第46話 剣士の正体見たり
「やられっぱなしは、性に合わないんでね。【電光石火】!」
剣士の蛇腹剣を振り切って、雷魔法を帯びたサーベルで刺突を見舞う。
だが、相手の紫電を帯びた蛇腹剣によって、攻撃は弾かれる。
「どんだけ、反応速度が早いんだっての!? だったら、【疾風迅雷】!」
僕は全身に雷魔法を施し、敵の超反応に対抗しようとした。
相手も紫の電流を体内に帯びて、ますます加速をする。
「上等だ! さらに魔改造! からの、【鳴神】!」
さらに限界を超えて、僕は雷そのものへと変わった。
黄色い電流と紫の電流が、交差する。
相手のアゴに、ムーンサルトキックを浴びせた。
敵も、僕の首に蛇腹剣を引っ掛けようとする。
「なんの! ナイブズアウト!」
僕は、自分の剣を分散させた。僕のサーベルは、つながっているだけじゃない。一〇本近いナイフの集合体だ。それぞれが独立している。
雷魔法を駆使したオールレンジ攻撃が、敵へと殺到した。
「ぐううう!」
それでも、蛇腹剣は僕のオールレンジ攻撃をすべて弾き飛ばす。
首への致命傷は免れたが、肩に大きな刀傷を負った。
「でも、正体はわかった」
僕が放ったキックで、先祖剣士のマスクにはヒビが入っている。ヒビがだんだんと大きくなり、マスクがとうとう割れた。
マスクの破片が、地面へ落ちる。
「やはり、あなただったね。おばあさま」
謎の先祖剣士の正体は、僕の祖母だった。
「はあ、はあ。ディートリンデと聞いて、まさかなと、思いました。はあ、はあ。あなたと、同じ、名前でしたからね」
「私は先祖とは別人ですが、ディートリンデの血を継ぐものは、同時に名前も継承します」
さっきまで死闘を演じたとは思えないほど、祖母ディートリンデは穏やかな声で話す。
僕の方は、息が上がっているってのに。
「ディートヘルム、私と渡り合えるまでよく成長しました。ですが、ここまでです。あなたに魔改造を授けたことは後悔していません。ですが、あなたでは魔王を倒すことは不可能でしょう」
「僕が魔王を倒せなかったら、どうなさるおつもりで?」
「最後の魔改造の産物によって、世界に火を放ちます」
祖母が、悲しげな顔をする。
来たる魔王との決戦に勝てまいと考えた祖母は、最後の手段として魔改造を使った爆弾を用意していた。僕が試練を突破できずに死ねば、発動させるという。
「それは、僕を倒してから仰ってください」
絶体絶命のピンチだというのに、僕は毅然とした態度で祖母を迎え撃つ。
「私にすら敵わないあなたが、魔王に勝てるのですか?」
「勝てるさ」
僕には、あなたにないものがあるから。




