面接官は、帝国軍総司令官
帝国軍本部の建物に入ると、すれ違う騎士がみなトゥルリー大佐に挨拶する。
トゥルリー大佐から挨拶することは無い。
つまりトゥルリー大佐の方が格上ということなのだろが、大佐ってそんなに偉いのか?
と、ネオは思いながら彼の後ろに着いて歩いた。
なんだか、みんなが敬礼してくれるので、ネオは、自分まで偉くなった気分になるなと思っていた。
それが、軍内部の奥に進むにつれ、そのすれ違う騎士達のオーラの違いを感じ敬礼されることに威圧感すら感じだしていた。
チラリとノアの顔を見ると、ノアの顔にも多少の緊張の色が見えた。
ノアは何度もここには来ているが、何度来ても慣れないなと思っていた。
さすがに最初の時は、ネオと同じくらい緊張していたが、やはり何度来ても緊張はする。
ノアも、ネオくんは大丈夫かな?と、思ってネオを見た。
そして、ふたりの視線が合った瞬間、お互いに苦笑いをして気持ちを共有した。
三人は、近衛騎士に案内されスチュアートリア帝国陸海軍総司令官室に通された。
ノアが前回来た時と同じく、手前置かれている大人数で座れる応接セットの椅子に着席した。
すると間もなく、近衛兵が開けた隣の部屋の扉からレッドリオン公爵その人が現れた。
「すまん、執務に追われていて遅くなったかな?それとも君たちが到着予定時間より早く到着したのかな?友達思いの家臣の進言で優秀な人材の育成に力を入れるようにしているから、少しは時間も出来たはずなのにな」
レッドリオン公爵は笑顔でトゥルリー大佐に目配せをしてから、彼らの前の椅子に座った。
トゥルリー大佐は、少しだけ片眉を上げて、口元を緩ませた。
そんな大佐を横目で確認してから、レッドリオン公爵が言った。
「わざわざお越し頂いて恐縮する。私がアラン・クレオ・ハイデルベルト・レッドリオン公爵。ここでは総司令官だ。よろしく」
ネオは、アランの放つオーラに圧倒され、ただポカンとした顔でアランを見ていた。
アランは、そんなネオを見て椅子から立ち上がって笑顔で手を差し出した。
「初めましてネオくん、私はレッドリオンだ」
ネオは、我を取り戻して椅子から立ち上がり、アランの手を握ると、その手からも凄いエネルギーが注がれているように感じて自分から手を離すことができなかった。
その様子をノアは、自分も最初はこうだったなと笑いながら見ていた。
アランがネオの手を離して着席すると、ネオも慌てて自分も座ろうとした。
だが、慌てたからなのか椅子の脚にネオ片足がひっかかってしまい、思わず転びそうになった。
それに気づいたアランが、すかさず物体操作の魔法で支えてくれたので、ネオは転ぶこと無く無事着席できた。
すると隣に座っているノアが、ネオに囁いた。
「ね?凄いオーラでしょ?これで200歳を超えているんだよ?」
ネオは、改めてレッドリオン公爵の顔を見たが、とても200歳を超えているようには見えなかった。
どう見ても20代半ばだよなぁ?と思った。
「ここへ来て貰ったのはほかでもない。君のパドラルとブロッサン国での話を詳しく聞かせて欲しいからなんだ。まず確認したいのは、君はBlack Mage側の人間なのかどうかとう事なんだ。万が一、Black Mage側の人間だとしても君は異星人だ。逮捕することはしない。まぁ、しばらく監視下で生活して貰うことになるけれどね。だから正直に話して欲しい」
レッドリオン公爵は、ネオの立場を本人の口から確認したいと思っていた。
ネオもそれはよく理解していたので、なんとか自分があっち側の人間ではないことを理解して貰おうと思った。
「俺は、ノアとこの星に転移して来たと同時に大黒主神教教会の世話になりました。この世界の事は全く知らなかったので、初めは見るもの聞くものが珍しくて、教わることはなんでも吸収したいと思っていました。そこで誘われるまま、なんとなく暮らしているうちに、いつの間にかノアとは別行動になっていました」
と、ネオは、自分が地球から転移しパドラルで暮らすようになった事を語ると
「な?ノア、ここまでは間違いないよな?」
と、ネオはノアに確認をとるように言った。
ノアは、正しいよ!と、いうように頷いた。
