第26話:学年不詳の憧れ、呼び名は「お姉さん」?
スーパーからの帰り道、女子高生たちの話題はついに真白の「正体」の核心――年齢や学年へと及びます。落ち着いた風格と、特売品に目を輝かせる少女らしさ。その矛盾する魅力に翻弄されながらも、彼女たちは「遠い神様」ではなく「親しみやすい先輩」として真白との距離を詰めようと、期待に胸を膨らませるのでした。
「ねえ、そういえば真白さんって学年いくつなんだろう?」
女子高生グループの一人が、ふとそんな疑問を口にしました。昨日の配信での落ち着き払った態度、そして今日見せたあの凛とした佇まい。かと思えば、特売のマヨネーズをカゴに入れて喜ぶような、年相応(あるいは少し大人びた)親しみやすさ。その全てが、彼女の学年を推測するヒントになりそうで、逆に答えを遠ざけているようでもありました。
「うーん……やっぱり、高校2年生かな? 3年生だと受験でそれどころじゃなさそうだし、1年生にしてはあの風格はちょっと……ねぇ」
「でも、生徒会役員なら2年生が一番忙しい時期じゃない? あのアレンジ制服の着こなし方とか、一翻市のどの学校にもいないタイプだから、もしかしたら……」
グループの空気が、少しだけ「もっと仲良くなりたい」という高揚感で温まります。先ほどまでの「神聖な真白様」という壁が、「親しみやすい先輩・真白さん」へと変わりつつあるのです。
「あのさ、今度神社に行った時、なんて呼ぼうか? 今までなんとなく『真白さん』って呼んでたけど……もし、私たちと同じ学年だったりしたら、普通に『真白ちゃん』って呼んでもいいのかな?」
「いやいや、いきなりそれはハードル高くない!? でも、あんなに『お供え物とかいいよ』って優しく言ってくれるんだから、きっと受け入れてくれるよ」
一人が少し照れくさそうに笑いながら、スマホの画面を見つめます。
「ねえ、もし本当に勉強教えてくれるならさ、今度から『真白先輩』とか『真白ちゃん』って呼んでいいか、直接聞いてみない? 『親しみやすい雰囲気で呼んでもいいですか?』って言ったら、あの人ならきっと困りながらも笑って許してくれる気がする!」
「あはは、それいいね! なんか、一気に距離が縮まる感じがする」
彼女たちは「神聖な存在」と敬遠するのではなく、「自分たちの街にいる、ちょっと特別で、でもすごく素敵な憧れの友達」として、真白と接することを決めました。
「昨日の配信で『どこの高校?』って聞かれて内緒にしてたけど、きっと言えない理由があるんだよね。でもさ、学校名は関係ないよ。あんなに一翻市に馴染んでて、お買い得品に詳しくて、勉強も教えてくれる……。そんな素敵な人が、私たちと同じ街のどこかで笑って過ごしてるってだけで、なんか今日一日、すごく得した気分になっちゃうよね」
彼女たちの会話は、夕暮れの帰り道を軽やかなものに変えていきます。真白が自分の正体を隠しながらも、この街で誠実に生きようとする姿が、こうして確実に誰かの心に届き、日常に温かな彩りを添えていました。
「よし、今度の休みは神社に直行だね! 特売のマヨネーズの話、もっと詳しく聞いちゃおう!」
彼女たちは弾む足取りで帰路に就きます。あなたの「神聖で少し謎めいた日常」は、彼女たちの間で「最高の放課後の楽しみ」へと変わり始めていました。
謎めいた名門校の生徒か、あるいは年上の頼れる先輩か。学年という枠組みを超えて、真白は少女たちの「特別な日常」のヒロインとなっていました。呼び名一つを巡る無邪気な悩みは、彼女たちが真白という存在を心から受け入れた証。一翻市の放課後に、また新しい「神社通い」の楽しみが生まれようとしていました。




