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前世でハマった育成系エロゲのモブキャラに転生した ~主人公ハーレムを眺めたいので、自分を育てつつ主人公をサポートします~  作者: 秋之瀬まこと
第一章

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第27話 期末テストはあっという間に、そして夏休みの約束

(うん、いい感じだ。手応えで言えば中間よりも上かもしんないな)


 しっかりと勉強していた陽介は淡々と期末考査を受けた。


 中間考査よりも科目数が増えて、十三科目1300点満点の試験は計画的に勉強しないと点数を取るのがなかなか難しいだろう。


 そんな期末考査だったが、隣の席の信司も中間考査に比べて、試験後の休み時間も落ち着いているように見える。


 特に波乱もなく、火曜日から金曜日までの四日間を掛けて、期末考査は終了した。




 期末考査、最後の科目が終わって試験官の教員が教室から出ていく。

 教室内の空気は弛緩し、クラスはザワザワと賑やかになる。


「ふぅっ……四季、手応えはどうだった?」


 陽介も隣の席の信司に話し掛けた。


「うんっ、中間の時とは全然、手応えが違うよっ! そこそこの点数はちゃんと取れてそうな気がするんだ。これも星崎くんが勉強を見てくれたおかげだよ~! 本当にありがとう!」


 キラキラと瞳を輝かせる信司。

 庇護欲をそそる子犬属性は相変わらず健在のようだ。


「どういたしまして。ゲーム機を死守できそうでよかったなぁ。夏休みにゲームができないのも辛いだろうし」

「そうだよ~。せっかく星崎くんと五十嵐くんがフレンドになってくれたんだから、時間が合えば遊びたいしねっ」

「せっかくならオンラインゲームだけじゃなくて、またアミューズメントセンターに行くのもいいかもな」

「お~いいねっ。この前の勉強会のメンバーで遊びに行くのもいいかも」


 期末考査の手応えがあったからだろうか。

 信司がいつも以上にアクティブになっていた。


(おぉ……! 四季がヒロインズを遊びに誘うつもりだ! ……まぁ、俺と常陸院さんも一緒なのはご愛嬌なんだろうな)


 内心で微笑ましく思いつつ、自分と咲月を仲間として見てくれていることにありがたさを感じる。


 陽介がほっこりとしていると、信司が思い出したように声を上げた。


「そうだ! 星崎くんって引っ越してきたんだよね? 夏休みに、この辺の神社でお祭りがあるよ。あと花火大会もあるんだ~。それも一緒に行かない?」

「……そこはお前、俺を誘うんじゃなくて、別に誘う相手がいるだろうよ……。ちゃんと誘えよ?」

「うっ……わかってるよぉ……」

「うぃ、頑張れよ」


 茶化すことなく、静かに応援する(エールを送る)陽介。


(祭りに花火大会か……常陸院さんを誘ってみるのもいいかもな)


 執事の瀬戸の『お二人やご友人たちと過ごす時間がきっと星崎様やお嬢様を育んでくれると信じております』という言葉を思い出して、そんなことを考えるのだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 そして翌週の月曜日。掲示板に成績上位者が張り出される日だ。

 陽介はいつもよりも早めにアパートを出て、掲示板を見に来ていた。


 順位を確認する。

 当然のように学年のいただきに君臨する『常陸院咲月』の名前。


(おぉ、さすがだなぁ……。で、俺は……?)


 はやる心を抑えながら、ゆっくりと視線を下へと動かしていく。

 そして、三位に『星崎陽介』の名前を見つけた。


(よっしゃあっ!! 順位が上がったぞっ!)


 内心でガッツポーズを決めていると、隣から声を掛けられた。


「おはようございます、星崎さん」

「おう! 常陸院さん、おはようっ!」


 明らかに声が弾んている陽介を見て、艶っぽく笑う咲月。


「くすっ、凄く嬉しそうですね。三位おめでとうございます。確実に順位を上げていますね。私もうかうかしていられませんね」

「そりゃ、嬉しいさ。努力が数字で見えてるんだから。常陸院さんも一位おめでとう。いや~さすがに常陸院さんを抜くのは難しいよ……頑張ってはみるけどさ」


 掲示板前から教室に一緒に向かいながら、二人は互いの健闘を称え合ったのだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 教室の入り口で咲月と別れ、自分の席に向かう陽介。

 信司はもうすでに登校していた。


「よう、四季。おはよう。今日は早いな」

「星崎くん、おはよう~。うん、やっぱり落ち着かなくてさぁ……」

「いよいよ順位と点数がわかるもんなぁ」

「一足先に順位がわかる成績上位者は余裕だねぇ……」

「そりゃお前、こっちに引っ越してきてからほぼ毎日、予習復習に参考書も解いてるんだぞ? これで結果が出なかったら、心がポッキリ折れるぞ……」


 あえて強めの言葉を使って、信司のやる気を引き出そうとする陽介だったが、


「それは確かに……」


 信司はそんな事態を想像したのか、ブルッと身体を震わせた。


(ん~今のは逆効果だったかなぁ……)


 信司にはステータスを上げてもらいたいのだが、どう誘導すればいいのだろう。

 やはり幼馴染たちに頑張ってもらうしかないのだろうか。


「まぁ、五日間、みっちりと勉強会やったわけだし答案用紙の回答欄がズレてた、みたいな古典的なミスでもしない限りは大丈夫だろ」

「そうかなぁ……?」


 信司がうるうると目を潤ませる。


(う~ん、ホントに子犬みたいだよなぁ……こういうところが春山さんの琴線に触れるのかな?)


