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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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最後の晩餐

 他の隠れ家からベッドや食器などを持ってきて、比較的無事な鈴ちゃんの部屋で一夜を明かすことにした。

「ふ~ん、そんな事情があったんだね……」

「まぁね、色々と複雑なのよ」

 私が作ったオムライスを食べながら、包み隠さず全てを鈴ちゃんに話した。

 そうしなければ、鈴ちゃんは納得しなかっただろうし、私自身も鈴ちゃんには隠し事をしたくなかった。

「ねぇねぇ、この話って他には誰かにしたの?」

「あー……、1人だけね。だから、鈴ちゃんで2人目かな?」

「ちぇー、私が初めてじゃないんだ……」

 鈴ちゃんは口をとがらせて、オムライスを口に運んだ。

「あはは、まぁ先に知り合った友達だからね。2人とも、私にとって大切な人だよ……」

 私の言葉を聞いた鈴ちゃんが、にやにやしながら私の顔を見た。

「男の人?」

「そうだよ」

「彼氏さん?」


 ブゥー!!


 意外な言葉に思わず、ご飯を吹き出してしまった。

「なな、なっななな」

「ははは、卵ちゃん、顔真っ赤だよ~!かっわいい~♪」

「せ、先生をからかうんじゃありません!」

「ねぇねぇ、その人カッコいいの?会ってみたいなぁ~♪」

「……もし、会えたら一緒に連れて会いに行くわよ。私の親友をね!」

「楽しみに、……待ってていいのかな?」

「……ええ」

 にこっと顔を合わせて笑いあう。

 期限は短いけど、なんとかして私の大事な二人を引き合わせたいと思った。

 恐らく、私の寿命は残り30年で終わりを迎える……。

 あれから、修行も欠かさずにやった。

 強くなる努力をしていた。

 だけど、未だに【アダモゼウス】に追いつかれて戦闘をした私にすら届いていない。

 私は、今から30年後に消滅するのだ。

 少しだけ、ゾッとした。

 今までは、忙しすぎて意識すらしていなかったけど、もうあれから70年も経過しているのだ。

 本当に毎日が輝いていて、とても楽しい日々だった。

「まぁ、期待して待ってるわよ!」

 鈴ちゃんの声で、現実に戻された。

「ん、あぁ、そうね、そうしてちょうだい……」

「それにしても、木草界の神【アダモゼウス】ね……。大総統たちの事といい、神にしてはこの世界に手を出し過ぎよね……」

「本当に面目ない……。私自身もあれから分裂したとか考えると、頭が痛くなるわ……」

 話は変わって、神【アダモゼウス】についてのものになった。

 あの人の事だから、どこかでこの会話聞かれてるんじゃないかと気が気ではないが、私も色々と愚痴が溜まっていたのだ。

 だからこそ、二人で神様の悪口で盛り上がったのだった。

 後に何が起こるかも考えずに……。

 

 ひとしきり盛り上がった後に、鈴ちゃんはにこりと笑った。

「まぁ、卵ちゃんの話はよく分かったわよ。卵ちゃんも卵ちゃんで苦労しているんでしょ?わがまま言っちゃってごめんね……」

「ううん、鈴ちゃんなら話せば分かって理解してくれると思ったから全部話したの。……一応、他言はしないで。あの神様は、本当に気まぐれなの……。もしも、鈴ちゃんに話したのがバレたら何をするのか分からないわ」

「……大丈夫でしょう。一応、特殊能力で強固な壁を作ってあるから、あの大総統クラスでも中での会話は分からないはずよ」

「まぁ、私も鈴ちゃんの特殊能力は信頼しているんだけどね……」

 この家の周りを薄い膜のような物が覆っていた。

 これは、鈴ちゃんの特殊能力【最強盾じゅん】を改良したもので、全てを遮断する幕へと形を変えたものだ。

 【最強盾】よりも防御力は弱くなっているが、範囲が広く布状なので、包みこむように防御することが可能だ。

 何より音が遮断できるあたり、割と使い勝手よく改良したと思う。

 先ほどまでの会話は、この中で話していた。

 私が秘密の会話をしたいと鈴ちゃんに話したら、彼女があっという間に能力を改良してくれたのだ。

 その安心感から【アダモゼウス】の愚痴も言ってしまったのだが、あの神様はこういった事に関して地獄耳なのだ。

 どこかで聞いていそうで本当に恐ろしい。

「大丈夫、大丈夫!それに、もう話しちゃったんだから気にしない!」

 不安そうな私の顔を見て、私を安心させようとワザと元気に彼女は笑った。

 ああ、本当に良い弟子であり、最高の親友が出来たものだ。

「さてと、じゃあそろそろ寝ようか?」

「はーい!ねぇ、卵ちゃん、今日は一緒に寝ていーい?」

「……ふふ、いいわよ」

「わーい!」

 私がベッドに入り込むと、鈴ちゃんも一緒のベッドに入り込んできた。

 彼女がジャングルから修行して戻ってきたばかりの頃は、よくこうやって一緒に寝てあげたものだ。

 本当に逞しく成長してくれたと思う。

「へへへ、卵ちゃ~ん」

「なぁ~に」

「なんでもな~い、ふふ」

 私は、昔のように彼女の頭をゆっくり撫で続けた。

 真っ暗でよく見えなかったけど、彼女の目尻に光るものがあったような気がした。

 彼女から寝息が聞こえるまで、私はずっと彼女の頭を撫で続けていた。

「おやすみ、そして、ありがとう鈴ちゃん……」

 私は彼女の額にキスをすると、目を閉じた。

 私の【アダモグランディス】最後の夜は、こうして更けていったのだった。



 卵が眠った後、鈴はぼそっとこう呟いた。

「お礼を言いたいのは、こっちのほうだよ……。ありがとう、卵おねーちゃん」

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