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追放先に悪役令嬢が。不法占拠を見逃す代わりに偽装結婚することにした。  作者: 椎名 富比路
第二章 奥様はドラゴンだった!?

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第18話 本格的、デーモン退治

「危険じゃぞディータ!」


「だからこそ、僕一人で行くんだ。キミなら、国を任せられるから」


 あんな凶悪なデーモンどもを、放っておくわけにはいかない。


「ディータ! 嫁を一人にして逝くな! せっかく、ほんとにお前を」


 離すまいと、リユが僕の肩を掴む。


「大丈夫。僕は死なないよ。行ってくるね」


 僕一人で、ダンジョンの最奥部へ戻った。


 グレーターデーモンが、ダンジョンを徘徊している。あの巨体を相手にしては、行く手を遮られてまともに動けない。リーチも長く、こちらは逃げ場を失う。


 物陰に身を潜めて、僕は機会を伺った。


 分断されたところで、僕は背後に回る


「ムッ、なんなのだ……!?」


 救援を呼ばれる前に、仕留めた。核がある心臓に、サーベルを打ち込む。魔族は、ある程度の距離があっても、魔力を送りあって状況を確かめ合える。そろそろ、仲間がやられたことに気づく頃だ。


 注意がそれている間に、もう一体の脳天に剣を突き刺す。頭頂から剣を伸ばし、心臓を一突きする。これで二体目を倒した。


 一回一回の闇討ちで、全力を出しきらないと仕留められない。それが今の、僕とリユとの差だ。


 落とす装備アイテムも、いい感じ。これは大収穫である。刀の素材に使えそうな鉱石と、魔力が込められたアクセだ。アクセの方は、僕のサーベルに付与しよう。


 最後の一体は、一対一で。


「お前が仲間を倒したのだな?」


「そうだ。最後は正面から勝負してやろう」


「望むところなのだ」


 デーモンが、腕を伸ばして攻撃してきた。


 蛇のように動く腕をかわし、蹴りで受け流す。


 少しくらいはよろめいてくれると期待したが、ビクともしない。やはり、体幹は向こうのほうが上だ。


「まあいいさ。【電光石火】っ!」


 雷魔法をサーベルに付与して、相手の目を狙う。


 目はデーモンの急所ではないが、視界は奪い取れる。


「なに!?」


 ジグザグに動いていたサーベルの先端を、デーモンは片手の指で摘んでしまった。


 正面からは、ムチャだったか。


 しかしこんなやつを相手に【奥の手】を使うのは、気が引ける。


「さっき拾ったアクセの力を、解放!」


 電光石火のリーチを、さらに伸ばす。グレーターデーモンからのドロップ品だ。威力は申し分ない。


 魔法が、デーモンの目にを突き刺した。そのまま心臓へと、浸透していく。


 ダランと腕を下げて、デーモンは絶命した。


 剣を収めて、ダンジョンの最奥を目指す。


 ペカディアは、跡形も残っていない。


「へえ、ノコノコと戻ってくるなんてね」


 その代わり、デーモン族のリーダーらしき女が。ペカディアをより凶悪にした見た目である。白を貴重にしたボンテージという、ワイルドな衣装に身を包んでいた。


 サキュバスか。デーモンでもかなりの上位種だ。


「ペカディア姫が、サキュバスを取り込んでいたとは」


「そんな下位悪魔と、一緒にしないでちょうだい。ワタシはサキュバス族の中でも上位種。ロードよ」


 サキュバスの王族か。そんな奴と、南東は手を組んでいたとは。


「どうだい? 人間族から解放された気分は?」


 この女デーモンは、ペカディアを吸収していたのである。それを、僕が解き放ったのだ。


「それが、キミの正体か」


「ええ。わざわざハンデを取り除いてくれるなんて、お人好しなのかしら?」


「ハンデ、か。やはりキミたちは、人間を取り込むと弱体化するんだね」


 人間ではないことを周囲に悟られないためと、全力を出すと宿主が崩壊してしまうからだろう。人間を捨てたところで、魔族の力を全力で出せる確率は低いけど。


「さすが元魔族の家系ね。博識だわ。魔族の生態をよく理解しているわね。だから勝てたのかしら?」


「今日の僕は機嫌が悪い。キミが全力を持ってしても僕には勝てないと、思い知らせたいんだ」


「ほざかないでよねガキ!」


 純白のムチが飛ぶ。


 僕が避けた地点の、空間すら斬り裂く。存在自体を消滅させるスキルか。


 ペカディアが振るっていた武器より、数倍も凶悪な攻撃力だ。


「あのドラゴンを帰したのが、あなたの運の尽きよ! 彼女がいれば、ワタシと互角に戦えたものを!」


 間髪入れず、二発目が来る。


 僕は、相手のムチを切り捨てた。


「な!?」


「いつから僕が、ドラゴンより弱いって錯覚していた?」


 肉体を変質させ、僕も自身の能力を開放する。

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