不思議の国の麻雀教室
カフェ『エテルニテ』に現れたのは、ピンクのふわふわした髪にウサギのぬいぐるみを抱えた少女・雛桃。「不思議の国の入り口」を探して迷い込んだ彼女を、制服姿の真白と車椅子の礼奈が温かく迎え入れます。麻雀牌を通じて交わされる、純粋な願いと奇跡。そこには、目には見えないけれど確かな「加護」が漂っていました。
迷い込んだ「不思議の国」の探求者:雛桃
「(カランコロン)いらっしゃいませ! ……あ、お客様。今日は私たちの『学校』へようこそ!」
制服姿で扉を開けると、そこにはピンク色のふわふわとした髪に、大きなウサギのぬいぐるみを抱えた小さな少女が立っていました。
雛桃:
「……わあ、制服のお姉さん! ここは、もしかして……不思議の国の入り口の『図書室』ですか……?」
彼女はキラキラとした瞳で、制服姿のあなたと、車椅子の礼奈さんを交互に見つめました。
「不思議の国、ですか? ……ふふっ、ここはカフェですけれど、今日だけは特別な『学校』なんですよ。私は転校生の真白です。どうぞ、好きな席に座ってくださいね」
雛桃:
「真白お姉さん……! 桃、不思議の国の入り口を探しているんです。お友達の陽菜ちゃんが、魂天神社の大会で勝てばウサギさんに会えるかもって教えてくれて……。でも、桃、まだ麻雀のことよくわからなくて……」
雛桃は、抱えているウサギのぬいぐるみをテーブルに置くと、一生懸命に麻雀の教本を取り出しました。
一姫:
「にゃあ! 魂天神社のことなら、この一姫様に聞くニャ!」と鼻息荒く割り込みます。
礼奈:
「魂天神社……。あ、マシロさんがいる場所ですね。……不思議なこともあるものですね。桃ちゃん、マシロさんはとっても麻雀が強いんですよ」
「いえ、そんな……。でも、桃ちゃんが不思議の国に行けるように、私が少しだけ『授業』をしてあげましょうか?」
そう言って、練習用の牌を取り出した時です。雛桃が適当に積んだ山から牌を引くと、それは恐ろしいほどの「天運」を感じさせる並びになっていました。
一姫:
「にゃにゃっ!? なんだこの配牌は!? 桃、あんた……もしかして一姫より引きが強いんじゃニャいか!?」
真白:
「(……すごい。邪気も計算も何もない、純粋な『願い』が牌を引き寄せている……。これが彼女の強運……。私の『神域の天秤』で、彼女のこの力をどう導いてあげられるでしょうか)」
あなたは制服の袖を少し捲り、麻雀卓を囲むように椅子(と車椅子)を整えました。一姫は「待ってましたニャ!」と言わんばかりに、鼻息荒く自分の席に飛び乗ります。
東家:一姫(やる気満々、肉まんへの執念を燃やす)
南家:礼奈(少し緊張しつつも、真白に促され牌を手に取る)
西家:雛桃(ウサギのぬいぐるみを膝に乗せ、不思議の国を夢見る)
北家:真白(制服姿で皆を見守りつつ、場の空気を整える)
「礼奈さん、大丈夫ですよ。桃ちゃんの真っ直ぐな打ち方を見ていると、なんだか元気が出てきます。勝ち負けじゃなく、みんなで楽しく打ちましょう」
礼奈さんは少し震える手で牌を並べ始めました。事故以来、何かに挑戦することに臆病になっていた彼女でしたが、真白の制服姿と、雛桃の純粋な瞳に背中を押されたようです。
対局が始まると、店内の温度がふわりと上がったような、不思議な感覚が彼女を襲いました。
「……桃ちゃん、ウサギさんは実在するかもしれませんよ。さっきから、お店の隅で誰かが桃ちゃんの麻雀をじっと見守っている気がするんです」
あなたの【神域の天秤】が、雛桃の強運に共鳴して「何か」を捉えました。それは、目には見えないけれど温かい、綿菓子のような不思議な影。
雛桃:
「えっ……? ウサギさん、そこにいるの……? 桃、頑張るから、見ててね!」
一姫:
「にゃにゃっ!? 真白、変なこと言わないでほしいニャ。背中がゾクゾクするニャ……。って、桃! その牌をツモるのかニャ!? それは一姫がずっと待ってた……!」
雛桃はルールもおぼつかない手つきで、けれど「これにする!」と迷いなく牌を置きます。その一打一打が、プロでも予測できないような奇跡的なルートを辿っていました。
「(……不思議な影に向かって心の中で語りかける)……魂天様の眷属様でしょうか。それとも桃ちゃんの守護霊様? どうか、この穏やかな時間がもう少しだけ続くよう、見守っていてください」
心の中で静かに祈ると、店内の隅に漂っていた綿菓子のような影が、一瞬だけぴょこんと長い耳を立てたように見えました。それは一瞬の幻だったかもしれませんが、彼女の【神域の天秤】は、その存在が雛桃を慈しみ、守っていることを確かに感じ取っていました。
「(……桃ちゃんの強運は、誰かを傷つけるためのものではない。そして礼奈さんの慎重さは、自分を守るための鎧。……今の私の役割は、この二つの力を天秤に乗せ、平和な結末へと導くこと)」
一姫:
「にゃあ! 桃、その牌は危険ニャ! 一姫の直感がそう言ってる……けど、桃はニコニコしてて全然通じないニャ!」
礼奈:
「……私、麻雀って怖いものだと思っていました。でも、桃ちゃんやマシロさんと打っていると、牌が……まるで生きているみたいに温かく感じます」
礼奈の頬には、いつの間にか微かな朱が差していました。事故以来、何かに夢中になることを忘れていた彼女が、今、あなたの隣で「次は何を引くんだろう」と瞳を輝かせています。
かつて心を閉ざしていた礼奈が、雛桃の無垢なエネルギーと真白の穏やかな導きによって、再び外の世界へと心を開き始めました。麻雀卓を囲む四人の姿は、勝負の世界というよりも、互いの心を通わせる儀式のよう。雛桃を優しく見守る「影」と共に、『エテルニテ』には奇跡のような温かい時間が流れていきます。




