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雲界の狩り手  作者: 大石次郎


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竜教の洞窟 2

物見の玉(ものみのたま)には地図を表示し現在地と、同期したマメの現在地を示す機能がある。

地図にはマメが注意書きや愚痴や雑談を念話(テレパシー)で記載していて、悪筆気味ながら注意書きに関しては非常にわかり易かった。

途中で遭遇し避け難い竜教徒は私は槍の柄や石突きで、ノノイは斧は加減できないらしく拳か蹴りで昏倒させてゆく。

マメの使い魔の蛙も時々、舌で強烈に殴り付ける等して昏倒させたりもしていた。

竜教徒は竜の血肉を取り込んでいるので普通の人間や亜人よりも頑強ではあるが、普段、竜その物を狩ってる我々からすると柔らかい相手だ。

今はノノイの頭の上にいる蛙も魔力を念入りを込めるとそこそこパワーを出せていた。


「・・癖強めだが、カンニングしながらテスト受けてる感じだな」


「油断したり、イライラしたり、疲れてくると『らんら~』とか『ガルルっ』とか『あばばっ』とか謎書き込みが増えるから惑わされないようになっ!」


「了解」


「ゲコ?」


地図上では洞窟1階の中心近くに来ていた。祭殿もあるようだが、どうやらそこは特に重要ではないようだ。

しかし最下層中心部付近への直通エレベーターが設置されている。そこに何かあるらしくマメが探ってる。

まだ連中は我々の侵入に気付いていないので、エレベーターが使える内にショートカットして早々にマメに合流しよう、という計画だった。



エレベーターの見張りの竜教徒を昏倒させ、乗り込む。そのまま最下層に降りてゆく。速度はわりと遅いな・・


『地の力が強い。たぶん強力な封印がある。竜用じゃない。これは・・巨人族? あっ、ヤバっ!』


物見の玉に一瞬、大柄な竜教徒が映像に映り込んだ所で映像が消えた。


「マメっ?!」


「マズいなっ」


映像は消えても地図上ではマメは移動し、文字の表記は続く。


『あばばっ! メチャ強いヤツにバレたっ。( ノД`)…分身3つ殺されたっ! コイツっっっ、ガルルぅっ!( `д´)( `д´)( `д´)』


と、エレベーターが止められたっ!


「判断の速い相手だ。最下層まであと5層っ! ノノイっ、行くぞ!」


「どんと来いっ!」


「ゲコぉっ」


私とノノイはそれぞれの武器でエレベーターの籠の床を打ち貫き、シャフトの壁面を蹴って真下に加速する!


「風よっ!」


シャフト最下部付近で私が槍から旋風を発生させ着地を緩和し、後から落ちてくる落下物も巻き上げるっ。


「ゲコゲコぉっ!」


「いるねっ」


「だろうな!」


最下層の扉の外に気配多数っ! 私とノノイは背や腰の後ろにベルトの留め具で形態していた竜鱗盾(りゅうりんだて)を取り出す。


ドカァアアンッッッ!!!!


盾で障壁を張りながら扉を突き破って最下層に踊り出ると、待ち構えていた竜教徒達が一斉にガトリング砲やグレネードランチャーをブッ放してきた。


「オオォーーッ!!!」


「ゲコぉああーっ!!!」


「オッラァーっ!!!」


盾の障壁を構えたまま私は維持していた風に乗って飛び上がり、ノノイは向かって左の壁を走って突進する。

私は着地と同時に風で武器を巻き取って奪いつつ壁や天井や床に叩き付けて昏倒させ、ノノイは盾の障壁でそのままブチかまして昏倒させ、蛙は華麗な飛び蹴りで1人昏倒させた。

ノノイの吹き飛ばしは武器を奪っていなかったので少なからず暴発で殺してしまっていたが、状況的に致し方ない。


「マメはすぐ近くだっ、行こうっ!」


「あいよっ」


「ゲッコ、ゲッコぉ~」


マメの反応は、東側に向かっている。

その方向には地下水路があり場合によって自力脱出も考えているようだが、エレベーターの位置から直通のルートもあった。2段構えだ。

ふわふわした所もあるがマメは手練れの魔術師でもあった。

私達は迎撃のフル武装の竜教徒達を退けつつ、隔壁も幾つか破ってあと少しで合流という所まで来ると、右壁面に描かれていた大きな魔方陣から体長4メートル程の首輪をした竜が2体現れたっ!


