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前世でハマった育成系エロゲのモブキャラに転生した ~主人公ハーレムを眺めたいので、自分を育てつつ主人公をサポートします~  作者: 秋之瀬まこと
第一章

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第23話 友人たちをそれぞれバイト先に誘う

 常陸院邸で夕食をご馳走になった翌々日の日曜日。

 陽介は叔父――星崎謙吾の喫茶店でバイトに勤しんでいた。


 ピークタイムが終わり、今は厨房で叔父に調理を見てもらっている。

 作っているのはナポリタンスパゲティ。

 お店で人気のメニューで、陽介がずっと自宅練習にはげんでいた料理だ。


「……うん、いいね。さすが毎日自炊しているだけのことはあるよ」

「ありがとうございますっ!」

「このクオリティで作れるならホールだけじゃなくて、これからはキッチンで調理補助も任せたいんだけど、大丈夫かな? 少し時給も上げるし、メインはもちろん僕が担当するからさ」

「本当ですかっ! キッチンにはいれるのもですけど、時給が上がるのは嬉しいです」


 素直に喜ぶ陽介に、叔父は柔らかな笑みを向ける。


「はははっ、学生は何かと欲しいものが多いだろうし、友達付き合いでもお金は必要だろうしね。ちなみに陽介くんは何か欲しいものがあるのかい?」

「そうですね~……小説が好きなので結構、金使っちゃってますね。あと最近、勉強が楽しいんで新しい参考書が欲しいのと……筋トレ器具も欲しいです」


 陽介の言葉に、叔父がどこか呆れたような表情を浮かべた。


「……なんていうか、もっとこう……『ゲームが欲しい』とかそういうのを期待していたんだけどね」

「あ~クラスの友達とオンラインで一緒にゲームはしますけど、そんなに何タイトルもいらないですよ。一~二本ゲームを買えば、結構長く遊べますし」


 ちゃんと友達がいるアピールは欠かさない。


「そういうものなのかね?」

「そういうもんですよ。……あ、あとは調理器具とか、試してみたい調味料とかも結構ありますね」

「陽介くんってかなり多趣味だよね」

「あ~……確かにそうかもですね。色々と興味が湧きますし、やってみてできるようになってくると、それはそれで楽しいですし」

「興味を持つことは上達の一助になるから凄くいいことだよ。陽介くんの成長の助けになるなら、バイト代ももう少し頑張りたいね」

「いやいや、今のままでも貯金できるくらいはもらってますよ」

「まぁ、ほら。ここのオーナーは僕だし、君は僕の甥っ子だしね。応援くらいはしたいものなのさ」


 そんなことを話しつつ、陽介は料理スキルの上達に手応えを感じていたのだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 アパートに帰宅後、陽介は咲月や信司、五十嵐と個別でメッセージのやり取りをしていた。


(そうだ。叔父さんの補助だけど、調理も担当できるようになるんだ。そろそろ、友達をバイト先に呼んでみてもいいかもな)


 信司にヒロインの誰かと一緒に来るように誘導すれば、連れてきた子との仲が進展するかもしれない。


 五十嵐とも信司と一緒に一狩り行ってからは教室でもちょくちょく話すようになっていた。

 陽介基準では充分に友人枠だ。


 そして、咲月は――


(なんだかんだで一番お世話になってる、っていうか一緒にいる時間が長い。それに体育祭の借り物競争で『一番、仲のいい友達』ってお題で選んでもらったしな。……ご自宅でご両親も交えて食事会もしたし……)


 ここで声を掛けなかったら薄情者になってしまうだろう。


 早速、陽介は三人に個別で『バイト先でホールだけじゃなくて、調理の手伝いも担当できるようになった』『雰囲気のいい喫茶店だから、よければ店に食べに来て欲しい』とメッセージを送る。

 信司にだけは『春山さんに日頃の感謝を込めて連れて来てみたら?』と付け加えておいた。

 そして三人から好意的な返信が来て、嬉しく思う陽介だった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 後日。バイト先に最初に来てくれたのは五十嵐だった。

 意外というのは失礼かもしれないが、女子連れだ。


 なんでも陸上部のマネージャーで中学時代から五十嵐と付き合っているそうだ。


「それで、星崎。おすすめはなんだ?」

「そうですね、ガッツリ系ならロースカツサンド。甘い系ならパンケーキです」

「ん、どうする?」

「私はパンケーキがいいな~。飲み物は紅茶~」

「了解。それじゃあロースカツサンドとメロンソーダ。パンケーキと紅茶で頼む」

「かしこまりました」


 陽介は二人に一礼してからオーダーを通す。


 そのまま叔父の調理補助に入って、ロースカツサンドの調理を手伝う。

 そして、二人のテーブルまで運んだ。


「おぉ……ロースカツは肉厚でジューシーだし、千切りキャベツが油を吸ってていい感じだな」

「こっちのパンケーキもフワッフワだよ~。生クリームとメイプルシロップもくどくない甘さで美味し~」


 二人とも笑顔で軽食を食べている。

 満足してくれたみたいで、ホッとする陽介だった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 また別の日。

 学園がある日の放課後に、信司が春山葉瑠香を連れてやって来た。


(放課後デートとは、いいものですなぁ……!)


