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前世でハマった育成系エロゲのモブキャラに転生した ~主人公ハーレムを眺めたいので、自分を育てつつ主人公をサポートします~  作者: 秋之瀬まこと
第二章

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第40話 夏祭り・下

「くぅ~っ……! やっぱ夏は瓶ラムネだよなっ!」


 シュワシュワとした炭酸が喉を刺激して、陽介は思わず声を出した。

 その隣でゆっくりとラムネ瓶を傾ける咲月。


「開ける時に泡があふれてきた時はびっくりしましたが、爽やかな風味で美味しいですっ♪ それに凄く冷えていますし、ガラス瓶の中にビー玉が入っているのも見た目がオシャレでいいですねっ♪」


 上機嫌な咲月を眺めつつ、陽介もまた一口ラムネを飲む。


(常陸院さんは浴衣だし、俺が開けようと思ってたけど……店の人がやってくれてよかったよな。失敗すると手だけじゃなくて、服までベトベトになるもんな)


 そんなことを考えながら、陽介はビンの中のビー玉を見る。


「このビー玉、男子は取り出そうと頑張るんだよな~」

「では星崎さんも?」

「う~ん、小学生の頃は取り出そうとしてたかもな。今、思えばビー玉取り出したとこで、どう遊べばいいかわからなかったんだよな……」

「くすくすっ♪ 確かに、ビー玉遊びってどうするんでしょうね? 今度、機会があったら祖父母に訊いてみます」

「ああ、わかったら教えてくれよ」


 そんなことを話しながら、二人はラムネを楽しんだのだった。




「あっ。星崎さん、チョコバナナがありますよっ」


 咲月が陽介の右腕を控えめに引いた。

 その仕草で、彼女が食べたがっていることを察する。


「ん、それじゃあ買うか」


 なので早速、屋台に並んでチョコバナナを二本買った。


「ありがとうございますっ♪」


 咲月に一本渡して、陽介はすぐに一口食べてみる。


「うん、普通に美味いな……」


 まさにチョコのかかったバナナだ。

 思わず呟いた陽介に、咲月がふんわりと上品に微笑む。


「ふふっ、そうですね、ですが、素朴でいいと思いますよ」

「……なるほど。そういう見方もあるな」


 ポジティブな言葉を選んだ方が気分もいいか、と陽介は素直に頷いた。


(最近、凝った味付けばっかに目がいってたっぽいなぁ……)


 隣で楽しそうにチョコバナナを食べる咲月をチラッと横目で見る。


(もっとシンプルに考えるのも時と場合によっては必要なのかもな)


 そんなことを思いながら、チョコバナナを完食したのだった。


「結構、色んなの食べたけど常陸院さんは大丈夫か?」

「はいっ、大丈夫です。ですが、流石にそろそろお腹がいっぱいになりそうです」

「なら食べ物系は次で最後にしよっか」

「わかりました。ですが、星崎さんは気にせずに食べてくださいね?」

「ん~食べたいものがあったら、そん時は言うわ」

「はいっ♪」


 その後、陽介はイカ焼きと焼き鳥を買い、咲月はベビーカステラを買った。


「ん~っ♪ しっとりフワフワですっ……。それに優しい甘さが美味しいですっ」


 目尻を下げてベビーカステラを食べる咲月。

 その横で、陽介はイカ焼きを頬張った。


(なんか今日は俺も常陸院さんも『美味い』『美味しい』ばっか言ってる気がしてきたなぁ……。これが祭りマジックか? まぁ、美味いって思ってるのはホントだから別にいいんだけどさ)


 プリプリと歯ごたえのいいイカを食べていると、隣から視線を感じる。


「……常陸院さん、どうしたのさ?」

「あ、いえ、ジッと見てしまって申し訳ありません。ただ香ばしい匂いだなぁ、と思いまして……」

(う~ん、イカ焼きに興味があるんだろうな。一口二口あげるくらい、全然いいんだけど、ただなぁ……)


