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「まったく、あの愚かな樹木にも困ったものだわ……」
私は自分の部屋に戻って、深く椅子に腰かけた。
つい先ほど、木草樹が卵ちゃんを閉じ込めるという大変お馬鹿な事をやったのだ。
なので、少々手荒いお仕置きを加えてきたところだ。
「やれやれ、これで少し計画の時間が延びちゃったわね……。ま、まだまだ時間には余裕はあるからいいけどね!」
ちらりと、私は机の上に置かれた水晶玉を見た。
この水晶玉は、私が謹慎中で木草界に手出しが出来なかった時の映像が記録されている媒体だ。
木草樹に命令をして、その時代の重要な出来事などを映像として残させており、且つその映像を見どころだけに編集させてある。
木草樹曰く、非常に自信のある作品に仕上げたらしい。
但し、内容が内容だけに、見どころを厳選しても全部見るのに数十年は掛かる内容になってしまったとのこと。
「ま、数十年にまとめられたのなら、御の字と言ったところかしらね……」
私は目を閉じて、謹慎中の事を思い出した。
地球産のゲームばかりやっていて、その合間に魂を成長させた。
魂は成長して自我を持ち、私とゲームの対戦が出来るまでになった。
その内に謹慎が解けて、久々に木草界を覗いたのだが驚いた。
なんと、私の帝国【アダモグランディス】が崩壊し、新たな国が出来ていたのだ。
木草樹に確認を取ったら、木草界の年月で1000年以上をも経過していたようだ。
そして、私は慌てて魂の記憶を消失させた。
今まで親しく語りかけてきていた魂が急に他人行儀になったのに成功を感じて、私はまるで初めて魂を分けることに成功したかのように振る舞った。
私自身に影響のないゴミ程度のカスの魂から成長させた魂を、私の魂の半分だと嘘をついて重要な存在だと錯覚させるようなことも言ったっけ?
「くっくっく……」
思わず含み笑いが漏れた。
私は相手を小馬鹿にする時や格下に見ている時には、相手をおちょくるように話をする癖がある。
嫌な性格だと思うが、その性格が大好きなので直す気なんてさらさらない。
卵ちゃんを送り出す時も確か、あの話し方だった気がする。
「さて、期待以上の存在になったけど、木草樹のせいでまだまだ時間が掛かりそうなのよねぇ……。仕方ない、撮り溜めしていた歴史でも振り返るかな」
私は机の上の水晶に手を伸ばして、それを膝に抱えた。
それから、呪文を唱えると、水晶玉に謹慎時代に起こった重要な木草界の出来事が流れ始めたのだった。
「……あー、そう言えば、なんで【アダモグランディス】が崩壊したのかを詳しく知らなかったのよねー。それは、しっかり見とかないといけないわね」
私は水晶の中の映像を見ていたが、しばらく退屈な映像が続いた。
「ふわぁ~ぁ……」
つい大きな欠伸をしてしまった。
本当に、この【アダモグランディス】の時代は退屈だ。
誰一人、反逆してやろうって奴が出てこない……。
巣作の血統の中で特に優秀そうな奴らは、参謀長に殺されないように早めにこの国から出してしまったのだが、それもある意味つまらなくなった原因の一つなのかもしれない。
「無能な事なかれ主義の民衆やYESマンしかいない兵隊に多くを求めても無駄か……」
そんな中、遂に目が覚めるような出来事が起こった。
「おぉ……!?」
思わず感嘆の声を漏らしてしまう。
「卵ちゃん……」
水晶に映っている映像では、卵ちゃんが異世界の魂を持つ少女を救い出した場面が流れていた。
どうやら卵ちゃんは、その少女に稽古をつける予定らしいが……。
「くふふふふふ……、あらら~♪私好みの面白い展開になってきたじゃない!」
私は冷蔵庫からスポーツドリンク、棚からポテチを持ってくると、まるでドラマを楽しむ主婦のようにそれを机の上に広げた。
「さぁさぁ、私を楽しませなさい!!」
私の興味は、卵ちゃんよりもその弟子である【ZERO】と呼ばれる少女へと注がれていた。
さて、お久しぶりのアダモゼウスパートです。
時空系列的には、卵を捕らえていた木草樹にお仕置きをして帰ってきた後になります。