 幼馴染とは言え、毎朝起こしに行って、弁当も用意するのはかなりの労力だ。

 それを続けている理由はもしかしたら、庇護欲をそそられているからなのかもしれない。そんな仮説を立てる陽介だった。


「は~い、皆っ、席について~」


 担任の高梨先生が教室に入ってきて、朝のホームルームが始まる。

 その瞬間、教室内の温度が数度下がった気がした。


 今日の朝のホームルームは生徒たちの期末考査の点数と順位が記されたプリントが渡される。

 なので掲示板に乗っていない生徒たちは不安や期待、諦観と、それぞれの試験での手応えに応じた雰囲気を醸し出していた。


「四季くん~」

「は、はいっ」


 信司が緊張から裏返った声で返事をしながら席を立つ。

 高梨先生から成績の書かれた紙を受け取り、席に戻って目を通していた。

 そして、わかりやすくガッツポーズを決めた。


(お~あの感じ、ホントに点数がよかったんだな。うん、勉強会を開いた甲斐があったぜ)


 すでに自分の結果を知っている陽介はリラックスしたまま、二学期も勉強会を開こうかと考え始める。


 ちなみに信司の期末考査の成績は全教科平均点を少し超え、順位も九十位内に入っていた。


「えへへっ、葉瑠香と奈々にテストの成績、褒められたんだ~」


 幼馴染たちに褒められてご満悦な信司を見て、ヒロインズをけしかけるのが彼のステータスを伸ばす一番の方法なのかもしれないと、改めて思い始めたのだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 昼休みはいつものように図書室で咲月と過ごす。

 最初のうちは小説の話しかできなかったが、最近は授業の話や趣味の話など話題も増えた。


(常陸院さんの趣味の一つが刺繍や編み物だったなんてなぁ……。初めてそのことを聞いた時、編み物をする常陸院さんを想像してみたら『うぉっ、お嬢様だ~絵になるなぁ』なんて思ったもんだよな)


 話題が増えていくに従って、咲月の表情もかなり表情豊かに感じるようになった。


(最初の頃は、距離というか壁を感じるアルカイックスマイルだったもんなぁ……。今でもクラスメイトの大半にはそんな感じだけど)


 そして二人の話題はこれから始まる夏休みについてになった。


「俺は四季と遊ぶ約束をしてるな」

「へぇ……いいですね」

「その四季が勉強会をやったメンバーで出掛けたいって言ってたぞ」

「わぁっ、それはいいですね! 楽しそうですっ。それに春山さんと夏川さんともっとお話してみたかったのでご一緒できたら嬉しいですっ」


 咲月がニコニコと暖かみを感じる笑みを浮かべる。


「うぃ。それじゃあ、ちょっと四季と話を詰めてみるな。それとさ……」


 信司から祭りと花火大会の話を聞いた。

 できれば咲月と一緒に行きたいと思っている陽介。

 だが、女子をそういったイベントに誘ったことがないので言い淀んでしまった。


「? どうしましたか?」


 咲月が小首を傾げる。

 陽介は一回、小さく息を吐いてから咲月の目を見つめ、勇気を振り絞る。


「えっと、だな……四季に聞いたんだけど、夏休みの間に、この辺では祭りと花火大会があるんだってな?」

「ええ、両方とも七月ですね」

「その……常陸院さんさえよければ、祭りと花火大会に一緒にいかないか……?」

「――はいっ! 是非、星崎さんと一緒に行きたいですっ!」


 クリクリとした大きく綺麗な目を輝かせる咲月。

 声のトーンがいつもよりも高くなっていた。


「……そっか。じゃあ祭りと花火大会、一緒に行こうか」

「はいっ! それ以外でも遊んだり、一緒に読書したり……夏休みの課題も一緒にしたり。夏休みは星崎さんとたくさん一緒にいたいですっ♪」


 無自覚なんだろう。

 だが咲月の言葉は陽介にクリティカルヒットする。

 熱くなった顔が見られたくない陽介は、少し顔を逸らした。


「――ッ! わ、わかった……今年の夏休みは色んなことを一緒にやっていこう」

「ふふっ、楽しみですねっ♪」


 フニャッと表情を緩ませる咲月をチラッと見る。


(こんな風に喜んでくれるから、もっと楽しんで欲しいって思うんだよな。それに……)


 ――この綺麗で無防備な笑顔をもっと見ていたい。

 陽介はそう思うのだった。

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