8/15
8 深夜のなきごえ
世中。
自室のベッドで静かに眠っていると、何やら音が聞こえた。
何かの唸り声のような、そんな音だった。
明日は破約起きなければならなかったが、気になった私は音のする方へ向かった。
そろりそろりと、足を動かす。
やがて私は、玄関に着いた。音は外から聞こえている。
玄関に置いて置いた懐中電灯を片手に、私は玄関のドアを開けた。
「ジョン、お前だったのか」
私は弥助風に呟いた。目の前には、犬小屋で体を丸めている犬が一匹。
音の正体は、家で飼ってる犬の泣き声だった。
どうやら、ジョンは寝ながら泣いていたらしい。
瞼を閉じて泣いているジョンを見ていると、いびきを掻いて寝ている父の間抜けな姿が浮かんだ。
確認するまで恐怖があったのだけれど、分かって見ると面白く思えて、思わず絵美がこぼれた。
「おやすみ、ジョン」
その後、自室に戻った私は、明るい気持ちでベッドに体を沈めた。
夢見は悪くなかった。