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シャドウ 〜影と共に〜  作者: 赤茶猿マン
影と傀儡師一族
13/20

妄想から暴走へ。

猿です。凄い暑さにやられてしまい、思考回路も停止していました。皆さんも熱中症にはご用心を。


さて、前回突然やってきた転校生。そしてクラスメイトのおかしな言動に戸惑う主人公だったが、いったい何が起きているのか、突き止める事が出来るのだろうか!?



 朝礼で自己紹介した後、そのまま授業に入り、転校生の設楽美雪と、話す事もままならなかったのだが、昼休みに入ってすぐに、彼女の方から声をかけてきた。


「学校を案内してくれないかしら?それと…、話しておきたい事もあるから。いいかしら?」


設楽美雪のその言葉に、ボクは無言で頷き、彼女の顔を見る事なく教室を出た。周りの生徒が訝しげな目でボクを見ていたので、その場から早く移動したかったからだ。給食は後回しだ。


 生徒が片側に、横に三人並んで歩ける広さの廊下は、まるで大理石で出来ているかのようなモノで、いつもキラキラと外の光を反射している。その為、ボクは廊下の影の部分を選んで進む。シャドウが出現するのを抑える為だ。


その廊下を突き当たりまで行くと、建物の外部に取って付けた様な非常用の階段がある。そこへ出るスライド式の大きな窓枠を滑らせ、設楽美雪がついて来ているか、チラリと後方を確認して階段へと踏み出す。


ボクより少しだけゆっくりとした歩調だが、しっかりとついて来ているようだ。彼女も敷居をまたいで外部階段の踊り場へと出た後、校舎と外部階段の仕切りでもある窓を丁寧に締めた。そして、口の端を少し吊り上げて、ニヤッとした表情を作って見せた後、静かに口を開いた。


「多分名前で、もう大体の事は察していると思うけど、あえて言わせてもらうわね。私は設楽美影の妹の、設楽美雪よ。姉に呼ばれてこの学校に生徒として入り込んだの。」


そう言った後に、彼女は階段を少し上り腰を下ろした。そして、無言のままのボクに更に続けて話す。


「それから、朝来た時に疑問に思った事があったでしょう?あなたの記憶と、周りの生徒の記憶が違ってた…、とか。アレは私の闇傀儡の能力『記憶操作』なの。姉は、あなたの周りから、あなたがストレスに感じる事を消してしまいたかったようね。私は言われた事をやっただけだから、詳しい事情までは知らないわ。知りたいとも思わないけど、あなたの側でしばらく監視してろって事だから、良かったらあなたの方の事情も話してくれないかしら?」


彼女の言った事で、色々と聞きたい事もあったが、彼女の目を見ていると、何だか言われた通りにしないといけない様な気がして、ボクは今までの事を洗いざらい話して聞かせた。


「ふぅ〜ん…、新米傀儡師に良くある様な、それに似た事が、あなたにも起きてるんだね。負の感情の暴走ね。ちなみに私、今も能力を使ったわよ。『意識操作』っていうんだけど、話さないといけないって気持ちにさせたの。私の得意な分野なのよね。精神的な事に干渉出来る能力。」


「あ、じゃぁ、ボクが暴走したら止める事が出来たり?」


「まぁ、出来るわね。でも…、私がずっと側にいないといけないって事よね?それじゃ解決にはならないんじゃない?自分の傀儡は自分で使いこなさないとね。もちろん、感情もね。他人に感情を操作されて、改変されるんだよ?嫌じゃないの?」


「ま、まぁ…、そうだね…。あれ?記憶も操作出来るんだよね?…、だったらボクに話させなくても記憶を覗けば早かったんじゃない?」


「またぁ〜…、それって、他人に頭の中覗かれるって事だよ?本意じゃない事まで知られちゃうって事なんだよ?いいの?嫌じゃないの?私だって勝手に覗いたりするの嫌だし…。」


どうやら妹の美雪は、姉の美影先生と比べて、デリカシーがちゃんと備わっているような気がする。そんな事を考えているボクを他所に、美雪は少し考え込んだ面持ちで、続けて口を開く。


「姉が言うのだから間違いはないのだろうけど、本当に私たちの傀儡と、あなたの傀儡は違うの?…、今出せる?」


「まぁ、光が射す場所でなら出せるけど、まだ制御が出来ない状態だから…。」


これまでの暴走を考えると、軽い気持ちでシャドウを出す気にはなれなかった。登校は早朝から出て、なるべく影の部分を歩き、教室での席も廊下側に(たまたまだが)。下校は日が沈みかける頃にと、美影先生からの指示もあり、感情の抑制が出来るようになるまでは、むやみにシャドウが出ないように工夫している。


「あ〜、まぁね、色々心配する気持ちはわかるけど、今は私がいるから大丈夫なんじゃないかしら?いざとなったらさ、ほら…。」


一度決めたらそうしなければ気が済まない。そういう美雪の性格が、興味と強制を感じさせる目から十分に伝わってくる。やはり姉妹なんだと認識させられる。なんだか少し、理不尽な香りが漂っている感じがする。