 自分がもう既に口をつけてしまっているものを、咲月に勧めるのは気が引けた。

 どうしたものかと逡巡して――


(まぁ、勧めてみて常陸院さんの反応を見てから決めればいいか)


 ダメそうな反応だった時とか断られた時は、その時だ。


「一口食べてみるか?」

「え? よろしいのですか?」

「おう、一口二口くらい全然いいぞ」

「……それでしたら、一口だけ」

「うぃ。じゃあ――」


 陽介が咲月にイカ焼きを渡そうとした。その時。


「あむっ……!」


 咲月が横から首を伸ばし、イカ焼きを一口頬張った。


「んっ……柔らかいですけど、弾力もしっかりありますねっ。それに甘辛いタレとよく合いますっ♪」

「お、おう……。口に合ったならよかったよ」


 陽介は手元のイカに視線を落とす。


(ここ、常陸院さんが口をつけたとこだよなぁ……)


 間接キス、という単語が頭をよぎった。

 だが、このままイカ焼きを見つめているわけにもいかない。


(ええいっ! 気にするからダメなんだっ)


 半ば勢いで咲月が食べたところを齧る陽介。

 口の中に甘辛い味が広がったのだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「やっぱ祭りって、どうしても食べ物がメインになるよなぁ」

「ふふっ、今日がまさにそうでしたね」


 いい時間になってきたので、陽介は咲月を連れて祭り会場の出口を目指していた。


「せっかくなら何か思い出に残るものでも売ってればよかったんだけどな」

「それでしたら、一緒にお写真を撮ったじゃないですか」

「まぁな~。うん、じゃあ今回は写真でいいか」

「はいっ♪ それに星崎さんと一緒に色々な屋台を回れて楽しかったですよっ♪」

「ん、それならよかった」


 話しながら歩いていると、祭り会場を抜け、周りの人の密度が下がった。


 だが、咲月は陽介の右手を掴んだままだ。


(まぁ……祭りの余韻ってやつなのかもな)


 ゆったりとした歩調で、待ち合わせ場所でもあったコンビニへ歩を進める。


「なんだか、賑やかな場所から離れると寂しく感じますね」

「それはわかるな。名残惜しさを感じるっていうか」


 少しだけ咲月が腕を掴む力を強くした。


(せっかく楽しく祭りを回れたんだし、最後にしんみりするのも違うよな)


 いつも通りの声色を心がけて、陽介は咲月に話し掛ける。


「まぁ、夏休みもまだまだ続くしさ。一緒に色々と楽しんでいこうぜ」

「…………はいっ、そうですねっ。花火大会もありますし、一緒に夏休みの課題をする約束もしていますものね」

「ああ。それ以外で遊びに行くのだって、俺は全然オッケーだからさ」

「ふふっ♪ 楽しみが増えてしまいますね♪」

「楽しいことはいくらあってもいいからな~」

「それはそうですねっ♪」


 咲月が陽介の腕を掴む力は変わらない。

 だが、彼女が浮かべる表情も声のトーンも楽しげなものになっていた。


「……できれば、また来年も二人で夏祭りを回れたらいいですね」

「……おう、そうだな。その時はまた食べ歩きになりそうだ」

「くすっ♪ 楽しみですっ♪」

「くくくっ、流石に気が早いんじゃね?」

「そうかもしれませんねっ♪」


 優美な笑みを浮かべ、陽介を見つめる咲月。


(やっぱ常陸院さんは朗らかな笑顔が似合うよな)


 そんなことを思いながら、陽介は咲月に合わせて隣を歩く。


(……また来年も、か。そん時も、こうして常陸院さんと一緒に歩いていたいもんだなぁ)


 少し遠くにコンビニの白い明かりが見えてきたのだった。

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― 新着の感想 ―
多分まだ原作エロゲの冒頭も冒頭だよね?あと2年半以上あるけど大丈夫? 四季君そっちのけでいきなりエンディング始まりそうよ?
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