そして、ネオは続けて語った。
「ノアと離れてからも、地球には戻れそうもないし、誰も知る者もいない世界で生きていくには、ここで頑張るしか無いと思っていました。でも、だんだん現状が見えてきて、『大黒主神教』ってものが村人から嫌われていて、彼らのやっている事がおかしいという事に気づいたんです。初めは、使えるようになりたいと思っていた黒魔術も自分には必要ない気がしてきて…そんな時に読んだ魔導書には白魔術もあって、自分が使いたいのはこっちだと思ったんです」
「君は、その大黒主神教教会で黒魔術と文字を習ったの?」
と、アランが尋ねた。
「はい、一部は習いました。でも、ほとんどは魔術書や魔導書を読んで独学で学びました。マジュ文字も読めます。あと、この外套も自分で魔法をかけて作りました」
と、言ってネオは自分の外套を脱いでみせた。
その外套を一目見た時からアランもトゥルリーも気づいていた。
ネオがその外套をアランに渡そうとしたが、アランは掌をネオに向けて言った。
「いや、だいじょうぶだよ。見ただけでわかる。その魔法は特別だ。本当に君が自分で魔法をかけたの?」
「はい。魔導書を読みながら魔法をかけてみて何度も失敗したんですけれど、黒魔術では無い方法でかけようと思って、試行錯誤していたら出来ました」
と、ネオは苦心の末の策であることを述べた。
ネオとしては一番の自信作である。
「それは頑張ったね。その魔法は君の魂の渾身作だよ」
アランは、そのネオの力作を褒めた。
その魔法が、黒魔術でも白魔術では無いことを知っているネオ以外の三人は、アランの言葉の意味を理解していた。
「良かったね、ネオくん。レッドリオン公爵様がネオくんの力作を褒めて下さっているよ」
と、ノアも嬉しそうに言った。
おそらくこの外套の魔法は、神聖力によるものに違いなかった。
ネオがノアに会いたい一心で、極寒の北国のブロッサン国の教会から脱出する為に必死で生み出した魔法は、ネオの魂に宿った力だったのだ。
ネオにも確かに僅かながらにも神聖力は宿っているのだと、三人は確信した。
「俺は、ガニバランという黒魔術師にスチュアートリア帝国へ行ってノアを連れ戻すように言われたんです。ガニバランとは、一緒にブロッサン国の大黒主神教教会へ船で行ったこともあります。俺にこの外套を作るための魔導書もくれました。根っから悪いヤツとは思えませんが、パドリアヌスというBlack Mageの忠実な手下で、この大陸にBlack Mageの支配する国を作ろうとしています」
ネオは、ノアの言う通りこのレッドリオン公爵という人はただ者では無いと感じ全てを話して力を貸して貰いたいと思っていた。
レッドリオン公爵の面接は続く。
「君は、パドリアヌスというBlack Mageとは会ったことはあるのか?」
と、アランが問う。
「はい。同じ船でブロッサン国からパドラルに戻って来ました。でも、直接話したことはほとんどありません。指示しいつもガニバランや神父が出していました」
「パドリアヌスは、ブロッサン国で何をしていたと思う?」
「あそこが、教祖であるパドリアヌスの隠れ家というか本部になっていたと思います。あそこから、スチュアートリア帝国内の黒魔術師達や部下に指示を出していました」
ネオは、ブロッサン国で見たこと聞いたことを思い出していた。
「以前、温かい時期にブロッサン国の教会へ行った際には、気味の悪い森を抜けてスチュアートリア帝国内の教会へも行きました。そこで、黒魔術を使って魔物を作ったりしていました」
アランとトゥルリーは、やはり「魔の森」の狼の魔物を生み出したのはパドリアヌスというBlack Mageだったかと確信した。
ネオは続けて言った。
「今回パドリアヌスは、スチュアートリア帝国の各教会施設に異変があったと気づいてパドラルの教会へ拠点を移すことにしたようです。その時に『あそこまで作り上げたのに放棄するのはもったいない』と、言っていました」
ネオの言葉を聞いて、アランとトゥルリーは顔を見合わせてお互いの意思を確認していた。
そして、アランは質問を続けた。
「彼らは、ノアを連れ帰ってどうするつもりだと思う?」
