9 不機嫌な彼女
その日、彼女は期限が悪かった。明日までに仕上げなければいけない文化人類学のレポートが、全く進んでいなかったからだった。
「もう! まったくもう!」
彼女は堪らず声をあげた。その大きな声は、彼女の自室によく日々いた。
と、底に彼女のボーイフレンドが現われた。
ボーイフレンドは入り口で溜め息を吐き、彼女の背中を見ながら言った。
「だから言ったじゃないか。僕も手伝うから早めにやろうって」
一週間前、ボーイフレンドである彼は確かに言ったのだ。このままだと終わらないぞ、と。
しかし、彼女は目の前のことに捕らわれていた。新発売の形態ゲームに夢中になっていた。
おかげで、今のような状態に陥っている。
「期限は明日の夕方までだろう? それまでなんとか頑張るしかない」
「ええ! そうね! そうともさ!」
「大丈夫。情報をいくつか、僕からも提供できる。たとえば、人類の機嫌の一説とかね」
「ありがとう! なんとか目処が立ちそうよ!」
彼女は振り返り、自らのボーイフレンドを見ながら言った。
けれども、彼女の顔は全く喜んでいなかった。
機嫌が全く良くなっていない彼女に、彼は言った。
「余裕の大事さが分かっただろう?」
「分かったから早く手伝って!」
彼は思った。彼女の期限が良くなるのはレポートを無事提出した後だろう、と。
再び溜め息を吐き、彼はレポート作成を手伝った。
◇◆◇
だが、敵は一夜で始末できる城物ではなかった。
彼女の起源は、四日後から徐々に良くなっていった。




