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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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回想 【グランディア】

「せい!えい!おう!」

 街の至る所で、威勢の良い掛け声が聞こえた。

「相変わらず、この国は暑苦しいわねぇ~……」

 健全な精神は健全な肉体に宿るを信条とする者達で溢れているこの国の人々は、常に肉体を鍛えることを怠らない。

 師として敬うべき者の指導の下、死ぬまで肉体を鍛え続ける習慣があるのだ。

 今の時間は、昼休み後の修行の時間だ。

 仕事で忙しい人でさえ、必ずこの時間は肉体を鍛えなくてはいけない。

「本当にご苦労なことで……」

 この国の法律で、この国に住む者は強制的に肉体を鍛えなければならない。

 唯一の例外が観光目的で来ている旅行者のみだ。

 だから、私はみんなが鍛えている中、優雅に散歩なんかをしちゃってるわけだが、奇異の目で見られていて非常に不快だ。

「はぁ、とっとと斧を拝借してずらかりましょうか……」

 木草界では、肉体は鍛えれば鍛えただけ強く強靭なものとなる。

 それを体現した魔女がこの国を造ったらしいけど、どんなマッチョな魔女なのかね?

 そんなことを考えながら散歩をしている内に、例の斧が置いてある寺院に到着した。

 【主待寺院あるじまちじいん】という名のこの寺院には、様々な武器が安置されている。

 そのほとんどが名のある有名な武器で、寺院の名の通り、使い手が現れない武器や使い手が亡くなった武器である。

 この寺院のすごい所は、武器が持ち主を認めさえすれば、無償で譲ってくれるところにある。

 おかげで、この寺院へ来る武術に自信がある者達の足は絶えない。

 私が着いた時にも、そこは人で溢れかえっていた。

「ふわぁ~……、すごい人だねぇ……」

 【千里眼】で空から眺めてみると、ざっと数千人はいるだろうか?

 何やら寺院の外に設置されている武舞台場の上で、何人かが戦っていた。

「なになに?何かの催し物?」

「ん?なんだ、お嬢ちゃん、知らないのか?」

 横から聞こえてきた声を見上げると、そこには女性が私を見降ろしていた。

 結構筋肉質な体付きをしており、私でもその人物がかなりの強者だと分かった。

「ああ、私、観光で来たので、何が何やらちんぷんかんぷんです……」

「あー、そうなのか?ん~……、今日は毎週開催される大会の開催曜日なんだよ。その大会には、豪華な賞品というか、権利が掛かっていてだな!なんと3位以内に入れば、寺院に置いてある好きな武器を一つ持っていくことが出来るんだ!!すっげーだろ?」

「へ~、そうなんですか!それは、都合がよかった……」

 キラキラした目で話す女性から、非常に有益な情報を貰えた。

 初めは、ちょいと盗んでしまおうとも考えていたのだけど、正攻法で貰える方法があるのならば、それを利用しない手は無い。

「あの~、これって今からでも参加できるんですか?」

「あぁ!?お嬢ちゃん、もしかして参加するつもりかい?やめとけ、やめとけ。魔女の服を着ている所は評価してやるが、お嬢ちゃんじゃ万が一にも勝ち目は無いと思うぞ?」

「それは、私が決めます。……参加できるんですか?」

 女性が黙ったままじっと私の顔の顔を見た。

 そして、人差し指を空に突き立てるように手を上げた。

 それだけで、私達の周りにいた屈強な男達がバタバタと倒れていく……。

 私達から半径50mほどにいた人が全て気を失って倒れた後に、彼女は私を見てにやっと笑みを浮かべた。

「すっげー!なんだ、お前やるじゃないか!!俺の殺気でちびりすらしない奴は、久しぶりだ!!」

 そう言った後に、今度は豪快に声を上げて彼女は笑った。

「おっ、おい、あれ……チャンピオンじゃないか?」

「ああ、間違いない。あの女、チャンピオンだ……。くっそー、今週も参加してやがるなんて……」

 周りからヒソヒソ声が聞こえてきた。

 どうやら、私ではなく、彼女を見て色々と囁き合っているようだ。

「チャンピオン?」

 私は、つい聞こえてきたセリフをそのまま口にしてしまった。

 豪快に笑う彼女が、その言葉にピクリと反応した。

「おうよ!俺こそが、この大会の連続チャンピオンをやらせてもらっている【壱場いちば】ってもんだ!まぁ、もう欲しい武器もないから、単なる手合わせを楽しむ武器庫の管理人みたいな感じになっちまってるけどなぁ……。お嬢ちゃん、お前は面白い!」

 彼女が私を指差す。

 そして、声高らかにこう宣言した。

「余興や遊びの戦闘に飽き飽きしてたんだ!お嬢ちゃん、次の試合で俺とやりあおう!もしも、お嬢ちゃんが俺に勝ったら、俺が今まで手に入れた【武器獲得券】を一つくれてやろう!どうだ?」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」

「まさかのチャンピオンの逆指名だああああああああああああ!!!!」

「こりゃ、面白くなるぞおおおお!!!!!」

 私の気持ちとは裏腹に、周りの熱はどんどんヒートアップしていった。

 しかし、彼女の提案は、私にとってまさに渡りに船だ。

「願ったり、叶ったりだわ……。会場までのエスコートは、お願いできるのかしら?」

「こっちだ。着いてこい!」

 周りが熱狂的に騒ぐ中を進んでいく。

 壱場の後をついていくうちに、私も徐々に熱に浮かされていく。

 この国の人は、あまり見た目で人を判断しない。

 先ほど、彼女の殺気を耐えただけで、彼女も周りも認めたように!

 もう彼女達は、私を子ども扱いなどしなかった。

 一人の戦士として、私は扱われていた。

 そして、武の道を進む者として最強同士の試合を楽しむべく、周りの人々は雄叫びを上げ続けていた。

 既に武舞台の上には、誰もいなかった。

「はっ!」

 気合の掛け声と共に、武舞台に壱場が飛び乗った。

 私もそれに倣って、飛び乗る。

 お互いに向かい合って立った時に、横から寺院の僧侶みたいな人がその間へ歩いてきた。

「……この寺院の責任者である【理伯りはく】と申します。まずは、問いましょう。壱場殿の希望は?」

「強者との試合のみ!それ以外、興味なし!」

「ふむ。では、お嬢ちゃん、名前と希望を伺ってもよろしいかな?」

「名前は、ギフト。希望は、娘の為の武器【葉切の斧】が欲しいわ」

「ほぉ~……。なるほどのぉ~……」

 僧侶の爺さんは、その立派に蓄えた髭を撫でながら、ほっほっほと楽しそうに笑った。

「ふむ、よろしい。両者の希望、聞き入れましょう。では、ルール説明を。リングアウト、足の裏以外がリングに触れた状態で10カウント、気を失った時点で負けとする。目や金的の攻撃は、無しとする。ギブアップ宣言はあり。死んだ場合、引き際を知らぬ愚か者と判断して、死んだ方を負けとする。お互い、理解しましたかな?」

「おうよ!」

 私は、黙って頷いた。

「それでは、勝負……開始ぃいい!!」

 僧侶の掛け声と同時に、壱場は私に向かって駆けてきていた。

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