「それは、わかりませんが、元々俺たちを利用しようとして呼び出したのはヤツラなんだと思います。ただ、俺たちがすぐに役立つような人間じゃなかったのでやり方を変えたのかもしれません。どちらにせよ、パドラルに呼び戻して利用されるのだと思います」
ネオのその言葉に付け加えるようにノアが言った。
「今、ネオに付き添っているデイブスという男は、僕をパドラルから連れ出した男です。僕が帝国神聖魔術士養成大学に入るのも見越したことだったようです」
ネオとノアの話を聞いてアランはふたりに言った。
「おおよその事はわかった。それでネオ君。きみは、これからどうしたい?ノアとパドラルへ戻りたい?それとも帝国に残ってノアのように帝国神聖魔術士養成大学の生徒になって白魔術を学び魔導士になりたいのかな?」
ネオは、アランの言葉にしばらく考え込んでいた。
ノアは、ネオならすぐに後者を選ぶと思っていたので意外に思っていた。
ネオは、ノアの顔を見て言った。
「ノアは、俺とパドラルへ戻ってくれと言ったらどうする?」
「えっ?」
ノアは、ネオの問いにすぐには答えられなかった。
だが、答えは決まっていた。
今のこの幸せな生活を捨ててパドラルへ戻りたくはない。
例え地球に戻れると言われてたとしても行きたくはない。
ただ、ネオの気持ちがわからなくも無い。
ネオは、ジャコバン村人たちのことを考えているのだろう。
確かにあの村の人たちにとっては『大黒主神教』は脅威でしかない。
だが、今のノアにとって大切な人たちはここに居る。
レイマーシャロルの宿アフィニティの親父さん、ティム・ランダー。
帝国神聖魔術士養成大学の学友たち。
今のノアの居場所は、パドラルのジャコバン村ではなく、スチュアートリア帝国の帝都トロアが守るべき場所なのである。
ノアの躊躇する顔を見てネオは悲しそうに言った。
「そうだよな。ノアにとってパドラルは一瞬滞在した場所になっちまったもんな」
そんなネオとノアの様子を見てアランが再びネオに尋ねた。
「君はなぜ、ノアとパドラルに戻りたいのかな?君が望めば君もノアと共に帝国神聖魔術士養成大学の生徒として衣食住を含め不自由なく暮らせるように手配してあげることは可能だよ?」
以前の自分のことを優先して考えるネオなら、喜んで応じる条件だったが、今の彼は違った。
自分だけのことを考えて、ディアネ達ジャンバラン村の人たちのことを忘れることが今のネオには出来なかった。
ネオは、アランに言った。
「自分のことだけを考えたら、願ったり叶ったりの有難いお申し出です。でも、俺が帝国に居るノアに会いに来たのは、自分の為じゃありません。ジャンバラン村の人やパドラルの人を『大黒主神教』やBlack Mageから守りたかったからです」
力強く語るネオの顔は、ノアに凛々しく見えた。
一緒に。ジャンバラン村でサバイバル生活に興奮していた頃のネオではなかった。
会わない間に、ネオがすっかり大人の男になったようにすら感じた。
そんなネオの気持ちはアランもトゥルリーにも伝わっていた。
特にスチュアートリア帝国の平和と帝国民の幸せの為に日夜奮闘しているアランには、ネオの気持ちが痛いほどに伝わっていた。
「ネオ、君の気持ちはよくわかった。パドラルをBlack Mageと『大黒主神教』から解放したいんだね」
アランのその言葉にネオは大きく頷いた。
「はい。俺の望みはそれだけです」
「だが、今の危険なパドラルへノアを行かせることは出来ない」
アランの言葉にノアは、半分ホッとし、ネオは半分がっかりした。
だが、アランは続けて言った。
「パドラルのBlack Mageは、我が帝国内での『大黒主神教』を使っての作戦に失敗したと知って、パドラル国内を自分たちの国にしようと動き出している。我々はそれを逆手に取って、パドラルを秘密理に侵攻しようと作戦を計画している。だから、君たちは下手に動かず我々に協力して欲しい」
「えっ?スチュアートリア帝国がパドラルを侵略攻撃するということですか?」
ノアは驚いてアランに尋ねた。
なぜなら、ノアが帝国神聖魔術士養成大学習ったスチュアートリア帝国史では、帝国として成立以降、スチュアートリア帝国から先制攻撃をしたり、侵略攻撃をしたりしたことは無いと教わっているからだ。
