強者
注)11/22 後半の文章訂正
5/30まで、平日(土日祝は休み)に投稿していきます。
なお、4/18までは、1日3回投稿します。
村の方角から閃光が走り、黒煙が立ち昇った。一本、二本、三本。村の東側に集中している。
「まさか天幻かっ!?」
『いいえ、カロリックの凝縮を確認―――聖霊魔法です。村が何者かに襲撃されています』
アイダが目を凝らすと、村と丘を繋ぐ街道に、小さな人影が見えた。
少女だ。泥まみれで、転がるように逃げてくる。その背後を―――三匹のゴブリンが追っていた。
「‥‥‥っ!」
思わず、刀の鞘に手が掛かる。
『マスター。申し上げにくいのですが、撤退を推奨します。先ほどは単体でした。ですが今度は複数。連携されれば、今のマスターでは勝ち目が薄いと判断します』
「だろうな」
頭では分かっている。せっかく手に入れた二度目の生だ。しかも健康な体。生き返った初日に、見ず知らずの他人のために散らすべきじゃない。ルルナの判断は正しい。正しいが―――。
目の前で、か細い命が狩られようとしている。
(それを見捨てて生き延びて‥‥‥千年前と、何が違う?)
病気を言い訳に、夢から逃げた。挑む前に諦めていた。そうやって無為に日々を潰し、何も為せないままに焼け死んだ男。その続きを、この新しい体でもう一度やるのか?
―――違うだろ。
死の間際、ドラゴンを前にして願ったのは「生きたい」ではなかった。誇らしく、ありたい。それだけだった。
「‥‥‥やってやる」
覚悟は決まった。相打ち上等。あの子だけでも逃がす。アイダが地を蹴ろうした、まさにその一瞬。
『―――ッ! 警告! 高エネルギー反応、真後ろ!!』
ご一読いただきまして、ありがとうございます。




