わたしのしあわせ 86
みんな着替えて解散したの。佐藤さんは加藤君と、山本さんは古賀君と帰ってた。私もこうちゃんをクルマに乗せて帰ったの。
クルマの中でさっきの先生との会話話したの。
こうちゃん「そういう事だよね、ほんとにきつかったよ、全然前に出してもらえないんだもん。それでも前に出ようとして面を打つんだけど、あれ絶対打たされてた、やっぱり上段は甘くないよ」
私「先生もすごい人だね、だって普段は上段なんでしょ?ずっと中段から突いたり打ったりしてたけど、あれ、高橋先生より強いでしょ」
こうちゃん「だね、向かい合うとさ、先生が壁に見えるんだよ」
私「壁?」
こうちゃん「うん、打てる所がどこにも無いんだよ。高橋先生は大きく見えるけど、叔父さん先生は壁」
私「やっぱりすごいんだ」
こうちゃん「うん、すごいよ、水戸三の先生も大きく見えたけど壁じゃなかった」
私「でもね、先生が体格にも恵まれてて強くなりたいって気持ちも強いし、頭もいいから期待してるって言ってたよ」
こうちゃん「うん、絶対に強くなるよ」
やっぱりこうちゃん、かっこいいよ。
家に着くと晩御飯の準備の途中だったの。
私「ただいま帰りました、遅くなってすみません」
お母さん「大丈夫よ、それでどうだったの?」
私「例の上段の先生が来てたんですけど、かなりしごかれてました」
お母さん「そうだったの」
私「先生ともお話したんですけど、とても意味のある内容でしたよ」
お母さん「どんな方なの?」
私「とても優しい感じの方で、お話も理解しやすい話し方をする方でした、信用できそうな方でしたよ」
お母さん「そうなの、それは良かったわ」
晩御飯を食べながら、今日の稽古と先生の考えの事を話したの。
お父さん「それじゃあかなり厳しい事になるんだな、精神が鍛えられてメンタルも強くなれそうだな」
お母さん「でもあんた大丈夫?ついて行けるの?」
こうちゃん「大丈夫、意地でもついていくよ、あの先生に鍛えてもらえれば強くなれる気がする」
お母さんに言われて食後のコーヒーを淹れたの、もちろん豆を挽くところから。
豆を挽くと良い香りが始まって、蒸らしてお湯を注ぐと部屋中に香りが広がったの。
お父さん「いいなあこの香り、昔の喫茶店を思い出すよ」
お母さん「そういえば昔の喫茶店って目の前で落としてくれたから、こんな香りが楽しめたわよね」
こうちゃん「なんか美佳ちゃんがかっこよく見えるよ」
ドリップが終わってみんなで飲んだよ、みんなでお話しながら飲むコーヒーは本当においしい。
また新しい豆、買ってこよっと。
片づけてお風呂入って、寝る前にこうちゃんが部屋に来てお話したの。
私「今日ね、お母さんと一緒に病院に行ったの」
こうちゃん「どうしたの?どっか悪いの?」
私「違うよ、ブライダルチェックっていうの受けてきたの」
こうちゃん「なに?それ」
私「ちゃんと妊娠出来る体かとか、障害になる事が無いかとかを診てもらったの」
こうちゃん「それで、どうだったの?」
私「異常は何も有りませんって」
こうちゃん「という事は?」
私「将来結婚した時は、ちゃんと赤ちゃん生めるって事だよ」
こうちゃん、なんだかぼんやりしてる。
私「どうしたの?」
こうちゃん「いや、なんかこう、その、いや」
私「しっかりして」
こうちゃん「俺と美佳ちゃんの事が、ぐっと現実感が出たと言うか、なんというか、言葉が上手く出てこないよ」
私「嬉しいの?嬉しくないの?」
こうちゃん「嬉しいよ、決まってるじゃん、俺と美佳ちゃんの子供かあ、なんかムズムズする」
私「なによそれ」
笑っちゃった。
こうちゃん「だから上手く言葉に出来ないんだって」
私「でもね、それは今じゃないからね、結婚するまでは気を付けなきゃね、じゃないと出来ちゃうよ」
こうちゃん「肝に銘じます」
私「それで良し」
首に抱き着いて「こうちゃん、愛してる」
ギュッとしながら「俺も愛してるよ、俺が一生守るからね」
私は今幸せ。すごく幸せ。
次の日、仕事の帰りにコーヒー豆を買えるカフェに寄って豆を買ったの、マイルドな味の。このお店、パンケーキが有名みたいですごく美味しそうなの。今度はお母さん誘って食べに来ようかな。
佐藤さん達と女の子で来てもいいかも。
私「ただいま帰りました~」
お母さん「お帰り」
私「寄り道して、新しいコーヒー豆買って来たんです、後でみんなでどうですか?」
お母さん「良いわね、美佳ちゃんが淹れてくれるコーヒーは美味しいから楽しみ」
私「それじゃ後で淹れますね、そのお店、パンケーキが有名みたいで美味しそうでしたよ、今度一緒に行きませんか?」
お母さん「良いわね、楽しみ」
なんかいいな、こういうの。




