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前世でハマった育成系エロゲのモブキャラに転生した ~主人公ハーレムを眺めたいので、自分を育てつつ主人公をサポートします~  作者: 秋之瀬まこと


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第9話 GWの約束とID

 四月も最終週に入り、GWが近づいてきた。

 GWが終わったら、いよいよ高校最初の中間考査が迫ってくる。


(学力のステータスの検証もできそうだし……前世含めてテストが楽しみになる日が来るなんて思いもしなかったよなぁ……)


 予習復習を欠かさず、中学範囲の復習テキストや高一用の参考書で自主学習を進めていた陽介には、かなりの心の余裕があった。


(中間が終わったら、叔父さんのところでバイトを始めさせてもらおう)


 元々、学園生活に慣れたら叔父の喫茶店でバイトをする約束だった。

 正直もう慣れている感じはあるが中間考査が終わるまでは念の為、様子見をすることにしたのだ。


(バイト代で欲しいものも結構あるしなぁ……小説とか漫画も欲しいし、筋トレグッズも欲しいし、ジョギング用のウェアとシューズも新調したいんだよなぁ)


 陽介が皮算用していると、隣の席の男子――四季信司が声を掛けてきた。


「ねぇ、星崎くん。ちょっといい?」

「ん? おお、いいぞ。どうした?」


 身体ごと信司の方を向く。


「もし暇だったらさ、ゴールデンウイークにどこか遊びにいかない? ゲーセンとか」

「いいぞ~。この辺でゲーセンだとアミューズメントセンターがあったよな?」


 陽介は行ったことはないが、前世のゲーム知識から主人公がヒロインをデートに誘えるスポットの一つに、アミューズメントセンターがあったことは知っている。


「うん、僕もそこがいいかな、って思ってるよ」

「じゃあ決まりだな。詳しい日時はメッセージアプリで詰めよう」

「わかった~、今日の夜にでも連絡いれるね」

「うぃ~」

(そういえば転生してから遊びに行くのって初めてだな。うん、遊びに行く相手がいなかったのか……。あっ、遊ぶ相手といえば……)


 話が途切れた時に陽介はフッと気になり、声のトーンを落として信司に訊ねると、


「ゴールデンウイーク、幼馴染たちとは遊ばないのか?」

「…………まあ遊びに行く約束はしているよ」


 照れくさそうにしながら教えてくれた。


「そかそか。野暮なこと聞いてすまんな」

「いや、別に大丈夫だけど……」


 ポリポリと頬を掻く信司。

 そんな彼の様子を見て、陽介は内心で満足げに頷く。


(よしよし、ちゃんと仲が進展してるみたいだな。それに四季は二人のことをしっかりと意識している感じだし順調だな)


 あとは授業や日々の生活でステータスが上がっていけば、ハッピーエンドが見られるだろう。

 ゲーム知識を思い出しながら、上機嫌になる陽介だった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「星崎さん。以前に書店で譲っていただいたラノベなのですが、私はもう読み終わりましたので、よろしければお貸ししましょうか?」

「お、いいの? それなら是非お願いするよ」


 昼休みの図書室で咲月とまたばったりと会った。

 そのまま二人で小説の話をしていると、そんな提案をされた。


 元々タイトルを見て興味をそそられた作品だったので、彼女の厚意をありがたく受け入れる。


「それで、面白かった?」

「ええ、私は好きですね。是非、続巻も出て欲しいと思っていますっ」


 アメジスト色の瞳をキラキラさせる咲月。

 相当、気に入っているようだ。


「ほぉ~大絶賛だな。読むのが楽しみだわ」

「ふふっ、読み終わったらまた星崎さんの感想も聞かせてくださいね」

「了解~」

「それで、ですね……」

「? どうした?」


 シミ一つない白い頬をほんのりと色づかせてモジモジする咲月。

 陽介はジッと言葉の続きを待つ。


 咲月は何度か小さく深呼吸を繰り返してから、陽介を上目遣いに見る。

 そして、桃色の薄い唇が動いた。


「ゴールデンウイークに一緒に図書館に行きませんか?」

「お、おぅ。いいけど……」

「ほっ…………では、その時にラノベも持っていきますね」

「……わかった」

(これはデートじゃないっ。勘違いしちゃダメだぞ、俺っ……!! 深呼吸しろっ!)


 突休日に一緒に出掛けようという突然のお誘いに、陽介は動揺して一瞬息を飲む。


「それじゃあ……いつにしようか?」


 冷静を装って、日程を決めようとした。

 すると――


「あの……日程を決めるためにも、よろしければメッセージアプリのIDを交換してもらえませんか……?」

「ふぇ!? あ、うん。俺はいいけど……?」


 咲月からの予想外の提案に、声が裏返ってしまった。


 以前、クラスの男子たちと駄弁っていた時に『家の方針で女子としかIDを交換していない』と聞いていた。

 なので、本当にいいのだろうか? と思いつつ、咲月本人からの申し出だったので、陽介はスマホを取り出してIDを交換した。


「登録できましたね。それでは……日程はメッセージアプリで決めましょう」


 ふんわりと柔らかい笑みを浮かべる咲月から、


「……了解っす」


 陽介は視線を逸らす。


(美少女の不意打ちの笑顔はズルいんだよなぁ……)


 自身の顔が熱くなるのを感じる陽介だった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 咲月とIDを交換した日の夜。

 夕食の片付けも終わり、陽介は風呂の時間まで小説を読もうとしていた。

 そのタイミングでスマホがメッセージを受信する。


(誰だろ……?)


 陽介にメッセージを送ってくるのは親か信司くらいなものだ。

 どれどれ、とスマホを見てみると――


(あっ、常陸院さんからだ)


 女子からの、それも咲月という絶世の美少女からの連絡に緊張してしまう陽介。

 指を微妙に震わせながらロックを解除してメッセージを読む。


常陸院咲月:『こんばんは、夜分遅くに失礼します。』


 咲月からのメッセージは書き出しから丁寧だった。

 それが逆に陽介の緊張をほどく。


(なんか丁寧なメッセージなのに和むのって、ある意味凄いよなぁ……)


 何度かメッセージのやり取りをして、図書館に行く日程を決めた。

 その後は特に雑談もぜずに、互いに『おやすみなさい』と送りあって、初めてのメッセージでのやり取りは終了したのだった。


(う~ん……せっかくだし今晩は常陸院さんに勧められて図書室で借りたやつを読もうかな)


 さっきまで読もうと思っていた小説を棚に仕舞う。

 スクールバッグから今日、図書室で借りてきた小説を取り出したのだった。

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