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オタク転生令嬢は今日も魔法研究に没頭中~恋愛フラグ?そんなの知りません!~  作者: 真木くるみ


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24.危惧していること(レオンハルト視点)

まずい。

非常にまずい。


先ほどフローラが研究会を立ち上げると言った瞬間から、俺の胃はきゅうっと痛み始めていた。


このまま彼女が他の男子生徒と仲を深め、そしてそのまま……などと考えると、陛下からの“あの依頼”が脳裏をよぎる。


――「ルイスの婚約者候補を探し、アシストせよ」


あの日から、俺の胃痛は慢性化している。

無関係ではないだろう。


俺の推測だが、ルイスは少なからずフローラに興味を持っている。

(いや、ほぼ確実に)


奴は表に出さないが、長年の付き合いで分かる。

あれは“気になって仕方がない”時の目だ。


数年前のお茶会で会った令嬢が彼女だと、ルイスは恐らく気づいている。


舞踏会で再会したあの日、彼女に話しかけられず残念そうにしていたのも見逃していない。


そして今――

生徒会に入った彼女の手の甲にキスし、名前呼びを許可した。


あのルイスが、だ。

王太子として令嬢に期待を持たせないよう、常に一線を引いてきた男が。


(……完全に特別扱いじゃないか)


フローラは伯爵令嬢とはいえ、頭も良く、裏表がなく、性格も良い。

将来の王太子妃として申し分ない。


だからこそ、俺は少しずつお膳立てし、二人を恋仲に……と考えていたのだが――


問題が一つ。

いや、複数あった。


フローラは、

とんでもなくモテる。


本人はまったく気づいていないが、生徒会に入ったことで注目度は爆上がり。


男子生徒の間では、密かに“フローラ愛好会”なるものまで出来ているらしい。


(けしからん。……いや、気持ちは分かるが)


以前、偶然廊下で目撃した時だって――



「あの、これ落ちましたよ?」


フローラが拾って差し出すと、男子生徒は一瞬きょとんとし、すぐに頬を赤く染めた。


「ありがとうございます。フローラさん……」


その視線は、礼を言うには少し長すぎる。


「いえ、では私はこれで」


フローラが去ろうとすると、彼は慌てて手を伸ばした。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


「は、はい? どうかされましたか」


「僕、同じAクラスのジェイラス・コリンズです。フローラさんと同じ伯爵家で……その、これから仲良くしてもらえると……う、嬉しいです」


突然の自己紹介にフローラは一瞬驚いたが、すぐに柔らかく微笑んだ。


「フローラ・クレヴェルトです。えぇ、もちろんですわ。コリンズ様」


その言葉に、ジェイラスは過剰なほど安堵した表情を浮かべた。

まるで“特別な約束”でも交わしたかのように。


そして去りながらも、彼は何度も振り返ってフローラを見ていた。



フローラは気づいていない。

だが――あれは、少し危うい。


だが、そんな“小物”たちはまだいい。

俺が本気で警戒しているのは――

フローラの周囲で特に危険な三人だ。


まず、一人目は――サディアス・ミルトン。

幼い頃から顔を合わせているが、頭の回転が早く、冷静沈着。

普段は滅多に笑わないくせに、フローラと話す時だけ、ほんのわずかに表情が和らぐ。

あれは“興味を持った相手”に向ける目だ。


静かだが、深く刺さるタイプ。

しかも本人にはまだ伝えていないが、サディアスは将来のルイスの側近候補でもある。

(……危険だ。ルイスの恋敵になりかねない上に、政治的にもややこしい)


二人目は――エリック・ハワード。

いけ好かない遊び人で、好みの令嬢や未亡人に手を出すという噂が絶えない。


生徒会では、フローラを“獲物”のように見る瞬間がある。

その目は、狙いを定めた捕食者のそれだ。


(絶対に近づけてはならない。あれは本物の危険だ)


フローラは無防備なところがある。

エリックのような男に食われる未来など、想像しただけで胃が痛む。


三人目は――ロイデル・カウスト。

フローラの隣の席で、最初は彼女を毛嫌いしていたようだが、

最近は距離が急速に縮まっている。


しかも研究会まで一緒に作るという。


ロイデルがフローラに好意を持っているかはまだ判断できないが、注視する必要がある。


三人ともタイプは違うが、フローラに近づけば近づくほど、俺の胃痛が悪化する存在であることに変わりはない。


(……つまり全員、俺にとっては危険だ)


いずれにせよ――

ルイス、悠長にしている時間はないぞ。


つい先ほど、陛下から「進捗はどうだ」と父上経由で連絡が来た。


(……何と答えればいいんだ)


舞踏会の夜から、俺は一度も報告を上げていない。

せっつかれるのは当然だ。


胃痛に加えて頭痛までしてきた。

失敗は許されない。


――よし。

こうなったら、俺が動くしかない。


公爵家の嫡男として。

そして、ルイスの友として。


俺は密かに作戦を立て始めた。

ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。


24話では、レオンハルト視点で“フローラを巡る周囲の動き”が一気に明らかになりました。

王太子ルイスの想い、フローラの人気、そして三名の存在――

彼の胃痛の理由がはっきりした回でもあります。


次話では、レオンハルトの“動くしかない”という決意が

物語にどんな影響を与えるのか楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。

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