「じゃ、じゃぁ、ボクも頑張って抑えてはみるけど、本当にヤバい時は頼むからね?」


そう言ったボクの言葉に、ニヤリとした笑みを浮かべた美雪は、太陽の光が射し込む階段の上の方へとボクを押しやる。気乗りはしないが、美雪の事を信じて階段の光が射す方へと上がる。


階段の踊り場では、ボクの上半身しか光を浴びない状態だが、シャドウはちゃんと出現した。美雪にもそれは見えている様子だ。


「本当だったんだね。光から生まれる影と、闇から繰り出す傀儡。光と闇…、ん〜…、何か思い出せそうなんだけど…。なんだっけ…?ん〜。」


美雪はシャドウをしばらく観察した後、何やら独り言のような事をつぶやきながら、再び階段をベンチ代わりに座り、考え込んでいる様子だ。


美雪は姉の美影さんとよく似た黒髪だが、先程太陽の光を浴びた時に、深い藍色だと分かった。その艶やかな藍色の髪は胸元まで届く程の長さで、少し癖っ毛な感じが見受けられ、それが小学生とは言い難い様な色気を感じさせている。顔立ちは美影さんと似たような、外国人を思わせるもので、瞳の色は薄い茶色だ。


そして一番重要な事なのだが、ボクの妹に負けないくらいに胸がデカイ。そうデカイのだ。姉妹で何が違ってこうなったのだろうか?と疑問を抱く程にデカイ。先程から目のやり場に困るほど強調されているのだ。これ、一番重要なところだから、覚えておくように。


と、そんな男の子あるあるの事を考えている時、考え込んでいた美雪の方から、短い悲鳴にも似た声が飛んできた。慌てて美雪の方へと視線をやると、いつのまにかシャドウが美雪の背後にいた。何やらゴソゴソとやっている様子だったが、それが何をやっているのか、シャドウがこちらを、美雪ごと振り向いた数秒後に理解する事になった。


「ちょっと!コレ、やめさせなさいよ!ちょ…、どこ触ってんのよ!いい加減に…きゃぁぁぁぁ!」


ボクの思考がそうさせてしまったのか、シャドウの手?(のようなモノ)により、上下左右に揺れ動く美雪のデカイ双球。突然の事で頭が真っ白になったボクの目は釘付けに。そして更にシャドウが信じられない行動に移った時、今度はハッキリと悲鳴と分かる声が、美雪の口から飛び出した。


「キャァァァァァァァァァァァ!!!!!」


その悲鳴と共に、目の前をかすめるようにして弾け飛ぶブラウスのボタンが。もうシャドウはボクの思考を飛び越して行動している。そう、明らかに暴走だった。そして、ブラウスの下の白い肌がチラリと見えて。


その瞬間、ボクの意識は刈り取られてしまった。



 〜 保健室 〜


 白い肌?いや、白い天井?あみだくじが出来そうな感じの白い天井が見え、自分が横になっているのが理解出来た。起き上がろうとすると、後頭部に鈍い痛みが走り、思わず手を当て声をもらしてしまう。


「お、やっと目が覚めたか…。お前…、妹に何してくれてんだ?あいつお嫁に行けないとかって、泣きながら帰っていったぞ。まぁ、大体の予想はついているが、何があったか話してくれ。」


声のする方へと視線を向けると、白いカーテンをかき分け、こちらに近付いてくる美影先生が目に映る。白い天井、白いカーテン、横になっているのはベッド、どうやらボクは保健室にいるらしいと分かった。


「ん…、先生…、どうしてボクはここに?痛っ…、ててて。頭が割れるように痛いんですが?妹って?…、あ!美雪…。そういえば確か…、階段で美雪と話して…。」


「あぁ、それは私も分かっている。美雪の悲鳴を聞いて駆けつけ、お前を殴って気絶させたのは私だからな!アッハッハ!どうだ、一撃で解決してやったぞ!参ったか!…、と、そんな事より、何があったのか聞きたいのだが?」


美影先生のその言葉に、思わずツッコミを入れてやりたいところだが、徐々に思い出されていく階段での記憶が、あまりにも壮絶であった為、この後落ちる美影先生の雷が恐ろしくて、そんな余裕すら消え失せてしまった。


そして、あの時の出来事を、事細かく隠す事無く伝えた。


「何ということだ…、私とした事が、そんな事を見落としていたとは。」


そう吐き捨てるように言った美影先生は、しばらく天井を見上げて黙り込んでしまう。想像していた態度とは違ったもので、ボクはあっけにとられて、同じように天井をポカンと見上げてしまった。アホさ丸出しのような感じで大口を開けてだ。


 そして、美影先生が何かを思いついた表情を見せて、ボクの両の肩をガッシと掴んで力強くこう言った。


「よし!今日から訓練だ!私とお前は今夜から同じベッドで寝る!!!」


《な、な、な、な、なんですとーーーー!!!!》



主人公の妄想から、突如暴走し、更には主人公の意思をも超えてしまうシャドウ。その方向性は、今までと少し違った。そして、この可能性を見落としてしまっていた美影が、ある事を提案した。その内容は、訓練と称して、主人公と同じベッドで寝るという事なのだが、はたして美影の訓練は主人公の感情の抑制の手助けとなるのか!?

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