「ゴォオオゥッッッ!!!!」


「ヂャアァァッッッ!!!!」


「ゲコぉおおーーっっ??!!!」


「8位級竜っ!」


「使うから、飼育してんだろなぁっ!!」


私とノノイは目配せをし私は魔方陣の破壊、ノノイは竜の足止めに回ったっ。

グレネードガン2連射で炸裂弾を顔面に撃ち込んで牽制し、暴れる竜2体を掻い潜って壁の魔方陣に向かう! 続けて竜や竜教徒等の増援を召喚されちゃキリがないっ。


「爆ぜよっ!!」


爆破の力を穂先に宿し、軽く障壁の張られていた魔方陣の壁を強引に粉砕した!


「ブッ千切れろっっっ!!!!」


「ゲコぉおおっ?!!」


頭の上の蛙に悲鳴を上げさせながら、ノノイは凄まじい勢いで旋回して魔力を宿した狩り手の斧(ブーストアクス)で硬い鱗を持っていた8位級竜2体をバラバラに解体したっ!

ノノイは属性付与(ぞくせいふよ)は苦手だが、パワーと思い切りがある。


「おっしゃっ」


「ゲコぉ~・・」


「時間を取ったっ、行こう!」


途中合流は諦め、我々は東の地下水路を目指した。



人工物の少ない東の地下水路近くの広大な空間は意外な景色だった。灯り蕗(あかりふき)が群生している。

その名の通り光る蕗だ。育つ環境は限定的だが、滋養があり、条件が整っていれば生産効率もいい。


「ここの施設の規模からすると食用だろな」


「ちょっと参ったね」


「ゲコぉ」


灯り蕗は背が高い。人が隠れるのに十分だ。物見の玉によればここにマメが既に来ているのは間違いないが、表示が近過ぎて位置がわからなかった。

潜入が得意なマメは気配を消すのも上手く、まして今は逃走中。


「マメは来たことはわかってるんだよな?」


「アイツ、使い魔の位置は正確にわかるはずだ。逆もいけた気がする。蛙よぉ、御主人の詳しい位置、わかるか?」


「んゲコルゲコゲコうんゲコぉのゲコゲココのゲコっコっ!」


「うわっ、めっちゃ喋るけど1つもわかんねぇっ?!」


「ゲコぉ・・」


我々は地下水路脇の灯り蕗の原を見渡せる岩場陰にいたのだが、


バリィイイイィッッッ!!!!!


突如、離れた位置の灯り蕗が激しい電撃で円形に消し飛び、帯電する円い焼け野原に両腕を竜化させ、覆面も取れた大柄な男が姿を見せた。


「っ!」


男は焦がされたピンクの髪の魔法使いの装束の娘を片手で絞めて持ち上げ、嗤い、更に放電して消し炭にして崩壊させたっ!


「マメっ?!」


「遅かったかっ」


「ゲコぉおおおーーーーっっっ!!!!」


泣く蛙。が、


「分身13号ぉおおーーーっ!!!!」


「嫌ぁああっ!!!」


「思い出をありがとうっ!!」


ピンク髪のマメと同じ姿をしたピンク髪のマメが3人、岩場の陰にヌッと現れて哀しみだした。


「マメ・・」


「ゲコ・・」


「分身か・・」


引いていると、灯り蕗や岩場の後ろからさらにワラワラと5人もマメが現れた。


「いやアイツ、マジ強いっ。残り8人だけになっちゃったわ! というか来るの遅くないっ? なんなの?」


「ホントよねぇ~」


「ノノイもキリヒコもそういうトコあるよねぇ」


「ねぇ~っ!」


マメ同士が結託して文句を言い出した。


「・・ま、とにかく。状況を仕切り直そう」


「つーか、ボケっとしてたからこっちも気付かれたしっ」


「ゲコぉっ?」


「えぇっ? まだアイツと戦うのぉ? 私、もう飽きたんだけど?」


竜の腕を持つ男は電撃を纏いながらこちらに突進して来るっ!


「糞ピンクっ! やはり仲間もいたかっ。今度こそ殺すっっっ!!!!」


吠える男っ。顔を含め、だいぶ竜に近付いている。


「口悪いな」


「ヒヒッ、糞ピンクって言われてんじゃん!」


「ゲコゲコゲコっ!!」


ノノイと蛙に笑われるマメ達。


「・・前言撤回っ!! ヤツは宿命の敵だっ! 全っ、私を懸けてっ! ブッ飛ばすっ!! やるぞっ、私どもっ!」


「うぉーっっ!!!」


マメ達はやる気になったようだ。

・・まぁ別にあの電撃男を倒しにこんな所に潜り込んだワケでもないが、行き掛かり上だ、やるしかないか。

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