記憶喪失の少女と「喋る犬」への正論
極限状態の困惑の中、少女が放ったのは「警察を呼んでください」というあまりにも真っ当な正論でした。服を着て喋る犬、怪しげな猫耳少女、そして月の姫。一翻市の常識を真っ向から否定するその一言に、住人たちはパニックに陥ります。しかし、この街の解決策は常に一つ。一姫が強引に召喚したのは、すべてを麻雀で解決するための透明な卓でした。
震える声で、しかし極めて冷静(?)な正論を放ちました。
「警察を……警察を呼んでください。特に……あの、服を着て喋っている犬を。それが一番の解決策な気がします……」
その瞬間、現場に凍り付くような沈黙が流れた後、一気に騒がしくなりました。
ワン次郎:
「な、何ゆえ拙者が通報されねばならんのだワン!? 拙者はこれでも一翻市では名の知れた人格者(犬格者)だワン! 服を着ているのはエチケットだワン!」
一姫:
「にゃははは! ワン次郎、ついに不審者扱いされたニャ! ……って、笑ってる場合じゃないニャ! 警察を呼ばれたら、一姫が怪しい闇のルートで呪いグッズを買ったのがバレて、神社の権威がガタ落ちニャ! 営業停止処分は困るニャー!」
かぐや姫:
「警察……ほう、この地を治める役人のことか。よいぞ、呼んでみるがよい。妾がこの不敬なちんちくりんを指さして、『犯人はこいつじゃ』と証言してやろう。ついでにワン次郎も、珍しい獣として役所に差し出してやろうかの」
二階堂美樹:
「……ちょっと待って、あなた。その反応はあまりにも正論すぎて、逆にこの街(一翻市)には馴染めないわよ! ここで警察を呼んでも、やってくるのはたぶん『麻雀で勝負に勝たないと事情聴取もしてくれない署長』とか、そんなのばっかりなんだから!」
(頭を抱えながら、必死にあなたをなだめる)
彼女の「通報」という言葉に焦った一姫が、パニックになって「証拠隠滅の術」を唱え始めました。
一姫:「こうなったら、あんたの記憶が戻るまで帰さないニャ! 警察が来る前に、麻雀の楽しさを叩き込んで、通報なんて忘れさせてやるニャ! それ、リーチにゃーー!!」
一姫が勢いよく(何も持っていないはずの)空中に向かって牌を叩きつけるようなジェスチャーをすると、なぜかあなたの目の前に、透明な麻雀卓が「シュンッ!」と出現しました。
ワン次郎:「おい、強引すぎるワン! でも……確かに、麻雀を打てばこの娘さんの『魂の揺らぎ』も安定するかもしれんワン……」
通報という最終手段すら「リーチ」の一言で無効化される街、一翻市。少女の放った正論は、奇しくも彼女を「卓上」へと引きずり出す引き金となってしまいました。目の前に現れた透明な麻雀卓。牌を握らざるを得ない状況で、彼女の内に眠る本能が、ついに常識の殻を破り始めます。




