ちょっかい
「ブラボー!!おお、ぶら~ぼぉ~!!」
私は、大きな拍手を持ってその歴史を称えた。
それにしても夢中になって見てしまった。
【木草界の歴史】木草樹編集バージョン。
なかなか良い編集をしてくれたおかげで非常に見やすく、ぶっ通しで見続けた。
また木草界の中では十年ほどの歴史が過ぎているのだろうけど、そんなのは関係ない。
今は、満足する作品が見れたことによる幸福感でいっぱいだった。
「後で、木草樹ちゃんに御褒美をあげてもいいかもしれないわね……」
ZEROという人物が誕生してからの木草界の歴史は、目を見張るほどの面白さだった。
一葉と双葉という双子の弟子を取り、それを鍛え上げて卵ちゃんと共に連合帝国【アダモグランディス】を滅ぼした。
しかも、その途中で【巣作 蝉】の血統である、【御堂家】、【神楽家】、【華吹家】、を仲間にしていた。
そもそもZERO自身が【沢上家】の血縁者だ。
私は、自分自身がやってきた功績に賞状を贈ってやりたいくらい喜んでいた。
だって、そうだろう?
そもそも、ものすごく強力な血縁を創造したのは、私なのだ。
その優秀な子孫の一人がリーダーとなり、私が作った国を滅ぼした。
それは、本当に心地の良い反乱だった。
私が作った国とはいえ、所詮は飽きて終わったゲームの国ようなものだ。
正直、ぶっ壊してくれてすっとしたくらいだ。
「それにしても、沢上家かぁ~……。いいわねぇ~……」
私の中で、この鈴とかいう少女の評価がうなぎ上りだった。
彼女が帝国を滅ぼしてからもやり手だったのも、私の評価を上げた。
彼女は帝国を滅ぼしてから、【木草の里】を守るという名目で自分の支配地に置いた。
これにより、【木草家】が彼女の仲間になった。
華凛とかいう女性から託された【芭蕉家】の子供は、彼女自身が育て上げて自身の右腕として、最終兵器として子孫までも管理した。
そして、各地で【不老】の特殊能力を持った少女を集めて、魔女の同志として鍛え上げていった。
その魔女達に木草界に存在する全ての陸地の管理を割り当てて支配させる。
結果として、この【沢上家】の少女は、木草界に存在する全ての国と、【御堂家】、【神楽家】、【華吹家】、【木草家】、【芭蕉家】を管理下に置くことに成功した。
「なんと有能な少女なのでしょう~♪彼女の子孫ならば……、ええ、母体として相応しいかもしれないわねぇ~♪」
そうと決まれば見に行かなければいけない。
私は椅子から腰を上げると、大きく背伸びをした。
すっかりファンになってしまった少女【沢上 鈴】に会いに、私は木草界の中へ向かった。
「そうだ、ついでに彼女の弟子の一葉と双葉に会っておくのもいいかもしれないわねぇ……」
あの双子の姉妹も、鈴と同じ異世界の魂を持つ者だ。
ここで会っておいても、面白いだろう……。
「それに……」
私は、これからの事を想像して口角を上げた。
【アダモグランディス】を憎むあまり、その帝国の信仰の対象である【私自身】をも無下に扱い、憎み続ける彼女達に私は非常に心を痛めていた。
だから、彼女達を私を信仰するように変えてあげようと思った。
「あぁ、私ってば、なんて素敵な女神様なんでしょう~♪」
楽しみで楽しみで仕方が無かった。
私を殺したいほど憎む彼女達が、私を崇拝する姿を想像するだけで胸が躍る。
嫌がる事を本人たちが気が付かないうちに、催眠によって実行させる。
それは、なんて滑稽な姿。
「くっくっくっく~♪」
催眠が切れた時に自己嫌悪に陥る顔や、私に様を付けて頭を垂れる姿を想像しては、腹の底から笑いが込み上げてくる。
「あー、楽しみぃ!」
私はウキウキした気分で、木草界へ入っていった。




