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一翻市雀魂異界録 〜記憶喪失の居候少女が、麻雀で神格化して春の女神と呼ばれるまで〜  作者: 莎倫
第三章:真白先生の特別授業と熱狂のデビュー配信
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祈りの余韻、伝説の「放課後」

延長戦の最後に飛び込んできたのは、ひときわ賑やかな「ゆず」の声。難問を見事に解き明かした真白ましろの授業は、最高潮の盛り上がりの中で幕を閉じようとしていました。しかし、配信の最後に彼女が無意識に捧げた「祈り」は、単なるエンディングを超え、視聴者たちの魂を震わせる「神託」となって響き渡ったのです。


配信画面の右端に、ひときわ目を引く可愛いアイコンと特徴的な口調のコメントが飛び込んできました。


ゆず: 「キュルルゥ……まにあったのだ! みんな勉強してるのだね、ゆずもまぜてほしいのだ!」


その独特の響きに、コメント欄が一瞬で「ゆずちゃんだ!」「可愛いのが来たぞ!」と沸き立ちます。あなたはふふっと少し笑みをこぼしながら、画面に向かって優しく語りかけました。


「いらっしゃい、ゆずさん。ギリギリ間に合いましたね。……今日は数学の勉強会をしているんですよ。ゆずさんも、もし何か分からないところがあれば教えてくださいね」


すると、ゆずは間髪入れず、リストの中から少し難易度の高い問題を投げてきました。


ゆず: 「真白ちゃん、これ! これを教えてほしいのだ! ゆず、この数式がどうしても消えなくて困ってるのだ……キュルルゥ……」


提示されたのは、延長戦にふさわしい、少しひねりの効いた対数関数の計算問題でした。


「あら、それは……ゆずさんが苦手そうなところですね。分かりました、それではみんなで一緒に解いてみましょう」


ホワイトボードのスペースを広げ、マーカーを手に取ります。


「皆さん、注目してください。この問題は、まず対数の底を揃えることが鍵になります。ゆずさん、いいですか? こうやって……」


一つひとつ丁寧に解説を進めると、ゆずからの反応も熱を帯びてきます。


ゆず: 「なるほどなのだ! 底を揃える……ゆず、ずっと別のことしてたのだ。真白ちゃん、天才なのだ!」


ゆず: 「おー! できた! 答えが合ってたのだ! 真白ちゃんすごいのだー!」


ゆずの無邪気な反応と、彼女の論理的な解説のコンビネーションに、視聴者たちも「ゆずちゃんの質問、的確すぎて草」「真白先生の解説が神がかってる」と大盛り上がりです。


真白は少し照れながらも、「皆さんの理解が深まるのが、何よりのやり甲斐です」と、生徒会役員らしい真摯な姿勢で、次々とリスナーの疑問を解消していきます。残り時間はあとわずかですが、この「放課後の生徒会室」の熱気は、最高潮に達しようとしています。


さあ、このままの勢いでラストスパートですね! 配信終了の挨拶に向けて、何か最後に視聴者へ伝えておきたいことはありますか?



「はいっ、というわけで延長の30分もあっという間だったね! みんな、最後まで付き合ってくれてありがとう! 真白ちゃん、今日はお疲れ様!」


佳奈が弾むような声で締めくくると、スタジオには達成感に満ちた空気が流れました。カメラのランプがまだかすかに点滅する中、あなたは椅子から立ち上がり、配信開始時よりも少しだけ柔らかくなった表情で、スタジオ全体を見回しました。


「佳奈さん、本当にありがとうございました。私のような未熟者が、このような素晴らしい機材と環境を用意していただいて……。皆さんとこうして『放課後』の時間を共有できたことは、私にとってかけがえのない、とても貴重な体験でした」


あなたは一言一言を噛み締めるように、まっすぐにカメラを見つめます。その瞳には、最初のような緊張ではなく、リスナー一人ひとりと心が通じ合ったという確かな実感が宿っていました。


「数式の答えを導くことよりも、皆さんが『分かった!』と笑ってくれる瞬間に立ち会えたことの方が、私にとっては大きな収穫です。……また皆さんと、ここでお会いできることを心から楽しみにしています」


真白は深く、そしてどこまでも優雅に一礼しました。しかし、配信を終わらせようと操作盤に手をかけたその瞬間、あなたの心の中に、魂天神社で過ごす日々の穏やかな静寂がふと蘇りました。


真白は無意識のうちに、カメラの前で両手を胸の前で合わせ、目を閉じました。


「それでは……本日、画面越しに出会えたすべての皆さまに、魂天様のご加護がありますように」


真白の口から漏れたのは、普段の「生徒会役員」の仮面を脱ぎ捨てた、神に仕える者としての、あまりにも深く純粋な祈りの言葉でした。スタジオの照明が、あなたの白い制服と清らかな横顔を神秘的な光で縁取ります。その姿は、まるで現実世界に舞い降りた一筋の清流のように、視聴者の心を打ちました。


配信がパチンと途切れ、黒い画面に切り替わった後も、コメント欄は驚愕と畏怖、そして感嘆の渦に飲み込まれ、スクロールが止まることはありませんでした。


「えっ……今、最後なんて言った……?」


「鳥肌が立った。これ、ただのJK配信じゃないだろ」


「やっぱり、あのぐーたら猫なんかじゃなくて、本物の巫女様だったんだ……!」


「最後の祈り、なんか涙が出てきた。真白ちゃん、何者なんだよ……」


「数学教えてもらっただけなのに、なんだか心が洗われた気がする」


「ご加護……! ありがとうございます! 明日のテスト、絶対頑張るよ!」


「神聖すぎてコメント打つのも躊躇われるわ。次回の配信までこの余韻に浸る」


「巫女服希望コメントが一周回って、もはや『拝みたい』に変わってて草。いや、本当に拝みたい」


「真白ちゃん……あなたこそが一翻市の宝だよ」


スタジオでは、佳奈が呆然とした表情であなたを見つめています。「マシロちゃん……今の、すごくよかったよ。視聴者のみんな、言葉を失ってるみたい」


真白は我に返り、頬を赤く染めました。


「あ……ごめんなさい、佳奈さん。つい、いつもの癖で……。恥ずかしいところを見せてしまいましたね」


真白は照れ隠しに髪を耳にかけましたが、その控えめな仕草すらも、先ほどまでの神聖な余韻を残し、スタジオの空気を甘く震わせました。今日の配信は、数学の解説という枠を越え、一翻市の視聴者全員の記憶に刻まれる伝説のデビュー戦となったのです。

数学の教師から、一翻市を照らす巫女へ。真白が図らずも披露した「二面性」は、多くの学生たちの不安を拭い、確かな希望を植え付けました。明日、学校やカフェ、そして神社で彼女を待つのは、これまでとは違う、敬愛と温もりに満ちた視線でしょう。

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