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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
226/253

200話記念の外伝 【刀匠】

 今回のお話は、木草界の伝説の武具についてです。

 時空系列はアダモゼウスが木草界を創って、木草樹に【界宝九極】を預けた後に地球見学に行くのですが、そのすぐ後のお話です。

 シュリシュリシュリシュリ


 砥石が心地よいリズムを奏でてくれる。

「うん、こんなところかな?」

 私は研ぎ終わった刀を見つめた。

 ふむ、やはり刃物は美しい。

 まるで濡れているかのような刀身は、たき火の炎を映して赤く煌めく。

「完成されましたか、母上様」

「ええ、中々見事な仕上がりよ!」

 私は、木草樹へと出来上がったばかりの刀を見せた。

「おお、見事で美しいですなぁ……。私は、さすがに刃物は恐ろしいですが……」

「ああ、あんた植物だものね。金剋木きんこくもくかぁ……。まぁ、木草界は、地球や龍神界とは違って【金】なんて属性無いから、安心しなさい。この木草界内においては、木は一番上の属性。トップクラスよ!」

「母上様は、お優しいですな。私は、感激に打ち震えていますぞ!」

「ま、実は隠し属性で【神】ってのがあって、それが実質トップなんだけどね……」

「母上様!私の感動はどうしたら宜しいか!?」

「くっくっく、まぁ、安心しなさい。そんな隠し属性に当てはまるものなんて本当に少ないわ。私とか、世界把握能力せかいはあくのうりょくくらいなものよ」

 私は出来上がったばかりの短刀を横へ置いて、胡坐をかいた。

 ちょうど良い、休憩の時間だと思ったのだ。

 この頃、私は木草界でずっと刀を打ち続けている。

 それもこの前、一番成功している世界【地球】へ初めて遊びに行った際に受けた影響のせいだ。

 あの世界では、武器や防具など伝説と呼ぶにふさわしい道具が山ほどあった。

 それは、偉人の遺品であったり、神々が与えた物であったりと、非常にロマン溢れるものだったのだ。

 私は、単純にそれを真似したかった。

 今回は、木草樹の力を封じる目的ではなく、単純にカッコいい物や名声的なものにこだわる。

 先ほど、完成したばかりの短刀も後々素晴らしい業物として、木草界に語り継がれる武器になるに違いない。

「母上様、一つ宜しいですかな?」

「ん?何よ、木草樹?」

 まだこの世界には知性のある生命がいない。

 空には溢れんばかりの星が散りばめられていて、とても美しかった。

 唯一、言葉を交わせる私と木草樹の会話のみが、この時代がまだ神話の時代だと物語っているような気がした。

「先ほどのお話の中にあった【世界把握能力】とはなんですか?」

「あー、それかー。う~ん、説明するのめんどいんだけどね~」

「はぁ……」

「まぁ、いいか。私のお母様も使用できる正に『何でも出来る力』の事よ」

「!?なっ、なんと!?そのようなものが!?」

 お、意外と良い反応をしてくれる。

 よし、せっかくだし、もっと詳しく教えてあげようか。

「あんた、【風が吹けば桶屋が儲かる】って言葉を知ってる?」

「いえ、そもそも桶とやらも知らないので……」

「ああ、じゃあ【意識の共有】で教えるわ!……ほら、こういう事よ!」

 私は、木草樹へ地球で得た情報を送った。

 すると、その情報を読み取った木草樹が、満足そうに幹を揺らした。

「おお、理解しましたぞ!なるほど、巡り巡ってその結論へ辿り着く事と言う意味ですな?」

「そう!つまり、こういう事!!」

 私は、指を動かして右手を妙な手つきに変えた。

 そして、それを右へ3cm、上へ1cmほど2.174秒の速さで動かした。

「ぬっ!」

 その瞬間に一陣のつむじ風が巻き起こり、木草樹の葉の一枚を切断したのだった。

「これが、世界把握能力の一部。色々と巡った結果なんだけど、私はこの場所から動かないで、貴方の葉を一枚落としたわ。私の行動が、結果として葉を落とす現象への起点となったわけ!その気になれば、私はこの世界で何でも出来る。それだけの力があるの!……まぁ、神である私でさえ、私自身が生み出したこの木草界の中でしか使用できない限定的な能力なんだけどね」

「なるほど、これはすごい……」

「別にすごくは無いわよ。私のように完全に世界把握能力を身に付けるのは、不可能に近いでしょうけど、一部なら案外これから生まれてくる生物でも使えるようになるんじゃない?」

「……ほぅ、そう母上様は視ていらっしゃいますか?」

「まぁ、使えるようなやつが生まれてきてもおかしくないとは思うわね……」

 隠し属性【神】の力。

 これは、私が木草界のトップで在り続ける為に、私が隠しいれた属性だ。

 隠してはいるが、いずれ知恵を持った生物が生まれてくる以上、日の目を見るのは確実だろう。

 世界把握能力は、膨大だ。

 だからこそ、それをほんの0.0000000000000000000000000001%使用出来たとしてもとんでもないパワーを発揮するだろう。

 僅かとはいえ、神の力だ。

 きっと、この世界の常識に捕らわれない力になる。

 そう、特殊な能力ちからに……。

「さて……、休憩もしたし、そろそろ始めましょうか……」

 私は思いっきり背筋を伸ばして、傍らに完成していた2本の短刀を木草樹へ見せた。

「どうどう?これ、地球にあった夫婦刀や兄弟剣に影響を受けて作った姉妹刀!」

「ええ、先ほども申し上げましたように素晴らしい物だと思います。濡れたような刀身が本当に美しく、何故か寒気がするくらいでして……」

「あー、これの材料、龍神界から持ってきたから、この刀だけ属性【金】になるのかもしれないわねぇ……。ま、いいか!濡れたような刀ってことで、【時雨】と【千雨】って名前にでもしようかな?どう?」

「流石は、母上様!!素晴らしいネームングセンスですぞ!!」

「ふっふーん、よーし!まだまだ造るわよー!!創作意欲半端ないからね!!」


 結局アダモゼウスは、この後も様々な伝説級の武具を生み出していくことになる。

 神の職人魂が木草界に伝説の武具をもたらしたことは、この2人しか知らない。

 という訳で、特殊能力についてと、【千雨】&【時雨】誕生秘話でした。

 この様に一部の武具は、そもそも異世界の属性を持っている場合があります。

 【金】の属性は、木草界には存在しませんが、異世界には存在します。

 木草界という木が覇権を握っている世界において、【金】は暴力的なまでの力を発揮します。


 次は、総合評価が100ptを超えるか、300話記念で更新します。

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