封印される神威と愛しき素直さ
春の陽だまりの香りが、少しだけ日常の空気と混ざり合う。真白は、女神たちの必死な説得に応じ、その膨大な神力を自ら微細な限界まで抑制し始めた。絶対的な神の威厳を纏いながら、時折見せるその「素直すぎる」姿に、女神たちは己の心拍数を抑えるのに必死な会議室の午後。
「あの……これくらいで、よろしいでしょうか……?」
私は両手をそっと広げ、自身から放たれる神力の奔流をせき止めました。
先ほどまでの空間を支配するような圧力は消え、今や女神たちと同レベルの、穏やかで慈愛に満ちたオーラへと落ち着いています。
(調和の女神・桃子):
「ええ、完璧よ真白! 今のあなたなら、人間たちも親しみやすい『いつもの真白』として接することができるわ!」
(創造の女神・担任):
「その調子よ! 力を抑えることも、神としての高度な修行の一つ。生徒たちに囲まれても、絶対に暴走させないためのね」
(知恵のソフィア・書記):
「出力10%維持……! 素晴らしいコントロールですわ。これなら一翻市の時空も安定します」
(美のヴィーナス・副会長):
「あぁ……その控えめなオーラもまた美しい。真白様、どうかその親しみやすいお姿を、これからもずっと見せて頂戴!」
(勝負の女神・1年):
「先輩、その……素直なところ、めちゃくちゃカッコいいっす! そのまま修行頑張りましょう!」
(豊穣のデメテル・会計):
「神様が自ら力を制限する姿……。この謙虚さこそが、瑞鳳宮の主の魅力ですわ!」
(芸術の女神・2年・赤):
「自らの力を律する者こそが、最も気高い。その姿、絵になるな」
(慈愛の女神・3年):
「真白ちゃん、一生懸命制御してくれてありがとう。無理はしないでね」
(龍神の翠・役員):
「まさか覚醒した真白がここまで素直に言うことを聞くとはのう!」
「少し……維持するのが難しいです。また溢れていたら、すぐに注意してくださいね」
覚醒モード特有の、どこか浮世離れした静かな瞳で、私は少しだけ頬を染めてそう言いました。
普段の「しっかり者の生徒会長」としての自我よりも、今は素直な心が勝っているようです。
女神たちは、今の真白の「防壁のない素直さ」に、思わず顔を見合わせて顔を綻ばせました。
(調和の女神・桃子):
「(内心:……ダメだわ、この『素直真白』、守ってあげたい欲が止まらない……!)」
(創造の女神・担任):
「(内心:普段はあんなに隙を見せないのに、今はこんなに可愛らしく……!)」
(知恵のソフィア・書記):
「(内心:この脆弱なまでの素直さ……研究資料として一生保存したいですわ)」
(美のヴィーナス・副会長):
「(内心:ああ、なんて健気なの……。今すぐ抱きしめてもいいかしら?)」
(勝負の女神・1年):
「(内心:先輩……そんな目で見られたら、全部許しちゃうっす……!)」
(豊穣のデメテル・会計):
「(内心:この姿、いくら積めば見られるのかしら。プライスレスですわね)」
(芸術の女神・2年):
「(内心:神の仮面が剥がれ落ちた、一番純粋な状態だ……)」
(慈愛の女神・3年):
「(内心:もう、なんて可愛いんでしょう。今日はずっとこのままでいてほしいわ)」
(龍神の翠・役員):
「(内心:うぐっ……! 覚醒してこれほど無防備になるなど、卑怯じゃ……!)」
(……あれ? 皆様、どうしてそんなに顔を真っ赤にしているのですか?)
私は小首を傾げました。自分では力の維持に集中しているので精一杯ですが、女神たちの視線がいつもより一段と熱いことに気づきます。
「皆様……? ちゃんと、制御できていますよね……?」
不安げに尋ねるその姿があまりにも「覚醒モード特有の儚げな愛らしさ」を放っているため、女神たちは返事も忘れ、ただひたすらに「真白の神威」と「その可憐さ」の狭間で悶絶し、この上なく幸せな会議の時間を過ごすのでした。




