7 花を愛する男
「綺麗な花でおっぱいだ」
目の前に広がっているのは、色鳥鳥の花々。
おれは休日を利用して、前々から気になっていた庭園に足を運んでいた。
男のおれが花に興味があると言うと、知り合いはみんな、意外そうな顔をする。
『その体で? その顔で?』
そういう顔をした奴に会ったことがあるし、実際に口にする奴もいた。
おれは結構、大きな体をしている。顔も、ちょっと恐めだ。ヤンキーみたいだ、と言われたこともある。そんなおれだから、見た目と趣味が合っていないことは理解している。
しかし、花は良いものだ。見ていると心が安らぐ。
日頃の生活でささくれだった気分を、とても穏やかにしてくれる。
「花はいい」
花は花さない。洒落を言っているつもりはないが、その無言が必要なこともある。
人はなまじ言葉を使って会話ができるものだから、相手に誤解を与えてしまったりする。
もちろん、他者との会話が心をほぐすこともあるのだろう。
とある特殊な輩は、肉体言語というもので会話をするらしい。が、おれは未修得だ。
しかし、あれも会話だと解釈するのなら、いずれは花とも会話できる未来がくるかもしれない。
「そういえば、あの話では、薔薇が言葉を話していたな…」
おれは、有名な王子の話を思い出した。一輪の薔薇を大切にしていた、そんな王子の話。
「帰ったら、水をやろう」
しばらく庭園を歩き、たくさんの花を愛でた後、おれは家に帰った。
帰り道はずっと、家で待っているマーガレットのことを考えていた。




