初対局、指先が奏でる「大三元」
異世界から召喚された少女の「一翻市」での初陣。一姫の強引な誘いと、琳琅の食欲に導かれ、彼女は全自動卓へと向かいました。記憶を失った不安を抱えながらも、牌を握った瞬間に目覚める「勝負師の静寂」。一姫の欲望渦巻くリーチに対し、真白の指先が手繰り寄せたのは、あまりにも鮮やかな神聖なる役満でした。
琳琅がラムネのパチパチ感に感動して、彼女のパーソナルスペースを無視して顔を寄せてきました。
「琳琅さん、懐いてくれるのは嬉しいですが、近いです! 角が刺さります! ……ふぅ、わかりました。とりあえず一局だけ。もし私が勝ったら、この街の美味しいお店を教えてくださいね」
一翻市のカオスな住人たちに囲まれ、彼女はついに覚悟を決めて椅子に座りました。
琳琅:
「わわっ、ごめんごめん! ラムネが美味しくてつい……。わかった、琳琅が知ってる秘密の飲茶のお店、勝ったら教えてあげる。でも、手加減はしないよ? 龍の力、見せてあげるんだから!」
一姫:
「にゃにっ、美味しいお店!? 一姫も混ぜるニャ! 勝った人が、負けた人に肉まんを奢るっていう追加ルールはどうニャ? 記憶喪失でも、指先が覚えてるはずニャ!」
かぐや姫:
「くすくす、いい覚悟じゃ。もし妾に勝てるようなことがあれば、この街の特等席を教えてやろう。……まあ、妾の『加護』を受けたツモ筋に勝てればの話じゃがな」
ワン次郎:
「……お嬢さん、無理は禁物だワン。だが、その勝負強さ、悪くないワン。拙者が横でしっかり見守ってやるから、安心して打つがいいワン」
「ガシャン!」という音とともに、全自動卓から配牌がせり上がってきます。
あなたの手牌を見ると……。
「……あれ? 記憶はないのに、なぜか『中』と『發』が暗刻で、あと『白』が1枚……。これ、もしかして……?」
隣で手元を覗き込んだ琳琅が「おっ、いきなり凄いね!」と声を上げます。
一姫のデタラメな儀式によって生み出された透明な麻雀卓を囲み、一翻市の住人たちが固唾を呑んで見守ります。
一姫:「にゃははは! きたニャ、きたニャ! 究極の自摸運が我に宿ったニャ! これぞ一翻市の闇の力……『リーチにゃ!!』」
一姫が勢いよく千点棒を卓に叩きつけます。彼女の背後には、まるで巨大な肉まんのようなオーラが立ち昇り、勝利を確信したドヤ顔であなたを指差しました。
一姫:「さあ、震えるがいいニャ! 次のツモで一姫が役満を和了って、あんたの飴も、記憶も、全部一姫がいただいちゃうニャ!」
しかし、彼女は冷静でした。記憶こそ失われていても、指先に残る「牌の重み」と、脳裏に刻まれた「勝利の方程式」が、あなたの体を正確に動かします。あなたは一姫がドロップした牌——運命の『白』を、静かに引き寄せました。
「……えっ、あ、すみません。……それで、和了です。」
パタパタと手牌を広げると、そこには白・發・中が三枚ずつ揃い、凛然と輝く**「大三元」**の形が完成していました。
一姫:
「……にゃ? ……にゃにゃにゃ!? 大三元!? しかも一姫のリーチ宣言牌でロンしたニャ!? そんなの、通販の説明書には書いてなかったニャーーー!!」
琳琅(幼龍):
「すごーい! 若き雀士、きみ本当はすごい人だったんだね! ラムネだけじゃなくて麻雀も強いなんて、琳琅、もうきみのファンになっちゃいそう。一姫、残念だったね。さあ、約束のお店、私が教えてあげるよ!」
ワン次郎:
「……ほう、見事だワン。一姫の邪気(?)を物ともせず、最短で役満を仕上げるとは。お嬢さん、お主、ただの迷い子ではないワン。かつて一翻市を震撼させた伝説の雀士の再来かもしれんワン……」
かぐや姫:
「くすくす……。ちんちくりんが、見事に返り討ちに遭うたのう。あんなに威勢よくリーチなどと言わねば、これほどの恥をかかずに済んだものを。お主、なかなかやるではないか。妾も少しばかり、お主に興味が湧いてきたぞ」
召喚主である一姫を役満で返り討ちにするという、衝撃的なデビューを飾った少女。記憶はなくても、彼女の指先に宿る「雀力」は本物でした。大三元の輝きは、混沌とした一翻市において、彼女が単なる被害者ではなく、この街を変えうる存在であることを示唆しています。




