表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放先に悪役令嬢が。不法占拠を見逃す代わりに偽装結婚することにした。  作者: 椎名 富比路
第五章 魔王の墓へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/54

第47話 先代破れたり

 まあ、余裕を見せているものの、未だ突破口は開けていない。

 終始押され気味だ。


 祖母の攻撃は圧倒的で、こちらが反撃をするスキを与えない。

 まさに、「祖母 第二形態」というべき変貌ぶりだ。

 さっきまでより、遥かに強い。


「どうもヘニーの探索が早く終わったと思ったら、あなたの手引だったのですね?」


「ああでもしないと、あなたはいつまで経っても試練に向かわないでしょうから」


「こちらは、魔王退治より優先すべきことが多すぎて」


 商売の安定や外敵の駆除を、忘れてはいられなかった。そのせいで、祖母の墓に花を置く時間もなく。


「領土の平定は、結構なことです。ですが、なにより魔王退治こそ先決かと」


「だが、寄り道をしたからこそ、見えてきた世界がある」


「世界は待ってくれませんよ、ディートヘルム!」


 祖母ディートリンデが、僕の武器を破壊した。

 ナイブズアウトのつなぎ目が、砕け散る。


「不甲斐ない。我が孫が、こんなにも弱いなんて」


「弱い、僕がですか」


「ええ。あなたには見込みがありました。世界の大局を見極められるあなただから、魔改造の技術を託したのに。他の兄弟姉妹では、頭が固すぎて適応できませんでしたから」


 根っからの冒険者器質だったからね、僕は。


「頂点へは、才能だけでは到達できません。成長があってこそ、道は開けるのです。あなたはそれを怠った」


「いいえ。成長だけでも到達できない領域があると、気付かされたのです」


「なにを……な!?」


 ナイブズアウトの破片が、祖母を取り囲んだ。


「これは、束縛の魔法!?」


「ヘニーから教わったニワカ仕込みですが、不意打ちには最適かと!」


 ただ、足を使えなくしただけ。


 動ける右手で、祖母は武器を展開する。


「そこから!」


 カガシの脚力を使って、攻撃から逃げ回った。


「やりますね。だが、いつまでもつか」


「だから?」


 僕は自分のヨロイを脱ぎ、すべて武器に変換する。


「そんな技まで!」


「これはレフィーメの!」


 こちらも、祖母の武器を破壊した。


「さすがです! それでも詰めが甘い!」


 祖母も最後の切り札、幻影の腕を展開する。


「リユ……僕に力を!」


 僕の幻影の腕すべてに、リユの火炎魔法が展開された。


「なあ!?」と、祖母が唖然となる。


 炎の刃となった僕の腕が、祖母の幻影腕を全部切り落とす。


 だが、僕は祖母を斬り捨てなかった。


「なぜ、とどめを刺さないのです?」


「そこまでする必要はありません。試練は、終わりです」


 僕が告げると、祖母は微笑む。


「僕はこれまで、自分一人で生きていると思った。自分ががんばれば、道は自ずと開くと。しかし違った。祖母よ、あなたの教えで唯一間違っていたのは、他人を信じること」


 それだけは、教わらなかった。


 祖母も、一人ぼっちだったから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