調理の女神、知識の流転
天界の宴は最高潮に達していた。女神たちが私の振る舞った「黄金衣の伊勢海老」や「筍の春巻き」を頬張る姿を、私は杯を傾けながらぼんやりと眺めていた。そこへ、天界の食を司る「調理の女神」がふらりと現れ、私の料理に視線を落とした。
調理の女神の評価
「あら、これは……。どの料理書のレシピに載っているのよ?」
調理の女神は不思議そうに呟きながら、一皿をつまみ上げた。
「独創的で……そして、たまらなく美味しいわね。既存の天界料理の技法を超えているわ」
突然の来訪と高評価に、他の女神たちは誇らしげに胸を張る。
美のヴィーナス(副会長):
「でしょう? 真白の料理は、単なる食材の加工品ではない、芸術品なのですから」
知恵のソフィア(書記):
「調理の女神様も驚くほどとはね。流石は私の見込んだ真白ですわ」
豊穣のデメテル(会計):
「これだけ美味しいものを、惜しげもなく天使たちに作り方を教えているのよ。寛大でしょう?」
調理の女神は驚いて私に向き直った。
「そんな簡単に高度な知識を分け与えているの? あなた、自分の価値を下げているのよ?」
私は杯を置き、静かに答えた。
「それを言うのでしたら、知恵のソフィア(書記)様だって、私に膨大な知識の断片を分け与えてくださいました。禁忌の内容でなければ、知識は循環させるべきではないでしょうか? 独り占めしても、美味しいものは増えませんから」
その言葉に、食卓に沈黙が流れた。
知恵のソフィア(書記):
「ふふ、禁忌以外の知識ならば、真白に与えることは私の喜びですもの。循環という考え方、貴女らしいわね」
調和の桃子(養護):
「真白さんは、知識も愛も、すべての人に分け与えたいという慈悲の心を持っているのですね」
創造の女神(担任):
「禁忌を理解しつつ、それを越えない範囲でこれほどまでに自由に創造する……教える側としても最高の教え子だわ」
美のヴィーナス(副会長):
「知識を独占せず、共有することで進化を促す。王の器……いえ、神の器というべきね」
豊穣のデメテル(会計):
「食を分け合う心、まさに豊穣の女神の精神そのものだわ」
勝負の女神(1年):
「知識を出し惜しみしないなんて、真白様はどこまでも太っ腹っす!」
芸術の女神(2年):
「知識が共有されることで、新しい料理の芸術が生まれる……その連鎖まで設計しているのね」
慈愛の女神(3年):
「自分の才能に執着しないその姿勢が、周りのみんなを幸せにしているわ」
龍神の翠(役員):
「ふむ。器の広さ、感服いたした。真白、貴女の周りには常に実りのある風が吹いておる」
調理の女神は感銘を受けた様子で、最後の一口を飲み干した。
「……恐れ入ったわ。あなたのその『知識の循環』という教え、天界の厨房にも取り入れさせてもらうわね」
真白の言葉は、天界の既成概念を心地よく揺さぶった。知識を「所有するもの」ではなく「共有するもの」として捉える彼女の姿勢は、女神たちの間でも新たな哲学として浸透しつつある。杯を手に、穏やかな微笑みを浮かべる真白。彼女の周囲では、知識と料理、そして神々の交流が、今日も絶えることなく循環し続けている。




