わたしのしあわせ 45
6月、昇級審査って言うのが有って一級取るんだって。
私休みだったから見に行ったの。同じ学校からもう1人、女の子も受けるって。
会場に行くと緊張した顔で、もう1人の女の子と形の練習してた。
私「こうちゃん、見にきたよ」
こうちゃん「美佳ちゃん、来てくれたんだ」
私「今日は休みだからね、緊張してる?」
こうちゃん「うん」
そしたらもう1人の女の子が、興味津々って顔でこうちゃんに
「だれだれ?彼女?」
こうちゃん「隣のアパートに住んでるお姉さんだよ」
「そうなの?こんにちは、森田君の同期の佐藤です」
私「はじめまして井上です、こうちゃんがいつもお世話になってます」
佐藤さん「お姉さんって事は年上なんですか?」
私「けっこう上だよ」
佐藤さん「3年生ですか?もしかして大学生?」
こうちゃんと顔見合わせて笑っちゃった。
私「これでも25歳の社会人ですよ」
佐藤さん「えっ!ホントですか?」
私「今日も自分のクルマで来たのよ」
佐藤さん「びっくりです、最初同級生かと思ったのに」
私「私、子どもっぽいからね」
佐藤さん「あっ、ごめんなさい、失礼な事言っちゃいました、すみません」
私「気にしないで、昔からそうだから慣れてるよ。こうちゃんの隣に越して来たのが18の時だけど、最初高校入学だと思われたから」
佐藤さん「こうちゃんって呼んでるんですか?」
私「最初に会った時、こうちゃん小3だったからね、ずっと仲良くしてるから」
佐藤さん「かわいいお姉さんだね、『こうちゃん』」
こうちゃん照れてる、かわいい。
そこにジャージ姿の女性が来たの。こうちゃんが『顧問の先生』って教えてくれた。
すこし首をかしげながら「お友達?クラスの子?」
今度は佐藤さんと3人で笑っちゃった。
笑いながら「私、こう見えても25歳の社会人ですよ」
先生あわてて「失礼しました、顧問の高橋です、私より上なんて」
先生動揺してる。
私「先生はおいくつなんですか?」
先生「23歳です」
佐藤さん「先生は新卒で赴任されたばかりなんです。日体大剣道部のレギュラーだったんですよ、めちゃくちゃ強いんです」
私「すごいんですね」
佐藤さん「学生の全日本で2位になった人です、すごいんです、厳しいけどカッコいいんです」
先生「こら、誉めすぎだよ」
先生照れてる、かわいい。
私「こうちゃん、すごい先生に指導してもらってるんだ」
こうちゃん「うん、すごい先生だよ」
先生「すみません、この子達の形を見てあげないと」
私「すみません、お邪魔しちゃって」
こうちゃん、すっかり高校生してるんだ。
うらやましいかも。
審査が始まって、こうちゃんの番が来たの。
私「緊張してる?」
こうちゃん「してる」
私「あれやろ、向こう向いて」
こうちゃんの背中を両手でバンバンバンってして
私「行ってらっしゃい!」
こうちゃん「おー!」
試合が始まって、先生が解説してくれたの。
先生「審査は勝敗じゃないんです。基本が出来ているか、積極的に攻めてるかがポイントです、それと礼儀ですね。森田君は出来てますね、大丈夫でしょう」
そこまで知らなかったからありがたいよ。
しばらくして女子が始まって、今度は佐藤さんの番が来たの。
佐藤さん「あの、井上さん」
私「美佳でいいよ、なに?」
佐藤さん「私にもあれ、やってもらっていいですか?」
私「?」
佐藤さん「さっきのバンバンバンってやつ」
私「いいよ、向こう向いて」
佐藤さんの背中にもバンバンバンってやって
私「行ってらっしゃい!」
佐藤さん大きな声で「はい!」
始まった。
先生「佐藤さんも出来てますね、これなら2人とも大丈夫でしょう」
実技の審査が終わって今度は形の審査、2人とも今度もいい出来だって、先生にもお礼言われたの。
先生「私の学生の頃も似たようなことしましたね、あれって効果有るんですよ、スイッチが入るんです、うちの恒例にするのも有りかな」
私「2人の役にたちましたか?」
先生「2人とも校外で試合するのは初めてですから、うまく緊張が解けたと思います。」
たぶん私、にやけてた。
結果が出て、2人とも合格出来たの。
佐藤さん「美佳さんのおかげで落ち着いて出来ました、ありがとうございます」
かわいい子。
先生「来週試合が有って、森田君も出るんですよ」
私「もう試合に出れるんですか?」
先生「新人戦で個人戦に出ます。結果は期待出来ませんけど、まあ場馴れの為の出場ですね」
私「私も見に行けますか?」
先生「もちろんです、むしろさっきのをやってあげて欲しいですね、他の子達もやって欲しがるかもしれませんけど」
私「週末なら行けるんですけど」
先生「大丈夫、土曜日です」
私「必ず行きます!」
こうちゃん早速試合かあ、青春してるなあ。