 ゲームではなかった場所での主人公(信司)ヒロイン(葉瑠香)の放課後デートイベントを生で見ることができて、テンションが爆上がりになる陽介。

 だがバイト中なので顔には出さず、きっちりと接客する。


「いらっしゃいませ」

「あはっ、凄い真面目に働いてるんだねぇ」


 陽介は声のトーンを落として信司と春山にだけ聞こえるように話す。


「それはそうだ。前にも話したと思うけど、ここは親戚の叔父さんのお店だし、下手なことはできないんだよ」

「それもそっか」


 陽介と信司が話していると、春山が陽介に話し掛けてくる。


「ねぇ、星崎くん。おすすめはなに~?」

「そうですね……ナポリタンスパゲティ、ロースカツサンド、たまごサンド、パンケーキ、旬の果物のパフェ辺りでしょうか?」

「へぇ……この前、星崎くんのお弁当で分けてもらったナポリタンスパゲッティが美味しかったから、僕はナポリタンにするよ」

「じゃあ私は……たまごサンドを頼もうかな~」

「かしこまりました。飲み物はいかがいたしますか?」

「僕はメロンソーダで」

「私はオレンジジュースにする」

「ナポリタンスパゲティにメロンソーダ。たまごサンドにオレンジジュースですね。少々、お待ち下さい」


 出来上がった料理を二人の待つテーブルへと運び、カウンターに戻る陽介。


 早速、食べ始める二人。どちらも美味しそうに食べてくれている。

 料理が上手い春山の反応が特に気になったが、満足そうに食べていた。


 そして少しすると幼馴染同士の気安さか、二人で料理をシェアし合っていた。

 その光景を見た陽介は――


(ありがとうっ……ありがとうぅっ……!!)


 カウンターから仲のいい二人を見て、内心で感涙にむせぶのだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 そして、日曜日の昼下がり。

 咲月がメイドの白木を連れて店にやって来た。


 咲月は水色のワンピースに白色のカーディガンを羽織ったお嬢様スタイル。

 そして白木はメイド服だった。


(さすがエロゲ世界準拠っぽい世界だ。メイドさんが外出する時もメイド服を来ているなんてなぁ)


 そして、そのこと(メイド服の白木)を他のお客さんが一切気にしていない辺りもちょっと不思議に感じつつ、陽介は二人を出迎える。


「こんにちは、星崎さん」

「常陸院さん、白木さん、いらっしゃいませ」

「その格好、大人っぽくて素敵ですね」

「そ、そうですかね?」


 照れながら二人を席に案内する。


「星崎さんのおすすめでお願いします」


 咲月の言葉に、白木もコクンッと頷いた。


「……わかりました。ではドライカレーとオムライスはいかがですか?」

「まぁ、いいですね。星崎さん、私はドライカレーにいたします」

「では私がオムライスを頼みましょう」


 咲月はドライカレーとチョコバナナパフェを注文し、白木はオムライスとプリンアラモードを注文した。

 二人は仲がいいようで、主食系もデザートも二人でシェアしていた。




「とても美味しかったですっ。それにレトロな雰囲気も落ち着きますし、素敵なお店ですね。今度は両親も連れてきますっ」

「そ、それは緊張しちゃうんだけどねぇ……」

「お父様もお母様も『また星崎くんと食事会をしよう』と言っていましたよ」

「……この間の食事会で粗相をしてないっぽくてよかったよ」

「ふふっ、また星崎さんと一緒に食事できるのを楽しみにしていますね」


 華やかな笑顔を浮かべる咲月。

 会計を済ませた白木を連れて店を出ていった。


「ふぅぅ……」


 無事、友達にバイト先を紹介できたことに安堵の息を吐いていると、


「ねぇっ! あのめちゃくちゃ可愛い子、誰っ!? 陽介くんの彼女!?」


 カウンターから叔父の娘――星崎美雪が陽介に詰め寄ってきた。


「い、いや、彼女じゃないっすよ……。クラスメイトで読書友達みたいな?」

「え~彼女じゃないんだ。でもさ、あんな可愛い子なんだよ? 付き合いたいとか思わないの?」


 そう言われて、陽介は少し考えてみる。


(確かに常陸院さんは優しくて、小説の好みも合うし、文武両道で絶世の美少女だ。でもさぁ……社会的な立場が違い過ぎて、付き合うとか無理じゃね?)


 あの大豪邸を見てしまうと『住んでいる世界が違う』ということをはっきりと思い知らされるのだ。


「いやぁ……どうなんですかねぇ?」


 陽介はとりあえず曖昧な返事をするのであった。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 陽介のバイト先から帰って来て、咲月は自室で紅茶を飲んでいた。


(今日は星崎さんの新しい一面が見れました)


 パリッとした白いシャツに黒のチノパン、お店の名前が入った灰色のエプロン。

 シンプルな服装は陽介によく似合っていたと、咲月は思っていた。


(それに料理も美味しかったです。お手伝いとはいえ、あんなに美味しい料理が作れるのも凄いことですよね。きっとお父様とお母様も気に入ってくれるはずですっ)


 雰囲気のいい昭和レトロな店内は落ち着いていて、居心地のいい空間だった。


 休日にあの店で紅茶を飲みながら小説を読んだら、さぞ落ち着いて読書に集中できるだろう。

 空になったティーカップに陽介がおかわりを注いでくれるところまで空想して、咲月は顔が熱くなるのを感じた。


(……想像するなら、同じテーブルで一緒に本を読んでいるシーンですよっ!)


 小説がきっかけで咲月は陽介と仲良くなった。

 なので、咲月にとって陽介と同じ空間で小説を読んだり、小説について話す時間は大切な時間だ。


(うぅ……! 星崎さんのアルバイト中の格好が、大人っぽくて素敵だったのが悪いのですっ……!!)


 咲月にしては非常に珍しく、空想をした原因を陽介に責任転嫁するのだった。

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