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評価を失った悪役令嬢は、すべてを見返すことにした ~誰かに決められる人生なんて、もう終わりです~  作者: ルナ・ローゼ


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第18話 評価されるということ

 ――評価不能から、評価対象へ移行。


 その一言が、空気を塗り替えた。


 静かだった中庭が、一瞬で“場”になる。


 誰もが、わたくしを見る。


 いや。


 “見せられている”。


「……ルナ様」


 ミレイアの声が、わずかに震える。


 先ほどまでとは違う震え。


 今度は。


 ――恐れ。


 わたくしは、ゆっくりと息を吐いた。


「そう」


 小さく呟く。


「ついに、来ましたのね」


 カイゼルが、横で低く言う。


「……笑ってる場合じゃないぞ」


「ええ」


 頷く。


「分かっていますわ」


 だが。


 止まる理由にはならない。


 上からの“視線”が、さらに強くなる。


 見えない。


 だが、確実に。


 測られている。


「対象、観測開始」


 声が、再び響く。


 冷たい。


 だが、今までとは違う。


 これは、“処理”ではない。


 ――評価。


「……なるほど」


 わたくしは、目を細める。


「これが、“見られる”ということ」


 言葉にする。


 確定させる。


 その瞬間。


 胸の奥に、違和感が走る。


 ほんのわずか。


 だが。


 確かに。


「……何か」


 小さく、息を呑む。


 カイゼルが、すぐに反応する。


「どうした」


「いいえ……」


 首を振る。


 だが。


 これは、無視できない。


 内側が。


 ――“揃えられている”。


「……そういうこと」


 理解する。


 評価とは。


 外から与えられるものではない。


 “内側を揃える”もの。


「……ルナ様?」


 ミレイアが、不安そうに見る。


 当然だ。


 今、わたくしは。


 初めて“同じ側”に立たされたのだから。


「大丈夫よ」


 短く言う。


 だが。


 本当に大丈夫かどうかは。


 まだ分からない。


「観測結果、収束開始」


 声が、続く。


 その瞬間。


 感覚が、強くなる。


 押される。


 削られる。


 ――均される。


「……っ」


 わたくしは、一歩踏み出す。


 耐える。


 だが。


 これは、これまでとは違う。


 外からではない。


 内側から。


 整えられる。


「ルナ!」


 カイゼルの声。


 初めて、焦りが混じる。


「それは――」


「ええ」


 わたくしは、答える。


「分かっていますわ」


 これは。


 “選択を奪う力”。


 そして。


 今まで、わたくしはそれを“外から”見ていた。


 だが。


 今は違う。


 ――内側から、来る。


「……面白い」


 思わず、そう呟く。


 カイゼルが、舌打ちする。


「正気か」


「ええ」


 笑う。


「これが本質ですもの」


 評価とは。


 人を、同じ形にする。


 選択を。


 削る。


 だから。


「ならば」


 わたくしは、ゆっくりと目を閉じる。


 意識を、内側へ向ける。


 流れを読む。


 揃えようとする力。


 それに。


 逆らう。


「――選びます」


 その瞬間。


 何かが、止まった。


 完全ではない。


 だが。


 確かに。


 流れが、ずれる。


「……抵抗を確認」


 声が、わずかに変わる。


 初めて。


 “反応”がある。


「対象、安定しない」


 わたくしは、ゆっくりと目を開ける。


 世界が、少しだけ歪んで見える。


 だが。


 立っている。


「……成功ですわね」


 小さく、笑う。


 完全ではない。


 だが。


 耐えた。


 それで十分。


「……おい」


 カイゼルが、低く言う。


「それ、続けるつもりか」


「当然でしょう?」


 振り返る。


「ここで止まったら、意味がありませんもの」


 その瞬間。


 空気が、さらに重くなる。


「観測レベル、上昇」


 声が、変わる。


 より、深く。


 より、強く。


「……来るぞ」


 カイゼルが、はっきりと言う。


 今度は、警告ではない。


 断言。


 そして。


「ルナ様……」


 ミレイアが、袖を掴む。


 不安。


 恐怖。


 だが。


 逃げていない。


 いい。


 それでいい。


「大丈夫」


 もう一度、言う。


 今度は。


 自分にも。


「まだ、選べる」


 その言葉に。


 ミレイアが、ほんの少しだけ頷く。


 その瞬間。


 空気が、裂けた。


 見えない何かが。


 降りてくる。


 今までとは違う。


 圧でも、削りでもない。


 ――“定義”。


「……ああ」


 カイゼルが、低く呟く。


「そこまで行くか」


 わたくしは、静かにそれを見上げる。


 見えない。


 だが。


 確実に、そこにある。


「対象に、基準を適用」


 その一言で。


 世界が、固まる。


 わたくしは、息を止めた。


 ――ここから先は。


 ただの抵抗では、足りない。


 そして。


 わずかに、笑う。


「いいでしょう」


 静かに。


 確実に。


「ならば」


 一歩、前へ。


「基準ごと、選び直しますわ」

ついにルナ自身が「評価される側」に入りました。


今までは外から見ていた構造が、今度は内側から迫ってくる。

ここが、この章のもう一つの転換点です。


もし続きを読みたいと思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

次話では、“基準”そのものにどう向き合うかを描いていきます。

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