞いても、しばらく飛びかかろうと言わんばかりの殺気を飛ばすシャドウだったが、ボクの精一杯の思いを読み取ってくれたのか、構えを解いて場所を空けてくれた。
「ここはご主人様に従いますが…女、少しでもおかしな事をしたら瞬殺してやるから覚悟しておけ。」
気が遠くなるような年月戦い続けてきたのだろうから、簡単に分かり合える事は無いだろう。そんな事を考えながら、瀕死状態の先生をベッドに運ぶ。ゆっくりと寝かせると、そこにシャドウの声が後ろから投げかけられてきた。
「で、女。ご主人様が聞いてやると申されたのだ、早く話せ。」
実にイラっとする偉そうな物言いで、シャドウが先生の話しの続きを促してきた。先生も負けじとシャドウを睨み返していたが、やがてフッと聞こえてきそうな表情を見せた後に口を開いた。
「お前とは初対面なのだが、まぁ仕方ない。我々一族は、永きに渡りお前を滅ぼそうとしてきたのだからな。その怒りは甘んじて受けてやるが、まだお前に殺されてやる訳にはいかない。」
「初対面だと?きさま…この後に及んでまだシラを切るというのか!オイラがこの場で…!」
「シャドウ黙ってろ!!」
全く話しが進む状況では無く、いちいち突っかかる言葉をぶつけるシャドウに、ボクはかなり苛立ちを覚えて、つい怒りを露わにして叫んでしまった。と同時に部屋の空気が凍ったようにピシッと張り詰めた。
「も、申し訳ございませんご主人様…。」
なぜか先程より小さくなって見えるシャドウがそう謝罪の言葉を発した。いや、小さく見えるのではなく小さくなっていた。
「ほぉ、英之は『服従』を使えるのか。いつの間に…」
「何ですそれ?」
「はぁ…無自覚か。まだまだ課題は山積みだなお前。」
シャドウがおとなしくなったと思ったら、今度は美影先生にヤレヤレと呆れられてしまう。そんなにボクは落ちこぼれているのだろうか?
「ま、これから頑張ればいだけの事さ。気にするな。」
落ち込むボクの頭を、包帯で巻かれた先生の腕が撫でてくれた。何があったのかは知らないが、何かと戦いボロボロになった事は分かる。その先生の包帯姿が痛々しい。
「じゃ、本題だ。シャドウがなぜ我々の敵なのか?だが、さっきも言った通り、過去に我々の種族の星が、シャドウの一族に滅ぼされたのが理由だ。」
「じゃぁ、元々はシャドウの一族が仕掛けた事なの?」
「…それは少し違うらしい。私が一族を離反した理由は前にも話したと思うが、その他にも理由があったのだ。今から二十年前、私は一族がこの地に来た時に作ったとされる本部に行った事がある。この星でいうところのアメリカという所だ。その地下深くに別の次元で作り出した空間、『亜空間』とでも言っておこう。そこには我々種族の大都市があるのだ。別次元故、この星の人間に、その存在を知られる事は無い。」
「なんか物騒な話しだけど、そんなモノを作っていったい何をしようとしてるの?」
「私もそれを調べる絶好のチャンスだと思い、アレコレ理由をつけて、研究者として本部の最重要施設の中にある、『保管庫』に入る事に成功した。そこには歴史的な記録が残されていると言われていたからな。一族の本当の狙いが何かを知りたかったのだよ。」
美影先生が生まれたのは、二十万年前のこの地球。正確には地球に作られた亜空間の巨大都市でだ。そしてシャドウが見たと言っていたのは、どうやら美影先生のお姉さんらしい。お姉さんがある任務で命を落としてしまった事から、美影先生は一族に疑問を持ったらしい。
そのお姉さんが任務につく前に、『本部から単独の任務を任せられた』と、妹である美影先生に伝えていたらしい。しかし、お姉さんが亡くなった時、実際に美影先生の家族が聞いたのは、複数の傀儡師で任務に当たっていたところ、影が出現、作戦通り任務を遂行中、お姉さんが命令を無視した為に影の攻撃により命を落とした。そう聞かされたそうだ。
姉から聞かされた事とは違うという疑問もあり、本部の報告に対して不信感を持った美影先生は、本部の最重要施設の中央にある『保管庫』に行き、そこで一族の過去の記録を見た。お姉さんの事はもちろんの事、その他の任務についても、聞かされていた事とは、全く異なる事が記されていたらしい。
そして更に記録を遡って調べているうちに、『傀儡』と『影』の事について記された紙切れを発見。しかしそこに書かれていた事では、ほんの僅かな情報しか手に入らなかったという。
そしてその文末には、この記録の全貌が記された書物を、ある場所に隠すと記されていたらしい。残念ながらその場所の手がかりは、そこには書かれていなかったという。
「先生、傀儡と影の事について分かった事って何だったんですか?」
「あぁ、まだ憶測の域から出ない事ではあるのだが、我々の持つ傀儡は、元々影だった可能性が高いのだ。その紙切れに書かれていたのは、『影の捕獲とその処理』という文字と『影と傀儡の暴走について』という目録のような感じのモノだった。まるで一冊の本の最初の目録のページを破り取り、あの記録ファイルに挟めておいたみたいな、そんな印象を受けた。が、いったい誰がそんな事を?と、それが未だに疑問でもある。」
先生の話しを聞いて、ボクの頭では到底理解出来ない事が多い。それでも、先生がシャドウの言うような事をする卑怯で野蛮な人物には見えない。なにより、一族を離反してまでボクを助けようとしてくれている事からして、今の状況で一番信頼のおける存在なのではないかと思う。
「一族はこれまでに命を簡単に奪い過ぎたんだよ。お前達の歴史から見ても、人の命はそんなに軽いもんじゃねぇだろ?だから、お前達が簡単にくたばらねぇように、私が鍛えてやるんだ。覚悟しとけ。しかし、今は美雪を助ける事が先決だ。英之、シャドウ…、気に入らねぇだろうけど、力を貸してくれ!」
「それは元々考えていた事でもありますから、協力させていただくつもりです。シャドウ、お前が信じる信じないは別として、今は美雪の身が心配だ。ボクに協力してくれるね?」
何となくだが、シャドウと先生の一族の因縁めいた関係は理解出来た。だがどちらが正しいかなんて分からない。今は頭で考えても答えは出ないだろうと思う。それならば、先ずは目先の問題から片付けていくだけの事だ。
「承知致しました。ご主人様の命令であれば、それに従うはこのシャドウの務め。だが…し、設楽美影…オイラはお前を見張っているからな。忘れるな。」
「了解だ。ありがとう二人とも。感謝する。」
この二人が分かり合える日は来ない気がするが、とりあえず、シャドウはボクに従ってくれるはずだ。この先どうなるかは分からないが、既に頭が痛くなってきた気がする。
先ずはシャドウの力を解放する鍵を何とかしなければと、ボクはやっとその事を美影先生に相談出来た。さぁ、準備が出来たら、サクッと美雪を救出しようではないか!
シャドウの驚きの過去の会話に、瀕死で寝ていたはずの美影まで参戦!二人の会話を最後まで聞く主人公だが…急に人は成長しない!!理解出来ていない事が多い主人公だが、やはり美影を悪い人物とは思えず、二人の因縁の関係についての追求はひとまず保留に。そして、今やるべき事は、何者かに捕らわれてしまった美雪の救出だと意気込む主人公だった。




