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神の望み、生徒会長の公約

調理の女神は、真白のその無欲で純粋な姿に、言葉を失っていた。神という超越した存在でありながら、自身の欲望よりも「運営」と「仲間」を優先する彼女の姿は、既存の神々にとってある種の脅威であり、同時に究極の理想でもあった。

神の望み


「あなた、何でも手に入る立場なのに……欲がないのかしら?」


調理の女神の問いかけに、私は少し考え込んでから、ふんわりと微笑んだ。


「欲、ですか? そうですね……。早く皆様と展望大浴場にマッサージ機を設置したいですね。生徒の皆さんも、とても楽しみにしていますから」


女神たちは一瞬呆気にとられ、その後、こらえきれないといった様子で笑みをこぼした。今日の家電量販店で一姫によって何が起きたのか、私は記憶にない。ただ、生徒会長として約束した「快適な学院運営」のことしか頭になかったのだ。


知恵のソフィア(書記):

「……相変わらずね。私たち神々の贅沢よりも、生徒たちの娯楽を優先するなんて」


調和の桃子(養護):

「真白さんのそういうところ、本当に生徒会長の鏡だわ。一姫の買い占めなんて全く気にせず、次の改善策を考えているなんて……」


創造の女神(担任):

「欲がないのではないわ。彼女の欲はすべて『蒼天女学院』という箱庭の完璧な運営に向いているのよ」


美のヴィーナス(副会長):

「高級品への興味が皆無……昔、あの一姫という猫にこき使われていた苦労が、逆に彼女の無欲さを際立たせているわね」


豊穣のデメテル(会計):

「マッサージ機ね……あの子の願いなら、全力で予算を通さなくてはならないわ」


勝負の女神(1年):

「私生活より公務優先! これぞまさに生徒会長っす!」


芸術の女神(2年):

「質素倹約に慣れすぎて、自分のためという概念が抜け落ちている……ある意味、恐ろしいわ」


慈愛の女神(3年):

「真白ちゃんの優しさが、学院の隅々にまで浸透しているのね……」


龍神の翠(役員):

「ふむ。欲なき者にこそ、最高の権威が宿るものじゃ」


ネットワークの綻び


私はふと思い出し、少しだけ真剣な面持ちで先鋭たち——いえ、女神たちに尋ねた。


「そういえば、学院全員へのスマホ配布の件はどうなっているのでしょうか? せっかく神速の地下蒼天ネットワークを構築したのに、まだ私たちだけしか使っていませんし」


その言葉に、女神たちの背筋がピリリと伸びる。


知恵のソフィア(書記):

「……あら、進捗状況ですか? ネットワークの負荷試験は終わっています。配布は……明日には全生徒へ完了させましょう」


調和の桃子(養護):

「ええ。真白さんの計画は、私たちの想定よりずっと早く進んでいるわね」


創造の女神(担任):

「ネットワーク構築の神速さ、真白自身が提案したことだからね。私たちの手抜きが許されないわ」


美のヴィーナス(副会長):

「あの子の指示通りに動くのが、今や私たち女神の仕事みたいね」


豊穣のデメテル(会計):

「全生徒分のスマホ調達……予算はどこからでも湧いてくるから問題ないわ!」


勝負の女神(1年):

「真白様の命令は絶対っす! 速攻で手配するっす!」


芸術の女神(2年):

「通信環境の整備……これぞ、学院を一つの芸術作品へと昇華させるためのインフラね」


慈愛の女神(3年):

「真白ちゃんが望むなら、生徒全員が世界一幸せになれるネットワークにしてみせるわ」


龍神の翠(役員):

「ふむ。会長の仰せのままに。早急に手配いたそう」


私は満足そうに頷き、再び杯を口に運んだ。生徒たちの笑顔と、学院の発展。私にとっての幸福は、その一点に集約されていた。神として何でも手に入るとしても、今、この箱庭を完璧に運営すること以上の「贅沢」は他にない。

真白の無自覚な優等生ぶりは、天界の女神たちすらも従わせる強制力を持っていた。彼女が提案した「神速のネットワーク」は、今や全生徒へと広がろうとしている。神の視点、生徒会長の責務、そして節約料理で鍛えられた質素な感性。そのすべてが複雑に絡み合い、この学院という箱庭は、今日も彼女の意図しないところで、急速に神聖化と高度化を遂げていくのであった。

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