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追放先に悪役令嬢が。不法占拠を見逃す代わりに偽装結婚することにした。  作者: 椎名 富比路
第六章 最終決戦

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第55話 南バリナン奪還作戦

 南バリナンは、火の海になっていた。美しかった街並みも、今は見る影がない。

 魔王の気配は、ないな。拠点に戻ったか。


「ボクたちの街を、メチャクチャにしたんだ。メチャクチャにされる覚悟は、あるんだよなあ!」


 バリナン王が率先して、モンスターたちを斬り捨てている。ヘニーたちの薬草が効いたのか、深手を負ったにも関わらず元気である。


「えげつねえのう」


 リユでさえ、口を手でおさえていた。


「精神的に、ダメージを負いそうだね」


 南バリナン王による、魔物の殺し方がワイルドすぎる。とても説明できない、拷問のような殺し方をしていた。スプラッタという言葉が、料理用語に聞こえてきそうなほど。


「処刑が体に染み付いとる」


 殺しが、生活の一部になっているね。あれは。


「ディータさま、もう全部、あの方に任せてもいいんじゃないでしょうか?」


「そうだね。楽しそうで何よりだ」


 怒ったバリナン王には、近づかないでおこう。


「城までの安全なルートを、案内しましょう」


「わかった。ヘニー、逃げ遅れた住人に、避難を先導して。負傷した兵士の治療も、してあげて」


 ヘニーは「はい」と、その場を離れていった。


「カガシ、ありがとう。ここまででいい」


 安全なルートで城に入った後、カガシを離脱させる。


「ディータどの!?」


「レフィーメが到着したら、こちらまで誘導して。その間まで、キミも街で暴れている魔物の数を減らせ」


 いくら精霊部隊で数を増やせるとは言え、ヘニーだけに魔物殲滅を任せるのは酷だ。カガシのほうが、戦力になるだろう。


「なるほど。承知!」


 カガシが、バリナン奪還に向かった。


 僕たちは城の内部へ。


 玉座は破壊され、代わりに赤いアイアンゴーレムが立っていた。どの生成様式とも違う、未来型のゴーレムである。首の部分に、人間の男性があぐらをかいている。


「お前は、キルリーズ王じゃないか」


 犯罪国家であるキルリーズは、魔王の手によって国ごと破壊されたはず。


「いや。実験が失敗しただけですぞ。科学の粋を集めて作られたこのゴーレムに、あなたは叶いますかな?」


 ゴーレムが、手を前に突き出した。


「デストラクション・パンチ!」


 前腕部分が、飛んできた。胴体と鎖でつながっているのか。


「うお!?」


 避けた先に、さらに追いかけてきた。追尾機能まであるとは。


「しゃらくせえわい!」


 リユが、鋼鉄の腕を切り落とす。


 ゴーレムの前腕が、大爆発を起こした。


「くう、やりますなあ」


「てめえをやれば、ゴーレムは止まるんじゃ!」


 リユが、ブレスウェーブを放つ。刀を振って、衝撃波を飛ばした。


 キルリーズ王は魔法障壁を張って、リユの衝撃波を弾き飛ばす。


「我は術式の塊! 生半可な攻撃では、我が術式を破れませぬぞ!」


「ほったら、ドラゴンになって」


 リユが、力を集中し始めた。


「待って! いまドラゴンになったら、逃げ遅れた人も死ぬ!」


 背後から、レフィーメが駆けつける。


「ディータ。やっと完成した。これを」


 レフィーメが、盾を投げつけた。五角形の盾である。


 僕は、ヒーターシールドを腕にはめた。


「ななななな!?」


 シールドが分離して、ヨロイのパーツに変わる。

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