教師でもあり、軍の大佐でもあるトゥルリー先生が、教え子のノアに言った。
「もちろん、帝国側から先制攻撃をしたり、侵略攻撃をしたりすることは無い。ブロッサン国のように王という統治者がいれば外交戦略で解決可能なのだが、パドラルは複数の部族が集まった国なので別の作戦が必要なのだよ」
「攻撃をせずに侵略するなんて出来るのですか?」
ネオもアランとトゥルリーの作戦の検討がつかなかった。
「これは、軍部内でも一部の者しか知らないの機密情報であり、秘密作戦なので君たちも肝に銘じて聞いてくれるか?」
アランの軍総合司令官室には、彼らの入室直後から結界が張られ、室外に声が漏れないようになっていた。
それを知らぬネオとノアは、声を潜めるようにして答えた。
「はい」
「大丈夫だよ、この部屋には結界が張ってある」
と、トゥルリーがふたりに言った。
「この作戦にはとにかく、情報が大切になって来る。一旦やつらにその地域を征服させてから、直後にこちらで取り戻していく。オセロゲームのように、黒色を白色にひっくり返していく作戦だ。そして、全てを白色にしたところでパドラルの部族同士の話し合いをさせ、国家としての形を作らせるというものだ」
アランの作戦を聞いたノアは、なかなか壮大な作戦だと思ったが寿命の長いHoly Mage達ならそうした作戦が長期に及んでも問題ないのかもしれないなと思った。
同時に、常に部族間の衝突が多く治安の悪いせいで貧しいパドラルにとって、国が平和にまとまれば、スチュアートリア帝国のように安心安全な国も夢じゃないのかも?と思った。
するとネオが言った。
「でも、一旦、Black Mage達に制服させるとなるとその地域の犠牲者が多く出たりしませんか?」
ネオにとっては、ジャンバラン村の人たちに被害が及ぶことが一番怖かった。
「問題はそこだが、やつらも人数は多くないし武力攻撃する武器も多くは無い。おそらく黒魔術頼りだろう。魔術で洗脳された者はこちらで解呪可能だ。まぁ、そこはその都度対策をかんかえねばならなん」
確かに、ネオの知る限りでも洗脳された信者以外の大黒主神教の人間はそう多くはいない。
冷静に考えれば、あの人数でパドラル全土を征服するのは難しそうだ。
「だから、この作戦には情報が大切になって来るのですね?」
と、ネオは納得したように言った。
「そうなんだ。君もBlack Mageの戦力数は把握しているだろう?それと、大切なのは、各部族の部族長の交渉と調整だ。長年いがみ合ってきている彼らをまとめひとつの国にするには容易ではないと思う」
アランは、一番の難題はここだなと思っていた。
出来ればこの役目は皇帝にお願いせず、自分とウィリアム皇太子でやらねばならないと考えていた。
ただ、部族間のしきたりや風習も有り、その部族長のこだわりやプライドにも配慮せねばならず難しい調整になるのは必至だった。
「だから、場合によっては君たちにも現地の人に混ざって活躍して貰わなければならない時が来るかもしれない。それまでは、我々を信じて待機していて欲しい」
アランが一通りネオとノアに「パドラルのオセロ作戦」を語り終えると、ノアはやっぱりレッドリオン公爵は頼れる人だなと思った。
隣国のことだと放置せず、自らパドラルの国民のことも考えてくれている。
スチュアートリア帝国がなぜここまで大きな帝国となったのかが、なんとなくわかるような気がしていた。
「でも…」
と、ネオが心配そうに話を切り出した。
「デイブスはどうするのですか?彼は黒魔術師のガニバランの手下で俺とノアの帰りを待っています。それと、シルクガード港の沖合の船にガニバランを乗せた船が待っていると思います」
不安そうに話すネオにアランは微笑んで言った。
「デイブスとガニバランの仲間はそれぞれ刑務所に居る。魔法の使えないデイブスにはお仲間のところへ行って貰おう。みんな、それぞれ不幸な過去の為にBlack Mageに加担している。刑務所と言っても居心地は悪くないはずだ。Black Mage問題が片付いたら、それぞれ事情を聞いて更生プログラムを組んで社会復帰できるようにするから安心してくれ」
