わたしのしあわせ 36
今日から仕事、年始はだいたい暇だからみんなのんびり。
サービス工場の方はいきなり2台置いてあって早速仕事が有るみたい。こっちに来た他県のクルマが動かなくなって、レッカーで運ばれたんだって。
私の後輩の女の子が、新年早々ニコニコしながら報告してきたの。
「美佳さん、私プロポーズされちゃいました」
「それってA君?」A君というのはサービス工場のメカニック。
「はい」
「なんて返事したの?」
「OKしちゃいました!」
「おめでとう!」
「ありがとうございます」
「ご両親には報告したの?」
「実は彼を実家に連れて行ったんです。彼が『決まったからにはすぐ行動』って。できるメカは仕事が早いです」
「よかったね、おめでとう」
「ありがとうございます」
「これからは?」
「アパート探して同棲します。今の彼の部屋だと、2人で住むには狭いから」
そっか、そうなったか。やっぱりこっちは結婚早いんだ。
私がプロポーズされるのは早くて7年後かなぁ。ちょっとうらやましいかな。してもらえるのかな。
定時で上がって、着替えてお隣に。
私「こんばんは」
お母さん「いらっしゃい、そろそろ『ただいま』でもいいんじゃない?」
私「それじゃ、ただいま帰りました」
お母さん「お帰りなさい」
ただいまって言ったりお帰りって言われたり、何年ぶりだろう。小学生の頃にお父さんが死んで、お母さんがフルタイムで働いて、私がお帰りって言う側だったからね。思えば私の家事スキルはあの頃からの物なんだな。
食べながら後輩のプロポーズの事話したの。
私「2人とも仲良くしてる後輩だから私も嬉しいですね、結婚式も呼ばれると思いますよ。この辺りは結婚早い人多いですよね」
お母さん「そうね、若い内にって多いね。土地柄なのかなあ」
私「私の地元だと、30過ぎも珍しく無いですね、東京で働いてる人が多いからかなあ」
お母さん「私たちはずっとこっちだから、早いのが普通みたいな感覚ね。美佳ちゃんはどう思うの?」
う~ん、どう答えればいいんだろ、こうちゃんまだ中3だし、相手はそのご両親だし、でも、今までも嫁に欲しいとか言われてるし。
言っちゃえ!
私「私は急いでません、何年でも待ちます、私は平気です」
今度はお母さんがびっくりしてた。
お母さん「美佳ちゃん本当にいいの?あの子待ってたら7・8年かかるよ、美佳ちゃんステキな女の子だから、他の人からプロポーズされるかもよ、本当にいいの?」
私「私は多分、新しい恋愛って出来ません、他の人は考えられません」
私の事情を知ってるお母さんは、意味をわかってくれたみたい。
お母さん「そうなのね、美佳ちゃんが来てくれれば私たちは嬉しいけど。でもね、この話は美佳ちゃんを縛る物ではないからね、それは覚えておいてね」
私「はい、ありがとうございます」
お父さんはいまいちわかってないみたいだけど、黙って聞いてた。
今はこれでいいよね。
こうちゃんの成績は順調で、多分合格するだろうって言われてる。筋トレに励んだおかげで体調もいいみたい。試験間近になって「試験前に息抜きした方がいい?、それとも息抜き無しの方がいい?」って聞いてみたの、そしたら「息抜きすると抜け過ぎるかもだから、そのまま行く」って。ここは本人の意思を尊重する事にしたの。こうちゃん成分足りないけど、今は我慢。
試験前日、晩御飯の後に部屋に行ったの。
私「明日頑張ってね」
こうちゃん「うん、気合い入ってるよ」
私「朝は何時に行くの?」
こうちゃん「遅刻しないように7時に出るよ」
私「それじゃお見送りに来るよ」
こうちゃん「ありがとう、待ってるよ」
翌朝7時、お隣に行くと少し緊張した顔。
私「緊張してる?」
こうちゃん「そりゃ緊張してるよ」
私「よし!背中向けて!」
こうちゃんの大きな背中を、両手で力いっぱいバンバンバンって叩いて「行ってらっしゃい」ってやったの。
こうちゃん「痛いけど落ち着いた、ありがとう」
私「晩御飯に来るよ、また後でね」
こうちゃん「行ってきます」
その日は定時で上がって、急いで着替えてお隣に。
私「ただいま帰りました」
お母さん「お帰りなさい」
私「こうちゃん、試験どうでした?」
お母さん「本人としては手応え有ったみたい。部屋で寝てるから行ってあげてくれる?」
私「はい」
ノックして「こうちゃん入るよ」
部屋に入るとベッドに寝てたの。
私「こうちゃん、そろそろ起きて」
う~んって言いながら起きたの。
私「もうすぐごはんだよ」
すんなり起きてベッドに座って寝ぼけてた。
私「試験どうだった?」
こうちゃん「うん、朝のバンバンバンのおかげで上手く出来たと思う。でも結果出るまでは不安だよ」
私「そっか、そうだよね。でも上手く出来たんでしょ?だったら自信持って待とう、自分の頑張りを信じよう」
こうちゃん「うん、不安だけど自信は有るんだよ」
私「だったらOK!さっ下行こう」
こうちゃん「うん」
立ち上がってギュッてしてくれたの。それから顔を見て
「エサ役ありがとう」ってニヤリ。
私「いいエサだったでしょ?」
こうちゃん「うん、最高」
ごはんを食べながら「やっと一息つけるね」なんて言ってたの。
長かったよ、禁欲生活。