ネオとノアは、なんだかデイブスには申し訳ない気持ちになっていた。
「そこには、あのピートもいるぞ?ダボシムは黒魔術師だから魔法遮蔽牢に居るが彼も問題が片付いたら話を聞くことになってる。パドラルが、彼らにとっても平和に暮らせる国になるよう頑張ろう」
と、アランがふたりの沈んだ気持ちを鼓舞するように言った。
ネオもノアもデイブスやスティビーがなぜ大黒主神教に加担したかの経緯を知っているだけに。アランの言う通りパドラルがそんな国になれば彼らも喜ぶだろうと思った。
ネオも、ノアもデイブスには騙されたのだ。
彼の未来のためには、恨まれても一旦は騙されて貰うしか無いと思った。
「デイブスは、アフィニティという宿に居るのだったな?」
と、トゥルリーがノアとネオのふたりに尋ねた。
ふたりは、頭を縦に振った。
それを確かめると、トゥルリーは立ち上がり部屋を出て行った。
きっと、デイブスを逮捕に行くのだろう。
ノアとネオは、やっぱりあまり良い気分にはなれなかった。
そんなふたりにアランは言った。
「時には、難しい決断をしなければならない。でも、大切なのは未来だ。Black Mageの手先のままの彼の未来は明るいかい?未来は今という過去の上にある。彼の未来が幸せなものになるようにしてあげようではないか」
アランの言葉にノアは少し気持ちが軽くなったような気がした。
ネオは、もうひとりの気になる男のことを思い出して言った。
「あの、ガニバランという黒魔術師が言っていたんです。昔、あるBlack Mageが、魔王を呼び出そうと試みたて、魔王では無く、異星から来た者が現れたのだそうです。そして、その者が、異星の未知の知識と道具を用いてBlack Mageの力になったという伝説があるのだそうです」
アランはネオンの報告に頷いて言った。
「その伝説については、うちの優秀な諜報部員が集めて来た情報をこれたま優秀な参謀長がまとめてくれた資料の中にあったな。魔王を呼び出すための魔法陣を構築するのだろ?」
「たぶそうです。俺たちも魔法陣に吸い寄せられたと思ったら、ここに来てましたから」
と、ノアが言った。
「あと、海賊船にBlack Mageを乗せているのを知らせる旗があるとも言っていました。真っ白な旗の真ん中に黒い星(★★★3つ) のマークが三角形を描くように描かれているものを国旗と共に掲げるのだそうです。その船は海賊に襲われないと言っていました」
ネオは、自分の知っている情報をアランに伝えて役立てて欲しいと思っていた。
そんな必死なネオの姿を見てノアは感動していた。
もう、闇バイトに自分を誘ってオタオタしていたネオはどこにもいない。
「そうか、ではリルクガーラント沖か、エードリア海からスチュアトリア海にかけてその旗を掲げて航行している船を捜せば良いのだな?ありがとうネオ君、大いに参考にさせて貰うよ」
そう言って、アランはネオに握手を求めた。
ネオは、最初の時とは違い落ち着いてアランの手を握ることができた。
続いてアランは、ノアにも同じように手を差し伸べて言った。
「ノア、君の役目はこれからだ。大変だろうが頑張ってくれ。ネオ君の事もしっかりフォローしてやって欲しい」
ノアは、アランの手をしっかり大きな声で「はい!」と答えた。
そして、チラリとネオの顔を見るとネオも嬉しそうだった。
ネオは、やっぱりノアに会いに来て良かったと思っていた。
先のことは、全く考えていなかったがノアに会えさえすればなんとかなると思
った自分の考えは間違っていなかったと思っていた。
そうしている間に土って来たトゥルリーに向かってアランが言った。
「では、ネオ君のことはノアとイエローバレー 大佐にお任せしよう、よろしく頼む」
「お任せください。アラン総司令!」
トゥルリー・アンソニー・イエローバレー大佐は、アラン・クレオ・ハイデルベルト・レッドリオン総司令官に敬礼をすると、ネオとノアを連れて軍本部を後にした。
彼らの後ろ姿を見送りながらアランは思っていた。
いよいよ、こちらの手駒も揃ったようだ。
ついに、この帝国の未来をかけて自分が動く時が来たことを予感していた。




